2-4
「ポンさん。お肉あげてもいいよね?」
少し離れたところで観察していた私にフロッサが確認を入れる。
先ほど彼女がはっきりと宣言していたので今更な気もするが追認してやった。
「肉を売った金はお前のお小遣いになる予定だ。好きにしていいぞ」
「それだとちょっと話が変わってくるのですが……? ううっ――でもいいや、あげるって言っちゃったし。あげる!」
「ありがと! さすがいい装備してるだけあって太っ腹ね!」
「これ? そこのポンさんに作ってもらった木製の装備なの。デザインは私」
「これ木なの!? ああでも、触ってみると硬くていい感じね。軽そう!」
「でしょう? 大きくなっても着られるようにベルトで調節できるようになってるの。ほら!」
流れるように女子トークが始まってしまった。
防具もファッションのカテゴリーに属するのかは謎だが、装身具であれば何にでも興味を持つお年頃なのだろう。
子どもたちのパーティーには防具など無く古着を着ているのみである。木製とはいえ防具が眩しく見えるようで興味深く話を聞いている様子。
「木製で良ければ武器や防具を作ってやろうか?」
「えっ。ほんとに? ――あっ、でもお金ないからダメです……」
確かパティという名だった少女は一瞬明るい顔をするも、自分たちの懐具合を思い出したのか断ってしまった。無料で手に入るものなど基本的に存在しないことを良く分かっているのだな。
「私たちはフロッサの訓練をするためにこの都市を訪れている。対価としてフロッサの戦闘経験に付き合ってもらえないだろうか」
「仲間に入れて欲しいってことですか?」
自作の槍もどきを持った少年、レンが不思議そうに首を傾げた。自分たちの戦闘がお粗末な自覚があるのだろう。私は頷く。
「ああ、もちろんずっとではなく一定期間だ。装備を作ってやろうというのは単なるお礼のためだけではなく、充実した戦闘経験のためにはそれらが必要だろうから、というのもある」
「ポンさん大丈夫? 5人分作るの大変じゃない?」
「そうでもない。5人分のデザインを考えるフロッサの方が恐らく大変だぞ」
「ぎえっ。そこは私なんだ⁉︎」
自分の時は5枚くらい案を用意していたくせによく言うものだ。多分遊び心を出さなければ普通に用意できる作業量であろうに。
――少年少女たちは一旦会議を開くようだ。
慎重なのは良いことである。しっかりした子たちだな。
それではその時間を利用して武器だけでも作ってしまおう。空間収納を開いて大黒檀の端材を取り出す。フロッサの時の残りが使いやすかろう。
「あっ、ポンさん。ついでにお弁当ください」
そういえばもう昼時だったな。
宿で作ってもらった昼食と丸椅子を出してフロッサに渡す。『ここちょっとガタガタする』と丸椅子の設置に苦戦した後弁当を食べ始めていた。
さて、まずは剣からいこう。
だが大黒檀で普通の剣を象ると、魔剣とも打ち合える耐久度の高性能な剣になってしまうので切れ味を落とす必要がある。
……訓練用の片刃の木刀仕様にするか。
端材をくり抜いてサッと作成し次は槍だ。
こちらはもう普通の槍でいいだろう。
尖らせて突いたら普通の木でも刺さるものだ。違和感は小さいに違いない。
後衛の2名は長杖にしよう。魔法を使う際の伝導体としても大黒檀は優秀だったはずだ。
手で掴める太さの円筒形でいいだろうか。
いや、咄嗟に武器にできるよう片方を尖らせておこう。
体の大きな少年には盾だな。
木製なら重量も低いので大きめにする。彼の体が半分隠れるくらいあれば応用も利くであろう。
攻撃にも転じられるよう内側の取手を2つ付けておいた。振り回して角の部分で殴るのがオススメだ。
作っている間に会議と昼食が終わったようである。
せっかく作ったので回答如何を問わず武器は与えようとは思うが、彼らはどんな結論を出したであろうか――。




