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トマス氏が戻ってくるまで暇なのでフロッサの意図を尋ねてみることにした。
「即答していたが――何か考えがあるのか?」
問われたフロッサはキョトンとした表情である。
「えっ。デメリットが無いと思って」
無いか? フロッサが放置されると思うのだが。
それともダンジョンの深いところまで私と一緒に行く予定なのだろうか。
「私の方はみんなとお肉狩りしてればいいわけだし、行き帰りもみんなで移動すれば別に危なくないし、危ないようなら最悪ポンさん呼べばいいし。割と放置で大丈夫なんだよね」
そうか……。
私としては少女を故郷から遠く離れた土地で放置することに強い抵抗を覚えるわけだが、本人にとってはそうでもないらしい。
これがエイラなどであればきっと私を側から離さないであろう。
フロッサは意外と私よりも合理的な思考の持ち主かも知れないな。
「それに、ポンさんにはスキルオーブを探しに行ってみて欲しいからさ。私たちの面倒見ながらだと無理じゃない?」
ああ、それが本当の目的か。
確かに肉ダンジョンでは1度に大量の魔獣を倒す機会など無いだろう。
そもそも良さそうなスキルオーブを入手したければ、私を大量の魔獣が居そうな場所に投入する必要があったわけだ。
「なるほどな。ついでにギルドの依頼をこなせば一挙両得というわけか……」
「そうそう。なんかポンさん断りそうな雰囲気だったからさ。魔獣がいっぱい居る場所を紹介してもらえそうな流れだったし、これは受けておいた方がいいと思って。――ダンジョンの作り方を教えてもらえるのは予想外だったけど」
それは私としても想定外だった。
実際問題、手がかりを得ることすらもっと難航するものだと思っていた。
そのくらい輪郭の見えない依頼だったのである。
まぁ、この後も順調にいくとは限らないのだが――。
戻ってきたトマス氏より紙の束を受け取り冒険者ギルドを出る。
さて一旦帰宅するなら適当に手土産でも探すかと見回しながら宿へ向けて歩き出すと、フロッサが少し窺うように質問してきた。
「そうだポンさん。ノイにあげたリュックの縮小版って作れないかな? こう、腰に巻く小さい鞄タイプのヤツ」
「む? ――作れることは作れるが問題も発生するな。鞄の口が小さければ小さいものしか出し入れできない。想像するに猪肉すら厳しいであろう」
「そっか……鞄の口がヌットヌトの脂まみれになるのは間違いないね……。じゃあ逆に広口にできれば特に問題ない? 財布の袋の口みたいにさ」
「ああ……。確かに折り畳み構造を採用することで解決できる問題だな。宿に戻る前に鞄を見に行くか」
「さすが! 話が分かる!」
「それで何を入れる用の鞄なのだ?」
「もちろん肉です。毎日換金できるとも限らないからさ。帰る前に分け前の肉だけ受け取るパターンもありそうだと思ったら急に欲しくなってきて」
「なるほど。せっかくだから食糧や回復薬などもいくつか入れておいた方がいいな」
「それは過保護すぎるのでは……?」
せめて用心深いと言ってほしいものだ。




