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応接室に案内された。
一応ここもダンジョン内のはずなのだが応接室なんぞがあるのだな。
入ってみるとソファとローテーブルと背もたれの無い丸椅子が置いてある一般的な冒険者ギルドの応接室であった。
「すっごい注目されてたね」
さっそく丸椅子に座りながらフロッサが楽しそうに言う。
お前は楽しかったかも知れないが私は周りの視線が痛かったぞ。
「いささか注目されすぎだった気がするが……」
「受付嬢さん可愛いからじゃない? 大半が嫉妬の視線だったと思うよ」
「そういうことか……。アレが可愛い顔なのだな」
「えっ。そのへん分からないの?」
「生き物としての種族が違い過ぎるからな。バランス的な美醜は最近分かるようになってきたが『可愛い』となると主観的すぎてよく分からん」
「そういうもんなんだ」
「例えるなら、そうだな――これは魚たちの中で人気のある可愛い魚だ、と言われてもよく分からないであろう?」
「例えがひどい。でも納得かな」
フロッサと雑談しながら待っていると、扉が開いて男性が入ってきた。やや良い身なりをしているのでここの偉い人であろう。王都のディアン氏に比べるとかなり年上だが老人という雰囲気は全く無い。
「わざわざ済まんな。ギルドマスターのトマスという者だ」
入って来た男性は向かいのソファに腰掛けるとすぐに自己紹介をしてくれた。やはり1番偉い人だったらしい。
「丁寧にありがとう。私はポン、リステリアから来たランク7の冒険者だ」
ギルドカードを差し出すと受け取って眺め始めた。おや、裏まで見るのか。
確認した後はすぐに返してくれる。
「推奨ランク9の魔獣を容易く倒したと聞いてな。顔を合わせておこうと思ったのだ。――もちろん換金の額が大きかったからというのもある」
誰から聞いたのだろう。――ああ、盾が酷く歪んでしまった彼からであろうな。きっと一目で怪しまれたに違いない。
トマス氏は腰の辺りから袋を取り出した。
確かワイバーンの時が1体当たり金貨200枚に満たないくらいの価値だったが、ワイバーンは肉になったり薬の材料になったりと商業的価値が高かったようなので、比較対象としては少々不適切かも知れない。希少価値を加味してやっと同じくらいであってもおかしくないだろう。
「これがエカルラットレパルドの換金額だ。金貨400枚ある」
「よん……!?」
「……多くないか?」
隣でフロッサが驚きすぎて機能停止してしまった。私も驚きである。
いくら強い魔獣とはいえ、精々毛皮しか取れなさそうであったが……。
「ずっと欲しがっている人が居てな。依頼の価格が吊り上がっていたところだったのだ。――その依頼を達成扱いにしたことで金額が跳ね上がった」
ギルドで一旦買い取ってその欲しがっている人に売れば良かったものを。
まぁ、依頼は元々存在していたのだからギルドが損したわけでもないが、馬鹿正直な真似をしたものである。
「それは……わざわざ済まんな。何か裏でもあるのかと勘繰ってしまいそうだ」
トマス氏は白髪の多い眉を片方上げてニヤリと笑った。
……本当に裏がありそうである。
「勘がいいな。その腕を見込んで調査を依頼したい」
なるほど。彼が出張って来た本当の理由がそれか。
あまり関係ない仕事を差し込めるほど手が空いてはいないので断りたいところ……。
「――報酬と内容にもよります!」
おっと。フロッサが返事をしてしまった。
何か考えがあるなら任せてみようか。




