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都市の門を出、城壁に沿って左に曲がり少し歩く。
森の外へと続く大きな道に脇道があるわけではなく、都市の城壁近くから直接伸びる細い道が各ダンジョン毎にあるとのこと。
しかしそれは人が歩いて出来た道ではなく、ある日突然見慣れない道が出来たと思ったらその先には新しいダンジョンがある――といった調子らしい。
新しいダンジョンの発見が容易で助かると門番は言っていたが、そんな単純な話ではないだろう。その習慣化はダンジョンの公開日時がダンジョン側によって調整可能になっていることを意味している。
私としてはどちらかと言うと不気味さを感じてしまう話だ。
目指す肉ダンジョンは人気のあるダンジョンらしく小道に入った後もちらほらと人の姿が散見される。明らかに経験の少なそうな少年少女たちの姿もあるので、この辺りはランク7以上の制限が無い地域なのだろう。
「――あれかな? なんかファンシーな見た目……」
んん? 岩では無いな。地域性だろうか。
胴回りの太い大木の切り株が森の中に突如出現しており、ダンジョンの入口は切り株にぽっかりと空いた大きなうろのようだ。サイズ感としては家ほどの大きさの切り株に空いたギルドのエントランス並みの穴という感じである。
特に入場制限などはされていないようなのでフロッサと2人でそのまま通る。腰を屈めることなく通れる大きさなのは助かるな。肉が運搬できるよう大きめに造られているのだろうか?
例によって階段になっていた入口を下ると、1階層目は草原になっているようである。空も太陽もある本格仕様なのは意味が分からないがあるものは仕方ない、ここもきっとトレントダンジョンのように硬い天井が上の方にあるのだろう。
草原はあちこち私の膝下くらいの高さまで草が生えていて少々歩きにくい。フロッサはどうかと見ると、草丈の高い所を避けて歩いている様子だ。
敏捷性に多少の制限が入ってしまうが、あのくらいなら問題は無いだろう。
「さて、さっそく魔獣討伐といこうか」
「うっし。頑張る。――で、魔獣はどこ??」
入ったばかりの場所なので狩り尽くされているのか魔獣の姿は無い。
探知波を放ってみると遠くの方に魔獣の反応はあるものの、それぞれすぐ近くに人の反応もあるので恐らく戦闘中であろう。
「近くには狩れそうなのが居ないな。まずは探知圏外まで移動してみよう」
フロッサを背負って飛行の魔術を発動。速やかに移動を完了させる。
もう一度探知波を打ってみると、さすがに少し入り込んだ辺りは人も少ないようだ。特に戦闘中ではなさそうな魔獣の反応がいくつか返ってきた。
「あちらに大きい反応、こちらに小さい反応だな。どちらにする?」
「小さい方でお願いします」
それもそうか……。愚問だったな。
2人でガサガサと草を鳴らしながら1分ほど歩いて小さい方の反応があった場所に向かうと、どうやら正体は兎の魔獣だったようだ。頭に親指ほどの小さな角が生えている。あれでは殺傷力とも呼べないほどの危険度しか無いだろう。
「――よし、頑張れフロッサ」
「指示がテキトーすぎない? まぁいいけど……」
フロッサは少し情けない顔をしたあと短剣を抜いて腰を落とし、素早く動ける体勢で近寄っていく。アリシアの教えが生きているようだ。
ではでは、お手並み拝見といこう。




