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倒した魔獣を空間収納に落として回収し、1番重傷だった男性が意識不明だったので浮かせた布に載せて運搬する。
「ポンさんって結構自重しないタイプだよね……?」
先頭を歩いていた私にフロッサが近寄って来てそう言った。
「む? どういう意味だ?」
「あの異空間の収納とか、この空飛ぶ担架とか、迷わず使ってた回復薬とかの話。見られて困る系のヤツじゃない? 隠さないのかなぁ、と思って」
「――なるほどな。それは場合による。優先順位の問題と言ってもいい」
「優先順位?」
「もちろん無駄に衆目に晒すのは良くないのだが、例えば先ほどの魔獣はギルドへの報告に必要だ。そして気絶している者の運搬もせねばならない。両方を運ぶ必要があったからな」
「光る薬はやりすぎじゃない?」
「そうでもないぞ。彼らは自分たちが危険な状態でなお、子どもたちに『外へ出るな』と警告を飛ばしてくれた。命の借りを命で返したというわけだ」
「ポンさん優しい人にはやたら甘いよね……。うーん……何か対策考えないといけないかもなぁ――」
フロッサは考え込んでしまった。騒ぎにならないような対策を考えてくれるそうなので、彼女の奇抜な発想に期待しよう。
――森を出たところで気絶中の男性を布から下ろして背負い、そのまま歩いて都市へと入る。検問所で何事か問われたので魔獣討伐の件を伝えたところ別室に来て欲しいとのこと。
気絶した男性は彼の仲間たちが荷車を借りてきて運ばれていった。
子どもたちも肉を抱えているので、明後日の朝にダンジョン入口で待ち合わせして先に帰らせることにする。
その上でフロッサと2人、係の若い男性職員に連れられ別室に案内された。一気に身軽になったな。
「ご協力ありがとうございます。出現記録を取りたいので収納してあるという魔獣を出していただけますでしょうか」
「……部屋が血だらけになりそうだが大丈夫か?」
「床を水洗いできる部屋ですので大丈夫です」
なるほど。それで別室に行く必要があったのか。確かに検問所で出したら掃除が大変である。
私は空間収納の入口を展開し牛ほどもある大型の魔獣を排出する。
「これは――レパルド種ですね。頭部はありますか?」
「下敷きになってしまっているな。――これだ」
「失礼します。――うわっ。眼が赤い! エカルラットレパルドじゃないですか。こんな危ないのが出たんですか……」
既存の知識には引っ掛からない名前のようだ。強さがよく分からない。
「珍しいのか?」
「出現自体はちらほら聞きますが討伐記録としては珍しいですね。とても強く、逃げ足も早いんです。上級上位、ランク9相当の魔獣ですよ。よく倒せましたね……」
ほう。それは危ないところだったな。たまたま私が居る時で良かった。
「では最後に体長を測らせてください。――はい。ありがとうございます。以上になります」
私は頷いて魔獣を空間収納に落とす。
「その収納技――帝王様が使うというものに似ていますね」
「良く知っているな。これは帝王が使っていたのを見て真似したものだ。便利そうだったのでな」
「お知り合いなんですか?」
「共闘したことがある。会えば挨拶くらいは交わすかも知れないくらいの仲だ」
「おー。それは羨ましいですね。私もぜひお会いしてみたいものです」
本当はもう少しだけ深い知り合いだが『紹介してくれ』などと言われたら困るので顔見知り程度ということにしておこう……。




