3 エリック
エリックは二人で話し合ってから婚約の事を両親同士で話し合って貰った方がいいと言った。マリエールは同意したが会った当日いきなり決めるのには難色を示した。
3 エリック
エリックとしっかり話せたのは放課後だった。二人で園庭で念話で話した。見られたとしたら二人で黙って見つめ合ってる構図だ。それはそれでいたたまれない構図だ。酷い誤解を受けそうだ。エリックは、
「僕以外妖精女王の加護を受けているのは叔母さんしか知らないけど父の家系では偶にいるらしい。叔母さん以外では始めて出会ったよ。君は知っているだろう。妖精女王の加護は喜怒哀楽が平坦になり人に特別の感情を抱き難くなる事を、唯一妖精女王の加護を持つ同士に特別な感情を抱く可能性のある事を。僕達親子は僕と同じ年頃の妖精女王の加護を持つ女の子を探した。侯爵家には僕しか子どもがいないからね。人に特別な感情を抱けないなんて配偶者としたら失格だよ。こちらに転校したらやっと君がいた。これは天の采配だ。僕達がお互いに特別な感情が抱けるかは判らないけど取り敢えず婚約しよう。親同士の話し合いで決めるよりも僕達二人で決めた上で親同士で話し合った方がいいだろう。それでお互いに特別な感情が抱ければいいけど、そうでなければ新ためて話し合おう。」
長い念話は疲れる。頭にジンジン響くからだ。とは言っても我慢するしかない。一生の問題だ。
「人に特別な感情を抱けないのは私もです。私の場合は結婚は諦めてましたが、できればしたいくらいの気持ちはあります。会って当日はいきなり過ぎると思いますが、当人同士で話し合ってから親同士で話し合うやり方は好感が持てます。一週間ぐらい様子を見てそれから決めるのではいかがでしょうか。」
限界に近いと身体が感じている。
「判りました。一週間後ですね。それまでに友好を深めましょう。」
マリエールは了承を得て声を出して話し出した。
「五年間どちらにみえたのですか。」
「西の国です。こちらでも西の国の言葉は習っていましたから、言葉で困った事はなかったですね。」
「文化とか風習の違いとかはありませんか。」
「基本的には同じですね。我が国と混じり合ったような文化ですからね。より西の方から渡ってきた物が幾つかありました。カリーとかナンとかヤツメヤシとかは好きでしたね。それから我々のいた高級住宅街では滅多に見かけませんでしたが、盲導犬ではない犬を連れ込んで食べかすを与えるのを見るのは不快でしたね。」
西の国は行っても問題なさそうだ。
「西の国は海を挟んでアーリア帝国と隣合わせですが、アーリア帝国の影響はありませんでしたか。」
「隣合わせと言ってもクラーケンがいて渡れませんからね。西の国の方が幾分アーリア帝国との交易が盛んですよ。ギアマンとか武器や防具はアーリア帝国製の方が物がいいですからね。」
「ありがとうございました。エリックさんの事は両親に話します。妖精女王の加護を受けた男性はエリックさんが始めて知った方ですから両親もきっと驚きますよ。希望を持つかも知れません。ヌカ喜びにしないようにお互いに慎重に事を進めましょう。」
マリエールは帰宅してエリックの事を話した。喜びはしたがにわかには信じられないようだ。
エリックが5年間いたのは西の国だ。言語にも困った事はないし、文化も我が国と同じだ。犬を食堂に入れて食べかすをやるのは不快だったそうだ。




