表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
既読がつかない夏  作者: 蒼空
見えない波

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/40

第二十八話  ログイン

第二十八話です。


今回は、

”戻ってきたはずなのに違う”

感覚を意識して書いていました。


久しぶりに会った人が、

同じ顔なのに少し違って見える時ってありますよね。


午前二時三分。


そこで止まって教室の時計。


静まり返った空気。


そして。


後方の席に座る男子生徒。


黒髪。


眠そうな目。


間違いなく、

詩音だった。


レンは声が出なかった。


黒川ユウトも、

入口で固まっている。


ただ一人。


佐伯ンぎだけが、

小さく震えていた。


詩音はゆっくり教室を見渡す。


まるで。


初めて来た場所みたいに。


「......ここ、どこだっけ」


掠れた声。


レンの喉が詰まる。


「お前......」


詩音が顔を上げる。


その目だけは、

三年前と同じだった。


でも。


どこか空っぽだった。


「俺のこと、知ってる?」


教室の空気が凍る。


ユウトが顔を引きつらせる。


「冗談だろ......」


ブブッ。


全員のスマホが震えた。


通知。


  ログイン中のユーザー:6人


レンの背筋が冷える。


六人。


つまり。


”まだいる”。



その時。


教室の7モニターが、

突然点灯した。


ザーッーー


ノイズ。


映像。


暗い海。


夜。


でも。


今ままでと違った。


これは、

誰かのスマホ動画じゃない。


”監視カメラ”みたいな固定映像。


防波堤。


五人の姿。


レンたちがいる。


そして。


少し遅れて、

海の中から”誰か”が上がってくる。


ザブッ。


全員の呼吸が止まる。


濡れた人影。


顔は見れない。


でも。


異様に細長い腕だけが、

不自然に揺れている。


ミナが最初に気づく。


動画の中で、

後ろを振り返る。


『......いた』


詩音が眉をひそめた。


『また?』


その時。


海の人影が、

ゆっくり歩き始めた。


防波堤。


五人の方へ。


レンの喉が乾く。


動画の中の自分たちは、

まだ気づいていない。


でも。


ミナだけが、

ずっと”それ”を見ている。


そして。


人影が、

詩音の真後ろまで来た瞬間。


映像が激しく乱れた。


ザーッ!!!!!!


悲鳴。


ノイズ。


波。


そして。


画面いっぱいに、

黒い顔が映る。


空洞みたいな目。


濡れた口。


歪んだ笑顔。


『見つけた』


ブツッーー


映像が乱れた。


誰も動けない。


その時。


後方の席から、

椅子が軋む音がした。


ギィ......。


レンたちはゆっくり振り返る。


詩音が立ち上がっていた。


でも。


様子がおかしい。


俯いたまま、

小さく震えている。


ナギが青ざめる。


「......詩音?」


詩音はゆっくり、

自分のスマホ画面に、

知らない通知が浮かぶ。


  新しい端末でログインされました。


レンの心臓が止まりそうになる。


詩音が小さく呟く。


「......入ってきた」


「え?」


詩音が顔を上げる。


でも。


その目は、

もう詩音じゃなかった。


黒い水みたいな瞳。


歪んだ笑顔。


そして。


掠れた声で、

ゆっくり言う。


『やっと入れた』


その瞬間。


教室の電気が、

一斉に落ちた。

読んでくださってありがとうございました。


今回は、

”ログイン”

をテーマにしていました。


昔のアカウントへ急にログイン通知来ると、

ちょっと怖いんですよね。


あと、

「同じ顔なのに違う」感じ、

かなり好きなホラー表現です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ