50話 NF杯②
《ネオンフラグ》NF杯――準決勝。
「さぁ、各チーム――転送されました。
マップはヘリオス――横長の巨大な太陽熱発電施設になります。A/B/Cのスリーサイトが特徴的ですが、すべて隣接しているため、どこから攻めて、どこを守るかより重要度が増すマップですねえ」
黒田の実況が響き渡る。
「ねえねえ黒田、アストラってかつて世界を獲ったのよね?」
「その通りシュガーちゃん、よく知ってたね。
泉海人が現役時代――まだ、キーマウゲームだったNFで、一度だけ世界大会で優勝しています!」
「ふ〜ん。で、VRゲー厶になって、弱くなったんだ……」
「弱くなったわけではありませんが、
競技性自体がかなり変わりましたからね」
「なら、当時はあんな、えぐい合体技――なかったの?」
「えっ、合体技?」
開幕数秒――チーム︰風呂でカタパルト攻撃側、
背後に赤い死神が――降り立つ。
一瞬にして、二人、投げナイフの餌食となる。
味方が気づき振り向いた瞬間――回収された投げナイフが二本飛び更に二人落ちる。
チーム︰俺たちVSチーム︰風呂でカタパルト
5VS1
「「レイ選手!? どうしてそんな場所に!
てか、どうやってそこまで飛んだ!?
フロッグのウルトでも、相手の初期位置には飛べないはずですが……開幕、あっという間に投げナイフで四人落とされたぞ!」
「残るは、プロゲーマーチーム︰ゼニス所属の村雲棗選手――再び投げナイフを回収したレイ選手が一直線に迫る!」
棗はサブマシンガンの引き金を引く――直後、レイは斜めに飛び、発電施設の壁面を駆ける。
「えぐっ、壁走りじゃん!」
シュガーの声がワントーン低くなる。
アビリティ︰ドッペルゲンガー
二体の分身が放たれる。
「おおっと、ここでレイが三人に分かれる!
壁を走り続けるレイ、下に降りて棗に迫るレイ、後退して投げナイフを構えるレイ――さあ、棗選手、確率は三分の一だ!
選択をミスれば待つのは――死のみ!」
ウルト︰ビッグバン
棗の上空に巨大な光が瞬く――
「おおっと、棗選手――第四の手を打ってきた!
フラッシュを使い、全員仕留めるつもりだ!」
「レイちゃんの勝ちね――」
シュガーの声が鋭く飛ぶ。
瞬く光の最中、目を閉じていたままの霧雨レイが、ナイフを投げる――
棗は銃を撃つ間もなく赤い光に還る。
「な、なんと……開幕、わずか20秒で……チーム︰俺たち……いや、赤い死神……霧雨レイがラウンドをもぎ取りました!」
なんで、開幕敵陣にいたんだ?
全然、わからん
チート? グリッジ?
赤い死神えぐすぎ!
コメント欄も困惑の嵐。
「えぇ~すみません。シュガーちゃん?
何が起こったか見てました?」
「えぇ~、黒田ってば実況なのに見逃してたんだ?」
「え、ええ……霧雨レイ選手と白雪ユキノ選手が準備フェーズ時に二人で固まってたのは見ましたが……イチャイチャタイムかと思い、イラッとして目を逸らしました……」
「黒田……」
シュガーの深いため息が、コメントの熱に溶ける。
「……ったく、仕方ない……シュガーが解説してあげるわよ。グレイシャルのアビリティで氷柱を出して、その上に乗ったフロッグが、ウルトで敵陣まで飛んだのよ!」
「な、なるほど……この、ヘリオスの横長マップだからこそ、成立する奇襲ですね」
「そのうち、修正されそう……」
「どうでしょうか……そもそも、フロッグを使うプレイヤーが稀ですからねぇ」
§
「さあ、準決勝――一戦目を下したのは、チーム︰俺たち!
結局、風呂でカタパルトは、突然、現れる霧雨レイの影に怯え、動きが消極的になってましたね」
「いや、神出鬼没の死神がいたら誰だってそうなるわよ……しかも、フロッグのジャンプするウルトって毎ラウンド使えるんでしょ?
終わってるわぁ〜」
「ははは、確かに終わってますね〜」
レイちゃん、ガチ死神じゃん!
俺のとこにも現れてえ〜
壁ってどうやって走るんだ?
歴史に残る試合だった……
スコア6-0でチーム︰俺たちの勝利画面がでかでかと輝いていた。
今回、登場したヒーローの解説だけ乗せますね。
興味がありましたお読みください。
【フロッグ】 使用者:霧雨レイ
ラーク特化のキャラ。
機動力と隠密で敵の懐に入るのが基本的な立ち回り。撃ち合いには不向き。
ランク使用率最下位で1%未満。
パッシブ︰サイレントステップ
移動時の足音を大幅に軽減。機動力も上がる。
常時発動。
アビリティ︰ドッペルゲンガー
分身を二体までだす。簡単な行動パターンなら動かすことができる。
リキャスト20秒。
ウルト︰グランドエスケープ
マップの選択した地点まで大ジャンプをする。
壁の高さによっては乗り越えられる。
飛べる距離に制限あり。
毎ラウンド1回使用可能。
メイン︰ハンドガン
小回りが利き、機動力にボーナスがつく。
サブ︰投げナイフ✕二本
ヒットすれば、一撃必殺。
ただし、再使用には投げナイフを回収する必要あり。
【グレイシャル】 使用者:白雪ユキノ
ラークヒーロー。
パッシブにより、近接での撃ち合いも強く、近接武器を所持している。
アビリティで壁や足場の作成が可能。
ボム設置に有利なヒーローでもある。
パッシブ︰スノウカーテン
粉雪をまとい、自身の位置を誤認させる。
射撃時ミニマップに映らない。
敵視点で狙った位置と実際の位置にズレが生じる。体感的にはラグのように感じる。
アビリティ︰アイシクル
半径2メートルの巨大な氷柱を落とす。
ダメージ20、直接ヒットすることはまずない。
氷柱は壊されるまで存在し続ける。
耐久値300
足場や壁として活用できる。
毎ラウンド1回使用可能。
ウルト︰スノーバイト
氷の狼を走らせる。噛まれると爆ぜる。
ダメージ50
ヒット時は5秒間敵の視覚が遮断される。
素早いが、射撃で簡単に壊れる。
2ラウンドに一度使用可能。
使用後は次のラウンドは使用不可になる。
メイン︰サブマシンガン
サブ︰レイピア(近接武器)
射程距離1m
ダメージ50
【ルクス】 使用者:叢雲棗
光と重力操作を軸に、
突破するエントリーヒーロー。
パッシブ︰ライトウェイト
ジャンプ力が1.5倍になる。
アビリティ︰アクセラレート
慣性を無視して任意の方向に加速する。
リキャスト20秒
ウルト︰ビックバン
巨大な閃光弾が上空に爆ぜる。
ただし、目を閉じれば回避可能。
直視した場合は5秒間視界が真っ白になる。
敵味方に当たる。
2ゲームに一度使用可能。
使用した次のラウンドは使用不可。
武器
メイン︰サブマシン
サブ︰ハンドガン




