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既読がつかない夏  作者: 蒼空
MINA archive

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17/40

第十七話  既読なし

第十七話です。


今回は、

”グループに誰かがいる感じ”

を意識して書いていました。


人数が増えただけなのに、

急に空気が変わる時ってありますよね。

教室の空気が、

静かに張り詰めていた。


レンたち三人は、

誰も喋らないままスマホを見つめている。


グループ名。


  既読がつかない夏。


参加メンバー



レン。


黒川ユウト。


佐伯ナギ。


そして。


  朝倉ミナ


最後に送られてきたメッセージ。


  『やっと繋がったね』


レンの喉が乾く。


ユウトが引きつった声を出した。


「......退出できないんだけど」


画面には、

”グループから退出”のボタンが表示されて

いなかった。


ナギが小さく呟く。


「......これ、普通のアプリじゃない」


その瞬間。


ピコン。


新しいメッセージ。


  朝倉ミナ

  『今日、海来れる?』


誰も返信しない。


でも。


画面の下に、

小さな文字が浮かび上がる。


  入力中...

「っ......」


レンの呼吸が止まる。


誰も打っていない。


なのに。


”誰か”が入力している。


しかも。


入力中の表示が、

一人じゃなっかった。


  朝倉ミナが入力中...


  不明なユーザーが入力中...


ユウトが思わずスマホを伏せる。


「やめろって......」


ナギの顔色も悪い。


数秒後。


新しいメッセージ。


  『まだ四人じゃないから』


教室の空気が凍る。


レンは昨日の写真を思い出していた。


”四人分の影”


あれは。


ミナを含めて四人じゃなかったのか。



放課後。


結局、

三人は海へ向かっていた。


行かない方が危険な気がした。


夕方の海沿い。


オレンジ色の空。


静かな波の音。


でも。


人が少なすぎた。


夏休みなのに、

妙なくらい静かだった。


ユウトが小さく言う。


「.......帰りたい」


レンも同感だった。



その時。


ピコン。


グループ通知。


  『うしろ』


レンは反射的に振り返る。


誰もいない。


でも。


ナギだけが、

防波堤の向こうを見たまま固まっていた。


「佐伯?」


ナギの唇が小さく震える。


「......いた」


風が吹く。


長い髪が揺れる。


防波堤の上。


夕焼けの逆光の中に、

白い制服姿が立っていた。


ミナ。


今までで一番、

はっきり見えた。


「おい......」


その瞬間。


ミナがスマホを持ち上げた。


カシャ。


シャッター音。


同時に、

三人のスマホが震える。


新しい写真。


開く。


そこには、

防波堤を見上げる三人の姿。


そして。


撮影者に近づきすぎる位置で、

ミナが笑っていた。


レンは息を呑む。


写真の中のミナは、

今までと違った。


ぼやけていない。


ちゃんと、

存在してるみたいだった。


その時。


ユウトが震えた声を出す。


「......なぁ」


「どうした」


「これ見ろ」


ユウトのスマホ画面。


グループメンバー一覧。


そこに、

新しく名前が追加されていた。


  不明なユーザー


アイコンは真っ黒。


そして。


参加時刻。


  2:13 AM


次の瞬間。


グループへ、

メッセージが送信される。


  不明なユーザー

  『見つかった?』


海風が、

急に冷たく感じた。



夜。


レンはベッドの上で、

今日撮られた写真を見返していた。


拡大する。


ミナの後ろ。


防波堤の影。


そこに。


もう一人、

誰か立っていた。


白でも黒でもない。


輪郭だけの人影。


その顔だけが、

ノイズで潰れている。


その瞬間。


写真が勝手に更新された。


ノイズの奥から、

文字が浮かび上がる。


  既読 0

読んでくださってありがとうございました。


今回は、

”グループの空気”みたいなものを書いていました。


人数が増えただけなのに、

急に喋りづらくなる瞬間ってありますよね。


あと、

海辺でスマホを見る時の画面の明るさ、

結構好きです。

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