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「この話、受けようと思う――思います!」
返事は快いものだった。
やはりこういう場面ではリーダーが矢面に立たされるのか、少し緊張した面持ちのジールが言わされていて面白い。可哀想だからノイ以外の3人で背中をぐいぐい押すのはやめてやれ……。
「そうか――感謝する。ぜひお前たちもこの機会にフロッサと一緒に成長して欲しい。約束の防具は明後日の朝までに作っておくので、先に武器の方を渡しておこう――」
デザインと塗装の関係上、明日の朝までにというのは厳しいだろうという判断である。
「――ジールには木刀を、レンには槍を、ノイには盾を、アルとパティには杖を。それぞれ作っておいた。自作の棍棒よりは遥かに良い物のはずだが、大人用の武器に比べるとかなり軽いので『これしか装備できない』というような鍛え方をしないように注意してくれ」
子どもたちに1人ずつ作った武器を手渡してやる。
それぞれ嬉しそうに受け取るが、ノイだけは少し困惑しているようだ。
「ノイ、貸してみろ。――盾も武器として使える。こう握って面を叩きつける打撃、そして両手でこう握って角の部分で殴りつける動きだ。――だが1番は後衛をしっかり守り抜く壁としての役割だ。それを忘れないように」
実際にどう扱うのか見本を示してやってから返却する。
風を切り、振り回される盾の姿を見て大人しかった少年の目が明らかに輝く。
うむ。盾というのも捨てたものではないのだ。
同じように基本的な動作を1つ2つ全員に教え終わると、フロッサが紙とペンを要求してきた。
「では今から防具のデザインを一緒に考えていこう。まずはパティからね。ポンさん、バナナ出してくれる?」
なぜバナナ。何に使うのだろう。
まぁ在庫は比喩ではなく山ほどあるので構わない。
「時間かかるので順番待ちの人はバナナ食べて待っててください」
……ただの昼食代わりだったようだ。
お絵描きに使うのかと首を傾げてしまったぞ。
そういえば子どもたちが昼食をとっている様子は無かった。よく見ているものだな。
頭の部分はどうとか肩の辺りはこうとかサラサラとデザインが描かれていくのを横目に、私の方は他の子にバナナの剥き方を教えてやる。
果物に縁のない生活だったのか大喜びの反応だ。主人にも見習って欲しいものである。
順番待ちで暇になった少年たちから話を聞くと、彼らは都市にある孤児院の狩猟隊なのだそうな。
あまりにも装備が貧弱だったので予想はしていたがやはりその辺りであったか。
狩猟隊は1番のやんちゃ坊主だったジールと仲良しのレン。それに力持ちのノイの3名で発足。
怪我して帰ってくる3名を見かねて治癒魔法を使えるアルが加入。
最後に生肉が傷む問題の対策として火魔法の使えるパティが加入して今の姿になったそうだ。
ちなみに火魔法を攻撃に使用したら危うく火事になりかけて凄く怒られたので戦闘用としては使用していないらしい。もったいないな。
食べ終わってしばらくすると少しソワソワし始めた。聞くと獲得できた肉の数で孤児院全体の夕食のグレードが乱高下するようなのだ。つまり自分たちの中でノルマのような基準があるということだろう。
「そうなのか。――では私が行って何体か捕らえて来てやろう。あと何体ほど必要だ?」
私の問いにはアルが回答してくれた。
後衛だけに状況把握が得意なようだ。
「いつもと同じくらいなら、あと2体ほどです」
猪のブロック肉は結構大きい。
いつも1人1個ずつ抱えて帰るようなルーティンで行なっており、今日は先ほどフロッサに譲られた分を合わせてもまだ3個。あと2個は狩っておきたい状況のようである。
ふむ――では行って2体ほど拘束して来よう。
倒して魔力石にしてしまわないよう気を付けなければなるまい。




