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倒れていたのは前衛の男性3名であった。
膝立ちで耐えていたのが1名、倒れて呻いていたのが1名、ピクリとも動かないのが1名である。
重症と思われる動きが無い者に駆け寄り状態を診ると、側頭部を殴られたのか首から頭部にかけてを内部的に損傷しているようだ。ギリギリ生きてはいるが虫の息だな。
こんな酷い怪我をした時に私と居合わせるとは。
運が良いと言うべきか悪いと言うべきか……。
治癒魔術でも完治は可能だが治している間に息を引き取りかねない。私は迷わず空間収納から完全回復薬を取り出し、蓋を開けて男の口に突っ込んだ。
本来こういう時のために作った薬である。作って良かった。
アルは抱えていた肉をノイに預けて膝立ちの男性に治癒魔法を施し始めている。倒れている方は荷が重いと判断したのだろう。
ならば私は倒れて呻いている男性を担当するか。
倒れている男に近寄り魔力を投入して診断すると複数箇所の骨折であった。悶絶するほど痛いであろうが即座に命に関わるほどではない。投入した魔力をそのまま使用し治癒魔術を発動する。
――治療は2分ほどで完了しそうだ。その間にフロッサが寄ってきた。
「ポンさん。その人大丈夫そう?」
「む? ああ、骨折と打ち身だけだな。もうすぐ終わる――これで完治だ」
「おー。さすが早い」
「アルの方は大丈夫そうか?」
「あっちの人はガードした盾ごと体が吹っ飛ばされたらしいよ。腕をやられたみたい」
いい情報だ。ガードしたので他よりマシな怪我で済んだのだろう。しかし骨までやられているなら下級魔法を扱うアルでは力不足かも知れない。
様子を見に行くとやはり苦戦している様子。
「――ごめんなさい。僕では……」
「うっぐっ……いや、ありがとう。だいぶ痛みがマシになった……!」
表面的な怪我は癒されるので嘘ではないのだろう。それでも冷汗まみれの真っ青な顔で冒険者の男性はニカッと笑ってみせた。
未熟ながらも治療を頑張ってくれた少年に心から感謝しているのが良く分かる。
「待たせて済まんな。代わろう」
「ポンさん……! お願いします。あの……すみません」
男性に魔力を投入して治癒魔術を発動。治療を開始した。
「何を謝る。――アルは出来ることを精一杯やったのだ。誰からも責められたりはしない」
「そう……ですか……?」
「それにまだ仕事は終わっていないぞ。明らかな怪我人は彼で最後だが、他にも小さい傷を負っている人が居るかも知れない。その確認作業を頼む」
「あっ……はい! そうですね……行ってきます!」
少年は一瞬で目に強い光を取り戻し走って行った。
うむ、立ち直りが早い子は伸びるものだ。
「おおー……みるみる痛みが引いてく……。治療もだが討伐の方も本当に助かった。上級冒険者か?」
「うむ、たまたま子どもの引率でな。ああ、横取りした形になってしまったな……」
「いや横取りどころか狩られていたのはこっちの方だからな、文句なんかあるわけがない」
「そうか、ではあの魔獣は治療代として私の方で貰っていこう」
「いや普通に貰って大丈夫なやつだぞ。それにあいつに飲ませた薬とか高いやつなんじゃ……?」
「――世の中には知らない方が幸せなままで居られる情報もあるのだ。――破産したいか?」
「あー……単純作業とかで人手が欲しい時は声かけてくれ。恩返しに手伝うわ」
「覚えておこう。よし、完了だ」
「おー。前より調子良いかも。ありがとうな。ああでも盾がベッコベコに歪んじまったなぁ……」
がっくりとうなだれる男性。
命に比べれば修理代など安いものだろうに。
まぁ、余裕があるなら肉を狩りに来ていないか。
その辺りは頑張ってくれ。




