49話 NF杯
NF杯――
全16チームが、ハート・スペード・ダイヤ・クラブの4グループに分かれ、予選リーグを戦う。
各グループ首位のみが決勝トーナメントへ進出。
勝ち上がった4チームによる準決勝、決勝戦でNF杯の頂点が決まる。
五月中旬――激戦を経て各グループの首位が確定する。
【グループ:ハート】
チーム:ミツルLOVE♡ズ
♡二宮詩音
♡羽袖キララ
♡犬柴アカリ
♡コマゾウ
♡鳴神リュウガ
【グループ:スペード】
チーム:あんかけ焼きそば
♠片桐充
♠神宮寺ムラサキ
♠ワルキューレ斎藤
♠町娘メルル
♠花咲リルハ
【グループ︰ダイヤ】
チーム:風呂でカタパルト
◇村雲棗
◇けんた
◇神童ハヤテ
◇二階堂サリナ
◇くるくるココア
【グループ︰クラブ】
チーム:俺たち
♣坂本由里
♣霧雨レイ
♣白雪ユキノ
♣東雲ミリア
♣やさぐれワンカップ
§
コメント欄が熱を帯び、実況席にサングラスの男とV体の幼女が映し出される。
「さあさあ皆さん!
ついにこの日がやってまいりました。
実況を務めさせていただくのは、わたくし黒田と――」
「ぶいこれ所属の噛みつき系メスガキ担当――
甘噛シュガーでーす!」
黒とピンクを基調にした小悪魔系の衣装。
ぶかっとしたパーカーの袖を指先まで隠し、ヘッドセット越しにニヤッと笑う。
「シュガーちゃん、今日も可愛いね!」
「え〜、ほんとですかぁ?
それなら黒田さん。お菓子ちょーだい!」
ツインテールに飾られた、髑髏やハートのアクセサリーを揺らし、空いた口元からは、可愛らしい八重歯が光っていた。
「おじさんが、何でも買ってあげるよ」
シュガーちゃんが実況とか上がるわ〜
おい、パパ活はやめろ!
黒田、シュガーちゃんに手を出したら許さんからな
NF杯のために会社休みました!
コメント欄が盛り上がりを見せる。
「それでは最初の対戦カードは、
アストラの坂本選手率いる、チーム俺たち
VS
ティアラの村雲選手率いる風呂でカタパルト――
今大会の準決勝、4チーム中、3チームはアストラのプロゲーマーチームが勝ち抜いていますね」
「げっ、ミリア先輩勝ってんじゃん!」
シュガーが露骨に嫌そうな顔を電波に乗せる。
「そう言えば、東雲ミリアさんは、シュガーちゃんと同じ、ぶいこれ所属でしたね。
先輩が勝ち上がって、さぞ嬉しいでしょう」
「しゅがー、ミリア先輩きらーい。
私より同接多いから」
「まあまあ、シュガーちゃん。せっかくだから、応援してあげてよ」
「ミリア先輩から、応援代でお菓子もらおーっと」
「ははは……さ、時間も押してまいりましたので、さっそくインタビューに移りたいと思います!
まずは、チーム俺たち――アストラ所属の坂本由里選手!」
LIVE会場の壇上に、手を振る由里が映し出される。
由里さんかっこいい!
レイちゃんと雰囲気似ているよね
ダブルお姉様……いや、レイはお兄様か?
由里ちゃんに踏まれたい!
「さあ、坂本選手――本日の意気込みをお願いします!」
「勝つ!」
由里はそれだけ、断言する。
「シンプルイズベスト――坂本選手、相変わらずかっこいい!
さ、続きまして、赤い死神こと、霧雨レイ選手!」
鋭い眼光が反射し、長い赤髪が揺れる。
レイたそきたー!
泉くーん!
確かに、由里ちゃんと似てる
投げナイフキル待ってます!
「由里を勝利に導く!」
「おおっと!?
レイ選手はかつてアストラに所属していたとのこと――これは、エモいですねぇ!」
「さ、続きまして、雪原に佇む一輪の花――戦場に舞う剣閃は見る者を魅了する!
ルミナスイリア所属――白雪ユキノ選手です!」
「ちょっと……黒田、ユキノちゃんの時だけ紹介に熱が入り過ぎじゃない?」
シュガーが目を細める。
「はい……わたくし、何を隠そうユキノちゃん推しです!彼女のプレイスタイルに一目惚れしました!」
確かにユキノちゃんは可愛い
実況席、公平に対応しろ
シュガーちゃんもかわいいよ
「みんな、黒田を炎上させていいわよ〜」
「シュガーちゃん、それだけは勘弁してください……私には妻と子どもがいるんです……」
「むしろ、お父さんが美少女V推しとか、公言してたら子どもと嫁ちゃんが泣くわよ……」
「これもパフォーマンスですから……さ、ユキノちゃん、何か一言お願いします!」
「黒田……キモい……」
白雪ユキノがそれだけ吐き捨てる。
「キモいいただきました〜!」
「あんた、なんで喜んでんのよ……マジできもっ。
はいはい、バカ黒田はほっといて次行くね〜。
やさぐれワンカップさん、どうぞ〜」
黒田から甘噛シュガーが引き継ぐ。
「君の瞳に乾杯――やさぐれワンカップです!」
ダンディな中年男性が、慣れないウィンクをする。
「はいはいありがとねぇ〜」
「シュガーちゃん、冷たいよ〜」
やさぐれワンカップは、悲痛の叫びを残し、画角が東雲ミリアにきり替わる。
「はい!チーム俺たちは以上になりま〜す!」
「ちょっと、シュガーちゃん!
私もいるんですけど!」
「あっ、ミリア先輩いたんだ?」
「いたわよ〜!
ちょっと、シュガーちゃん、私に冷たすぎない?」
「そんなことないですよ〜
ミリア先輩、尊敬してまーす」
「ちょっと、棒読みじゃない!」
「はい、紹介は以上になりま〜す!」
いつもの掛け合い安心する
ミリアちゃんかわいそう
ミリ虐w
あっ、これ普段の掛け合いなんだ。本当に仲悪いわけじゃないよね?
「シュガーちゃんの紹介もだいぶ雑だったよ?」
「なんか、文句ある?」
「いえ、何もございません……」
気圧された黒田が頭を下げる。
その後――風呂でカタパルトの挨拶も済み、
選手たちが戦場へ転送された。
コメント欄の熱狂とともに、準決勝が幕を開ける。




