表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
既読がつかない夏  作者: 蒼空
既読の向こう側

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/40

第三十四話  オンライン

第三十四話です。


今回、

”向こう側から来るもの”

を意識して書いていました。


通知って、

待ってる時って、

来てほしくない時ほど来る気がしますよね。

夜の海。


防波堤。


沖から、

大量の光が近づいてくる。


スマホ画面。


無数。


波の上を漂いながら、

ゆっくりこちらへ向かっていた。


レンは息を呑む。


「......なんだよ、あれ」


黒川ユウトが後ずさる。


「やばいって......」


暗い海の中。


スマホの光だけが、

不気味に揺れている。


そして。


全部、

誰かの手に握られていた。


ザブッ。


ザブッ。


海面から、

人影が現れ始める。


濡れた制服。


俯いた顔。


スマホを持ったまま、

防波堤へ歩いてくる。


レンの喉が乾く。


その全員の顔が、

ぼやけていた。


ノイズ。


潰れた輪郭。


まるで。


”プロフィール画面が読み込めてない”

みたいだった。


ミナが苦しそうに呟く。


「......戻ってきちゃった」


その瞬間。


全員のスマホが震えた。


ブブッ。


通知。


  現在オンライン:37人


レンの背筋が凍る。


三十七。


そんな人数、

いるはずがない。


その時。


沖の人影たちが、

一斉にスマホを掲げた。


パッーー


光。


大量のライト。


そして。


全員同時に、

こちらへ画面を向ける。


そこに映っていたのは。


レンたち四人。


リアルタイム映像。


ユウトが青ざめる。


「なんで映ってんだよ!?」


次の瞬間。


人影たちが、

一斉に走り始めた。


ザバァッ!!!!


波を割りながら、

異常な速度で近づいてくる。


ミナが叫ぶ。


「見ないで!!」


レンたちは反射的に目を逸らす。


でも。


一瞬だけ見えてしまった。


その顔。


全部、

レンたち自身だった。


レン。


ユウト。


ナギ。


ミナ。


何人もいる。


濡れながら顔で、

笑いながら走ってくる。


「ッ!!」


レンの呼吸が乱れる。


その時。


本物の詩音の声が、

通話ノイズの奥から聞こえた。


『下見ろ!!』


レンたちは足元を見る。


防波堤のコンクリート。


そこに。


大量の通知が、

浮かび上がっていた。


水で濡れた地面に、

光る文字。


  ログイン中


  同期中


  復帰中


  接続完了


そして。


最後に。


  上書き開始


ナギの顔色が変わる。


「......だめ」


その瞬間。


ユウトが突然、

苦しそうに頭を押さえる。


「う、あ......!」


レンが振り返る。


ユウトのスマホ画面。


フロントカメラ。


そこに。


”もう一人のユウト”が映っていた。


真っ黒な目。


そして。


カメラの中のユウトが、

ゆっくり笑う。


『代わって』


次の瞬間。


ユウト本人の動きが止まった。


静止。


俯いたまま、

動かない。


レンの背筋が凍る。


「......ユウト?」


数秒の沈黙。


そして。


ユウトが、

ゆっくり顔を上げた。


でも。


その笑い方は、

ユウトじゃなかった。


「見つけた」


ミナが叫ぶ。


「レン逃げて!!」


直後。


海から上がってきた大量の”誰か”が、

一斉に防波堤へ手を伸ばした。

読んでくださってありがとうございました。


今回は、

”オンライン”

をテーマにしていました。


誰かがオンライン表示になるだけで、

ちょっと安心したり怖くなったりしますよね。


あと、

自分と同じ顔が海から来る演出、

かなり不気味で好きです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ