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既読がつかない夏  作者: 蒼空
MINA archive

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19/40

第十九話  未送信

第十九話です。


今回は、

”言っていないこと”

を意識して書いていました。


誰かが隠してることって、

気づいた瞬間急に怖くなりますよね。

夕暮れの旧校舎。


教室の黒板には、

まだ白い文字が残っていた。


  5人目はだれ?


誰も動けない。


窓から入る赤い光だけが、

静かな教室を照らしている。


その時。


ピコン。


机の上のスマホが震えた。


三人とも片を揺らす。


画面。


グループチャット。


  朝倉ミナ

  『ねぇ、覚えてる?』


レンは無意識に、

佐伯ナギを見た。


ナギだけが、

そのメッセージを見た瞬間、

顔色を変えていた。


「......佐伯」


ナギは答えない。


黒川ユウトが低い声を出す。


「お前、何隠してんの」


沈黙。


教室の空気が重い。


やがて。


ナギは小さく息を吐いた。


「......私」


震える声。


「最後の日、ミナと喧嘩した」


レンの心臓が嫌な音を立てる。


「喧嘩?」


ナギは俯いたまま頷く。


「些細なことだった。でも」


言葉が止まる。


夕暮れの教室。


遠くの蝉の声。


「ミナ、ずっとスマホばっか見てたから」


レンは黙って聞いていた。


「誰と話してるのって聞いた」


ナギの指先が震えれている。


「そしたら、”見つけたから大丈夫”って」


空気が静まる。


ユウトが眉をひそめた。


「見つけた?」


ナギはゆっくり頷く。


「でも意味が分からなくて。怖くなって」


その時。


ピコン。


また通知。


三人同時だった。


  不明なユーザー

  『あの時も5人だった』


教室の温度が、

一気に下がった気がした。


レンが画面を見る。


送信時刻。


  5:13 PM


でも。


既読欄が無かった。


代わりに。


  未送信


と表示されていた。


「......何これ」


ユウトの声が震える。


送られているはずなのに、

”未送信”。


矛盾した表示。


その瞬間。


教室後方の机から、

微かな振動音が聞こえた。


ブブッ。


三人が同時に振り返る。


窓際の席。


そこに置かれていたスマホが、

白く光っている。


レンは恐る恐る近づいた。


画面には、

メッセージ入力欄。


そして。


文字が、

勝手に打ち込まれていた。


  『まだ』


  『そこにいる』


レンの呼吸が止まる。


さらに文字が増える。


  『振り返って』


ブブッ。


スマホが震える。


その瞬間。


レンは気づいた。


教室の窓ガラス。


夕焼けの反射。


そこに。


”もう一人”映っていた。


長い髪。


白い制服姿。


レンのすぐ後ろ。


「ーーッ!!」


勢いよく振り返る。


誰もいない。


でも。


窓ガラスの反射の中だけに、

ミナが立っていた。


笑っている。


そして。


その隣に、

黒い影がいた。


輪郭だけの、

知らない誰か。


ノイズみたいに揺れている。


その瞬間。


教室中のスマホが、

一斉に震えた。


ブブブブッ!!


レンたちだけじゃない。


廊下。


別の教室。


遠くからも通知音が聞こえる。


まるで。


学校全体が、

同時に反応したみたいだった。


ユウトが青ざめる。


「......やばいってこれ」


その時。


旧校舎のスピーカーが、

突然ノイズ混じりに鳴り始めた。


ザーッーー


しばらく続いたあと。


小さな声が流れる。


『......ねぇ』


ミナの声だった。


『まだ、見えてる?』


直後。


教室の電気が、

一斉に落ちた。



暗闇。


静かな呼吸音。


誰も動けない。


その時。


レンのスマホ画面だけが、

白く光った。


新しい通知。


  未送信のメッセージがあります


送信者。


  朝倉ミナ

読んでくださってありがとうございました。


今回は、

”送られていないはずのもの”

を意識していました。


入力したまま消したメッセージって、

相手には見えてないのに、

妙に記憶に残ってたりしますよね。


あと、

夕方の学校の窓ガラス、

たまに変なもの見えそうでちょっと怖いです。

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