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休憩後も引き続きフロッサの戦闘訓練だ。
とはいえあまり根を詰めて行なってもフロッサが疲れてくれば動きの精度が落ちてきて訓練の効率が落ちるのでほどほどにせねば。
そろそろ昼時なので切り上げるかと考えていた時である。
少し離れた処で騒がしく狩りをしている少年少女たち5人組がいるのだが、どうやら猪を2体同時に引っ掛けてしまいパニックを起こしている模様。
前衛が3人居るのだが1体を抑えるのが精一杯なため、もう1体が走り回ってしまい後衛の2人を追い回している状況のようだ。
「むう。アレはよくないな……」
「どうしたのポンさん――うわ、ピンチじゃん」
「介入してもいいが、横取り扱いされてはかなわんな。どうしたものか……」
「透明な壁を作れない? それに突進させたらいいよ」
それは猪からすると相当手痛いダメージだと思うが……。まぁ、比較的マシな案だな。
それに今追い回されている少女が草に足を取られて転んでしまった。ちょっと急いだ方がいい。
私は倒れ込んだ少女の前に透明な物理障壁を展開する。
あまり強くない代物だが猪の突進くらいなら大丈夫であろう。
避けきれない事を悟ったか身を固める少女の前で猪型の魔獣が障壁に激しく頭をぶつける。――ゴンッ! となかなか派手な音がした。
猪は予期せぬ大打撃にフラフラと足をもつれさせ倒れ込む。
「義により助太刀いたす! とうっ!」
そこに走って行ったフロッサが前足の付け根辺りに短剣を突き刺して止めを刺した。台詞回しが古風だな……。
一瞬黒い煙に包まれた後に立ち上がり、短剣を腰の鞘に納める。
そして倒れたままだった少女に手を差し伸べた。
「大丈夫? 怪我してない?」
「あ、ありがとうございます……。だぁぁぁ、女の子かぁ……!」
手を差し出しつつガックリと項垂れる少女。
格好良く助けてくれた素敵な人が女の子でご不満の様子。考えていることが全部口に出るタイプのようだ。正直者だな。
「くくっ。女の子で残念だったね――私はフロッサ。元気そうだけど本当に怪我してない? 膝とか大丈夫?」
「あたしはパティ。ちょっとすりむいてるけど大丈夫! ――アル! そっち終わったらあたしにもお願い!」
「分かった! ちょっと待ってて!」
アルと呼ばれたのはもう1人の後衛だった少年である。未熟ながら治癒魔法を使えるようで、もう1体との戦闘を終えた3人の怪我を癒してやっている。
眺めているとパティと名乗った少女の所にも走ってきて治癒していた。私の出番は無さそうだ。
「パティ大丈夫だったか? すっごい音してたけど」
「助けてもらったから大丈夫。ほらジールもお礼言いなさいよ。リーダーでしょ」
遅れて近寄ってきた活発そうな少年ジールが彼らのリーダーらしい。5人の中で1番身長は低いがその分敏捷性は高そうである。
「パティを助けてくれてありがとうな! 助かったぜ!」
「――これ、お肉」
「うおっ!? ノイ!? 急に後ろに立つなよ!?」
「……? ずっと居たよ?」
猪型魔獣の落とした肉を拾いフロッサに差し出したのは、他より体の大きな少年だった。のんびりした雰囲気で優しそうである。ノイという名らしい。
「横取りになっちゃうからいいや。そのお肉はあげる」
「いいの? 助かる……!」
「ちょっとレン。恩人からあっさり貰いすぎ。少しは遠慮しなさいよ」
前衛の最後の1人、木の棒の先端に何かの破片を固定して槍にしている少年はレンという名のようだ。素直に目を輝かせたところをパティに叱られている。
全員、森で拾ったのであろう木の棒を削った棍棒を装備しているという初心者丸出しのパーティだが、皆素直そうな性格をしている。
フロッサが単独での戦闘に疲れてきていたことであるし、共闘してもらえないか誘ってみるとしよう。




