第十四話 既読
第十四話です。
今回は少し、
”見られている感じ”
を意識して書いていました。
誰もいないはずなのに、
視線だけ残ってる時ってありますよね。
夜十一時四十分。
レンがベッドに寝転びながら、
スマホ画面を見つめていた。
暗い部屋。
エアコンの音。
そして。
画面に開かれた、
"MINA archive"。
再生バーは、
まだ買ってに動き続けていた。
「......なんなんだよ」
レンが小さく呟く。
止めても。
閉じても。
気づけばまた開かれている。
まるで。
”見せたがっている”みたいに。
その時。
ピコン。
新しい通知。
朝倉ミナからメッセージが届きました。
レンの喉が詰まる。
恐る恐る開く。
アイコンは空白。
送られてきた内容は、
一言だけだった。
『まだ見えてる?』
心臓が嫌な音を立てる。
既読をつけるべきか迷う。
数秒後。
また通知。
『ねぇ』
『レン』
『いる?』
メッセージが増えていく。
その瞬間。
誤って、
トーク画面をタップしてしまう。
既読。
小さな文字が表示される。
その直後だった。
朝倉ミナが入力中です
「っ......!」
レンはスマホを落としそうになる。
仮面の向こう側で、
誰かが”今この瞬間”打っている。
呼吸が浅くなる。
そして。
ゆっくり、
新しいメッセージが表示された。
『見つけた』
同時に。
コンコン。
部屋のドアが鳴った。
レンの全身が硬直する。
「......母さん?」
返事はない。
コン。
コン。
小さい音。
ゆっくり。
一定の間隔。
レンは息を止めたまま、
ドアを見つめる。
スマホが震える。
『あけて』
その文字を見た瞬間。
ガタッ!!
ドアノブが、
勢いよく揺れた。
「ーーッ!?」
レンは反射的に立ち上がる。
でも。
次の瞬間、
音は止んだ。
静寂。
エアコンの音だけ。
恐る恐る近づく。
ドアを開ける。
誰もいない。
暗い廊下だけが続いていた。
その時。
後ろで。
ピコン。
レンは凍りついた。
机の上に置いたスマホ。
そこには。
”今のレンの部屋”が映っていた。
後ろ姿のレン。
開いたドア。
そして。
ベッドの横。
暗い部屋の隅に、
白い制服姿がぼんやり立っている。
「っ......!!」
レンは勢いよく振り返る。
誰もいない。
でも。
写真の中では、
ミナが確かにそこにいた。
しかも。
笑っていた。
翌日。
レンは寝不足のまま学校へ向かっていた。
教室へ入ると、
黒川ユウトが真っ先に顔を上げる。
「お前も来た?」
「......何が」
ユウトは無言でスマホを見せた。
通知画面。
レンの地血の気が引く。
「......お前も?」
ユウトは青ざめたまま頷く。
その隣で。
佐伯ナギだけが、
妙に静かだった。
レンは気づく。
ナギのスマホ画面。
通知件数。
99+
その一番上に。
朝倉ミナ
と表示されていた。
読んでくださってありがとうございました。
今回は、
”既読”をかなり意識した回でした。
メッセージって、
返事が来るより、
既読がつく瞬間の方が妙に緊張する時がありますよね。
あと、
夜中の通知は見ない方がいい気がしています。




