表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元プロゲーマー、VRで銃が当たらないので投げナイフだけで無双します。  作者: 那須 儒一
四章 ジャパンリーグ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/79

74話 エンディング

――ピンポーン

一年経った今でも、このかすれたインターホンの音が懐かしく感じる。


昔と比べて、ここに人が来ることはほとんどないから……。


足がもつれさせながらも玄関に向かう。

いつも出入りしている扉なのに――重く感じた。


「……ひ、久しぶり……」


「うん……久しぶり……」


なぜか互いにぎこちなく挨拶を交わす。


髪が伸びて少し大人びた舞ちゃんは、

もこもこのセーターを着て立っていた。


「中に入ってよ……」


舞ちゃんは「お邪魔します」とだけこぼして、

部屋に上がる。


「ここ、泉くんの匂いが充満しているね……」


「え、加齢臭か?」


「そ、そんな意味で言ったんじゃないんだってば!」


俺たちはかつての距離感を、思い出すように会話を重ねていく。


§


「舞ちゃん! 登録者数100万人突破したんだろ? すごいじゃん、おめでとう!」


「えへへ……何かしてないと、おかしくなりそうだったから……」


「……相談せずに、自分で決めて出ていってごめん……」


「……許さないから」

舞ちゃんは低く声を漏らす。


「……」

俺はその言葉に何も返せなかった。


鳥の声が響くだけで、アパートは静まり返っていた。


「今日は……どうして連絡くれたの?」


「……舞ちゃんに伝えたいことがあって」


「……なに?」


俺は何度も頭の中で反芻した台詞を声に乗せる。


「……俺は加藤舞を――愛している。

出会ったあの日から」


「はぁ……」

舞ちゃんがため息を漏らす。


そうだよな……あれから一年以上が経った。

もう、何もかも遅すぎた。


俺は目をつむった。


えっ!?


突然、押し倒された。

瞼を開くと、舞ちゃんは俺の胸に顔を埋めていた。


「遅いよ……遅いよ……ずっと……ずっと待ってたんだから……」


俺は彼女の背中に手を回した。

もう離さない……そう決めた。


彼女の唇が俺の唇に触れる。


――どれくらいの時間が流れた?

一時間か……あるいは一分だったかもしれない。


お互いの感覚が分からなくなるくらい、重ねていた。


「……それで……お返事は?」


「うん」


「うん……ってのは、YESってこと?」


「ふふ……海人くんは、相変わらず締まらないなあ」

彼女の吐息が頬にかかる。


§


小気味よい包丁の音がキッチンから響く。


「海人くん!

もうすぐご飯だから、机の上、片付けてよ!」


「今、いいとこなんだけど?」

俺は自分のライバーの動画を鑑賞していた。


「なによ、なんか、文句あるの?

海人くんの肉じゃがだけ、醤油、砂糖、みりん抜きにするよ?」


「それだけはご勘弁を……」


俺たちはすぐに同棲を始めた。

昔は隣人同士――薄い壁が隔てていた。


でも、今は同じ生活空間を共有している。

喧嘩だってときどきするし、舞ちゃんが嫉妬して拗ねるときだってしょっちゅうだ。


それでも、毎日幸せだった。


「海人くん……ご飯が終わったら、携帯チェックするから……」


「えっ、また?」


「最近、可愛い新人さんが入ったでしょ……海人くんが手を出してないかチェックしないと……」


「俺は舞ちゃん一筋だって、いつになったら信用してくれるんだよ。スマホの待ち受けも舞ちゃん、職場では舞ちゃんがいる方角に祈りを捧げて昼食を食べてんだよ?」


「海人くん、この前――その子が料理上手だって話してたでしょ?

私が料理が苦手だから当てつけのつもり?

それに、どこかで食べたの?」


やばい……いつもの詰問モードだ。

新人の子の手作り弁当を食べたなんて口が裂けてもいけない。

でも、付き合い上、仕方なかったんだ。

俺の心はいつも舞ちゃん一筋だ。


そう弁明したかったけど、余計に怒らせるだけだろう。


「ま、舞ちゃんの料理だって、独創性があっておいしいよ!」


「それ……褒めてる?」


「当たり前だよ!

俺、舞ちゃんの料理以外口に合わないから!」


「なら、毎月の飲み代……減らしていいよね?」


「うっ……そ、それは付き合いもあるから……」


「キャバクラの名刺も付き合い?

スーツに香水の匂いがつくぐらいそこにいたのも付き合い?」


やばい、先日の接待がバレている……。


「舞ちゃん!」

俺は最終手段で舞ちゃんを押し倒した。


「俺が……好きなのは舞ちゃんだけなんだ!」

彼女を必死に抱きしめる。


「ちょ、ちょっと……毎回こんなので、私が許すと思わないで……んっ!?」

俺は舞ちゃんの唇を塞いだ。


すぐに彼女の顔がとろんと溶けた。


「舞ちゃん、もう少しだけ抱きしめさせて……」


「でも……肉じゃがが冷めちゃうし……」


「舞ちゃんの肉じゃがは冷めても美味いから。

それに、舞ちゃんを温めないと」


「もう……仕方ないな……」


そうこぼす舞ちゃんは、満更でもなさそうだった。

約一ヶ月、駆け抜けるように、この作品を書き続けていました。

当初はタクティカルヒーローシューターを書きたかったのに、気づいたらラブコメに寄ってました。

本当は武器種類まで書き上げて、細かい設定を詰める予定でしたが、小説で表現するにあたってテンポ感が死ぬなと思って、断念しました。

ここまでご愛読いただいた方には本当に感謝しています。


正史ルートとしてはここでエンディングとなります。

次章にて、“海人が別のヒロインを選んでいたら”と言うことでifルートを各ヒロインごとに作成していきます。

蛇足に感じる方もいるかと思いますが推しのヒロイン回でもお読みいただけたらと存じます。


ブックマーク、評価、感想などよろしければぜひ教えていただければ幸いです。

特に皆さんの推しのヒロインとかが知りたいですね。

私はダントツで岬推しです。次点で茜ちゃんかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ