第三十六話 管理者
第三十六話です。
今回は、
”管理される側”
を意識して書いていました。
アカウントって自分のもののはずなのに、
気づいたら管理権限を失ってる感じ、
ちゃっと怖いですよね。
夜の海。
防波堤。
レンたち全員のスマホ画面に、
同じ通知が浮かんでいた。
新しい管理者しました
波の音だけが響く。
黒川ユウトが掠れた声を出す。
「......管理者って何だよ」
誰も答えれない。
でも。
海の奥に浮かぶ、
巨大な黒い顔が、
ゆっくり笑っていた。
大量の顔が混ざり合った怪物。
その中心。
詩音が、
まだ沈んでいる。
ミナが震える声で言う。
「......あれが、”元”」
レンが顔を上げる。
「元?」
ミナは海を見つめたまま、
小さく頷いた。
「最初に”見つけた側”」
その瞬間。
ブブッ。
通知。
管理者から招待が届いています。
YES
NO
また二択。
レンの呼吸が浅くなる。
今度は違う。
YESボタンの横に、
小さく人数が表示されていた。
承認済み:37人
ナギが青ざめる。
「......海の人たち」
つまり。
あれは全部、
”承認した側”。
その時。
ユウトのスマホが、
勝手に通知を開始した。
ザーッーー
ノイズ。
でも。
今回は、
はっきり声が聞こえる。
知らない男の声。
低い。
濡れたみたいな声。
『増えたね』
レンの背筋が凍る。
『でも、まだ足りない』
ノイズの奥で、
大量の通知音が鳴っている。
ブブッ。
ブブブブッ。
『君たち、ずっと寂しかっただろ?』
レンの頭痛が強くなる。
その声。
どこか安心するするみたいな響きがあった。
『だから繋げてあげる』
その瞬間。
レンのスマホ画面へ、
大量の写真が流れ始める。
知らない人たち。
制服姿。
笑顔。
海。
そして。
全員、
最後の写真だけが同じだった。
暗い海面。
その奥に、
黒い顔が映っている。
ミナが苦しそうに呟く。
「見ちゃだめ」
でも。
レンは目を逸らせない。
その時。
写真の一枚が止まった。
そこに打映っていたのは。
小学生くらいの男の子。
知らない顔。
でも。
背景の防波堤は、
今いる場所と同じだった。
写真の下。
投稿日時。
2008年
ユウトが息を呑む。
「......三年前じゃない?」
ミナが首を振る。
青ざめた顔で言う。
「もっと前からいる」
海風が強くなる。
波。
ノイズ。
そして。
海の奥の巨大な顔が、
ゆっくり口を開いた。
『返して』
レンの喉が詰まる。
『みんな、
見つけたのに』
その瞬間。
防波堤の下から、
大量の手が伸びた。
ザバァッ!!!!
スマホを握った腕。
濡れた顔。
そして。
今度は、
知らない人たちだけじゃなかった。
レンの母親。
学校の教室。
コンビニ店員。
街で見た人。
全員、
黒い目でスマホを掲げている。
ナギが泣きそうな声を出す。
「......増えてる」
ミナがレンの腕を掴む。
「入口閉じないと、
全部つながる」
レンが息を呑む。
「どうやって」
ミナは、
海の中央を見る。
その奥。
巨大な顔の中央。
沈み続けている詩音。
「詩音を引け上げる」
その瞬間。
海の底から、
本物の詩音の声が聞こえた。
『来るな!!!』
直後。
海全体が、
大きく揺れた。
そして。
レンスマホへ、
最後の通知がと独。
管理者権限が要求されています
YSE
NO
でも。
今度のYESボタンには。
”レンの名前”が表示されていた。
読んでくださってありがとうございました。
今回、
”管理者”
をテーマにしていました。
グループとかサーバーの管理権限って、
便利だけど妙に責任感ありますよね。
あと、
昔から同じ怪異が続いてる設定、
かなり好きです。




