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既読がつかない夏  作者: 蒼空
夏休み前線

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16/40

第十六話  「接続中」

第十六話です。


今回は少し、

”繋がったままの通知”

を意識して書いていました。


切ったはずなのに、

まだ続いている感じって妙に怖いですよね。

ザーッーー


イヤホンの奥で、

ノイズが鳴っていた。


レンはベッドの上で固まったまま、

スマホ画面を見つめる。


  朝倉ミナ

  通話中  02:13:21



「......なんで」


指が震える。


通話した覚えなんてない。


なのに。


画面では、

ずっと”繋がっている”。


イヤホンから、

小さな呼吸音が聞こえた。


『......れん』


息が止まる。


聞き覚えのある声。


近い。


まるで、

耳元で囁かれたみたいだった。


レンは慌てて通話終了を押す。


暗転。


通話終了。


ブツッ。


スマホが震える。


画面が再び点灯する。


  接続中


「っ......!」


レンは勢いよくスマホを伏せた。


でも。


イヤホンからは、

まだノイズが聞こえている。


ザーッ。


ザーッ。


その奥で。


『なんで見えないの』


レンはイヤホンを外した。


呼吸が浅い。


部屋の時計を見る。


午前二時十三分。


嫌な汗が流れる。


その時。


コン。


窓を叩く音。


レンの全身が凍りつく。


二階の部屋。


外に人がいるはずがない。


コン。


コン。


ゆっくり。


一定の間隔。


レンは動けなかった。


スマホが震える。


通知。


  ビデオ通話に切り替えますか?


「......やめろ」


思わず声が漏れる。


その瞬間。


窓の外で、

何か白いものが揺れた。


レンは反射的にカーテンを閉める。


見えた気がした。


長い髪。


白い制服。


でも。


確信を持つ前に、

隠してしまった。



翌日。


教室。


レンは寝不足の顔のまま席へ座った。


すると、

黒川ユウトが机へ突っ伏したまま言う。


「......昨日、通話きた」


レンの動きが止まる。


「お前も?」


ユウトはゆっくり頷く。


「しかも勝手にビデオ通話になった」


「は?」


「でも映ってたの、俺の部屋じゃなかった」


背筋が冷える。


その時。


佐伯ナギが教室へ入ってきた。


でも。


様子がおかしかった。


スマホを強く握りしめている。


レンが声をかける。


「佐伯?」


ナギは少し黙ってから、

小さく言った。


「......昨日、ミナから電話が来た」


教室の空気が静まる。


「出たのか?」


ナギは答えない。


その沈黙だけで、

レンは理解してしまった。


ユウトも顔を青ざめさせる。


ナギは震える声で続けた。


「最初、何も聞こえなかった」


窓の外で蝉が鳴く。


「でも途中で」


ナギの指先が小さく震える。


「後ろから、”おかえり”って聞こえた」


レンの背筋に冷たいものが走る。


「......後ろ?」


ナギはゆっくり頷いた。


「電話の向こうじゃなかった」


教室の空気が、

一瞬で冷えた気がした。


その時。


ピコン。


三人同時に通知音が鳴る。


誰もスマホを見ない。


でも。


レンは、

見なくても分かってしまった。


恐る恐る画面を開く。


新着通知。


  グループが作成されました


グループ名。


  既読がつかない夏


参加メンバー。


レン。


ユウト。


ナギ。


そして。


  朝倉ミナ


最後に、

新しいメッセージが表示される。


  『やっと繋がったね』

読んでくださってありがとうございました。


今回は、

”切れない通話”みたいな空気を意識していました。


夜中の通話って、

切ったあともしばらく耳の残る感じありますよね。


あと、

グループ名の通知って妙に現実感があって結構

怖いです。

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