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「ノイ。このリュックは内側の空間が広くなっており見た目よりたくさんの荷物が入る」
「いっぱい入るの?」
「その通り。試しに肉を10個入れてみよう。重くならないから驚くはずだ」
「――ほんとだ!」
喜んでもらえたようだな。
――他にも内側の空間が歪んでいるので防具としても使えるが、リュック自体はただの布なのであまりそういう使い方はしないように。
また壊れた場合は底板を別の鞄に移せば復活するが、時間停止機能はこのリュックにしか付いていないのでなるべく大事に使ってほしいなどの注意点を伝えた。
ノイは飲み込みが早いタイプなので理解してくれたようである。
よし……水帝には機構の解析と模造品の製作に時間が掛かったと言い訳すれば大丈夫な気がしてきた。後で渡しに行こう。
「ところでみんな、ポンさんが色々凄いことしてるけどあまり驚かないよね」
フロッサの問いに子どもたちは一様に首を傾げた。
「上級冒険者って凄いなぁとは思ってるよ?」
「ポンさんのせいで上級冒険者のイメージが大変なことになってる!」
フロッサが頭を抱えてしまった。
フロッサのお願いで作ったものなのだからフロッサのせいでもあるぞ。
「いちおう注意しておくんだけど、ポンさんが特別変――じゃなかった。特別すごいだけだから気を付けてね。上級冒険者って何もないところからリュックを作ったり木材を取り出したりできないものなの。多分他の人に言っても信じてもらえなくて悔しい思いするだけだから、あまり他人に言わない方がいいよ」
いま変人だと言わなかったか……?
子どもたちは『そうだったのか』と頷いている。
上級冒険者と組んだことがないので上級冒険者がどのくらいやるものなのか実はよく知らないが、帝ランクの戦士職に劣るくらいの強さだと予想できる。
上級冒険者への誤解は解いておいた方が確かにいいだろう。
期せずして肉の引き渡しも終わったな。では都市に帰ろう。皆を促して今日のところは切り上げる。
今回は特に強力な魔獣の襲撃もなく無事に都市まで戻ることができた。
そう毎度毎度出て来るものでもない。
都市に入ったところで5人とは明日の約束をしてから別れた。彼らの本質は食糧調達なので休みの日というものは基本的に無い。
今日は前回帰ってから3日目なので顔見せに帰宅する日ではあるのだが、先に冒険者ギルドで魔獣素材の代金を受け取りに行くことにした。
防具の製作に夢中になっていて昨日はすっかり忘れていたが、もう査定まで終わっていることだろう。
「冒険者ギルドへようこ――あっ! あなたは!」
「うむ。換金に来たのだが……」
ギルドの受付に換金用の木札を差し出すと、目が合った瞬間に驚かれてしまった。兎の耳がピンと立って彼女の感情を代弁している。
私が困惑している間に受付の獣人はカウンターを凄い速さで回り込みこちらに出て来ると、木札を持った私の手をがっしりと掴んだ。
「やっと来てくれました! さぁ別室へ行きましょう!」
なんだこの状況は。
あまり人の居ない時間帯ではあるのだが周囲の目が集中してしまっている。
フロッサよ、横でテンプレがどうとか言いながら喜んでいないで助けてくれ。




