44話 チーム発表
第一回NF杯――
割当てられたメンバーが発表される。
・坂本由里
・霧雨レイ
・白雪ユキノ
・東雲ミリア
・やさぐれワンカップ
由里と同じチームか……この前、挨拶しただけに、なんか気まずい。
ユキノちゃんと同じチームなのはありがたい。
さすがに知らないメンバーが多いと緊張するからなあ。
それと、東雲ミリアさん……この前、交流戦で実況してくれた別箱のVTuberの人だよな。
もともとVTuberの配信を見ないから、
あんまり詳しくは知らないけど……。
……やさぐれワンカップ?
名前からして終わってる。有名配信者なのかな。
やさぐれニキいんじゃんw
なかなか濃いメンバーだな
由里さんがいる! かっこよくて好きなんだよね!
てか、海人と由里のドリームマッチじゃね?
めっちゃエモい!
ユキノちゃんは泉から引き離せ!
コメント欄も盛り上がってんね。
身バレしてから、霧雨レイ呼びと泉海人呼びが混在してて、ややこしい。
それに、ユキノちゃんのファンから、やたら警戒されているし。
§
さっそく、各自ボイスチャットを繋ぎ、
チームメンバーとの顔合わせが始まる。
「こんばんは」
「おつかれっす〜」
「初めまして!」
なんか、この雰囲気――新鮮だな。
「私は、今回コーチ枠兼プレイヤーとして参加させていただいた坂本由里だ。試合までの一ヶ月間――よろしく頼む!」
アストラは普段は充が引っ張っているけど、
由里も充分にリーダーに向いているんだよな。
「あなたの死神――ルミナスイリア所属の霧雨レイだ。投げナイフしか使えないけど、よろしくね!」
そういえば、この霧雨レイってキャラ、
由里に少し似ている気がするな。
「あなたの心にしんしんと――ルミナスイリア所属……白雪……ユキノ……」
他のメンバーの反応が薄い。
「ユキノちゃん……何その挨拶?
初めて聞いたんだけど……」
「うん……いいでしょ!」
うん。もう、可愛いから何でもいいか。
「は〜い☆
ぶいこれ所属、みんなのアイドル――東雲ミリアだよ〜☆」
なるほど、賑やかし枠ね。
まあ、チームバランスはいいか。
最後はやさぐれワンカップさん……
いったいどんな人なんだ?
「どうも〜、心に沁みるワンカップ――やさぐれニキで〜す!」
字面だけ見ると、可愛らしい感じもするが、ゴリゴリの渋い男の低音が響く。
やさぐれニキきた〜!
やさぐれニキめっちゃ好き!
こいつのせいでワンカップにはまったw
なんで、こんなに人気なんだ……?
まぁ、チーム雰囲気のバランスとしていいのか?
――うん。そう思うようにしよう。
「一通り、自己紹介は終わったね。
さっそくなんだけど、みんなのランク知りたいから教えてほしいかな」
由里がさっそく仕切っていく。
こいつ、こういうのは得意だからな。
「俺は、今――マスターランクかな。そんで、ユキノちゃんは?」
「レジェンド……」
最高クラスに到達したのか……さすがだな。
「私は〜プラチナだよ〜!」
東雲さんはプラチナか……由里は当然レジェンドとして、やさぐれニキは――。
「オレっちは昨日、NFをインストールしたぜ!」
「わかった……初心者ね……今日はとりあえず顔合わせだから、明日から、時間が合う人たちで本格的に練習始めるわよ!では、解散!」
「「おつかれさま〜」」
ひとまず解散となった。
これから忙しくなりそうだ。
§
配信を終えると、
ダイレクトメールの通知が点滅する。
「泉……この後、時間ある?
ご飯行かない……?」
由里か……そうだな。
臨時とはいえ、また、同じチームになるんだ。
わだかまりを抱えたままじゃ――支障をきたすよな。
わかった……待ち合わせ場所はいつものところで――そう返信した。
いつも待ち合わせていた公園に着くと、由里が立っていた――横には大型バイク。
「おまたせ……」
「私も、いま来たとこ……後ろに乗って」
「うん、頼む……」
岬から貰ったヘルメットとライダースを羽織る。
「そのライダース、えらく年季が入ってるわね?」
「友達からのもらいもんなんだ」
「ふ〜ん。女の子でしょ?」
「うっ……なんで、わかったんだ」
「なんとなく……ね」
短いやり取りをして、二人で行きつけだったファミレスに向かう。
――窓際の隅の席に座る。
「泉……来てくれてありがとう」
由里の顔は沈んでいた。
「こちらこそ、誘ってくれてありがと」
昔みたいには話せない。
互いに距離があるのは分かっていた。
――上辺だけの会話が続いた。
「泉……何にする?」
「俺は決まったよ」
「そうか……」
しばらくして、店員さんが来た。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」
「ミートソースパスタの大盛りを一つと、苺パフェを一つ――以上で!」
「えっ……!?」
俺の注文に由里が困惑していた。
「泉……」
由里は必死に声を押し殺し――静かに肩を揺らす。
「泣くなよ、俺が泣かせたみたいじゃん……」
「泉が泣かせたんだ……」
彼女は、必死に目元をこする。
プロゲーマー時代――金がなかった俺らは、ミートソースパスタ大盛りを半分こして、苺パフェを分け合って食べていた。
由里と会わなくなって――ここには来なくなった。
「由里……昔みたいには、戻れないかもしれない。
でも、これからもよろしくお願いします」
彼女は、目元を押さえながら、何度も頷いていた。




