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元プロゲーマー、VRで銃が当たらないので投げナイフだけで無双します。  作者: 那須 儒一
三章 NF杯編

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45話 スクリム

「みんな、遅い時間に集まってくれてありがとう! 東雲しののめさんは、仕事の都合で今日は参加できないそうだ」


由里ゆりの凛と張った声が響く。


東雲ミリアさん――登録者200万人の化け物VTuberだ。多忙な中、大型イベントにも参加して――本当に頭が下がる。


「レイ……眠い……」

ユキノちゃんの欠伸が、ボイスチャット全体に伝わる。


「なになに〜、ユキノちゃんってば、眠いの?

オレっちと寝落ちもちもちする?」


やさぐれワンカップさんのキャラが大体掴めてきた。


「……」

ユキノちゃんは無反応だ。


「無視かい! こりゃ、手痛いねぇ〜

仕方ない……由里ちゃんで妥協するか……」


由里相手に怖いもの知らずだな。

彼女は、怒らせると大変なんだから。


「リスナーのみんな、今のとこ切り取ってね。 ……裁判で使うから」


由里も負けてない。


「もぉ~由里ちゃんってば、冗談じゃない」


「やさぐれニキさん。

なかなかキャラが濃いですね……」


「おっ、レイちゃんは男だったっけ?

ま、ギリ大丈夫か……」


何が大丈夫なんだ……聞くのが怖いからやめとくけど。


「由里……今日の練習はどうするんだ?

ヒーロー決めか?」


「そうだな。みんなのプールも知っておきたいし……」


俺たちは練習モードでヒーローを選択する。


「ちなみに俺は“フロッグ”しか使えないから……」


「私……レイピアしか使えない……だからグレイシャル……」


グレイシャルはメインにサブマシンガンを持っている。ユキノちゃんが、レイピア以外を使っているところ――見たことないな。


……俺と同じで、何か理由があるのか?


「ユキノちゃん……理由を聞いても?」


由里がユキノちゃんの内面に踏み込む。


「うん……私……相手を刺した時……その感触が……心地よくて……」


「……ん?」


なんか、想像してた理由と違う。

もっと湿っぽいやつかと思ったけど……

発言だけ切り取るとシリアルキラーと遜色ないぞ。


「ユキノちゃん! 爽快感が大事ってことやね?」


「うん……」


なんか、やさぐれニキさんが上手くまとめてくれた。


これ以上は掘り下げない方がよさそうだ。


「私は、三人ぐらい使えるけど、一番はストーカーかな」


確かに由里のストーカーは別格だ。

探知に特化したヒーローで、こいつがいるだけで、情報戦がかなり有利になる。


正直、チームに一人は欲しいヒーローだ。


「オレっちは何でも使えるぜ!」


「えっ、すごいですね……」


やさぐれニキ……実は、ランクマッチはやっていないだけで、NF(ネオンフラグ)は熟練者なのか?

これは、頼もしい――。


「なんにも分からんから、どれを使っても一緒だぜ」


「――って、そういう意味ですか」

期待して損した。


「東雲さんが何を使うか分からないけど、

射線を切るヒーローが欲しいわね」


「ふむふむ……なら、歩く協調性のオレっちが使おうか」


「今日はワンカップさんの指導と、軽い連携練習にしましょっか」


「ワンカップさんって、由里ちゃん距離あるね〜おじさん……寂しいと死んじゃう」


「死んでくれたほうが静かになるからいいかもね」


由里……相変わらず言葉の切れ味が鋭いな。


§


翌日――東雲ミリアさんを交えて、他チームとの初の練習試合が組まれる。


「レイちゃん。チーム名どうしよっか?」


由里からレイちゃんって呼ばれるのは少しむず痒い。


「由里ちゃんってば、レイちゃんに対してはなんか、雰囲気が柔らかくない?」

やさぐれワンカップさんの声がニヤついている。


「はっ? も、元チームメイトだから当然じゃない!」


「私もそう思ってました〜☆

由里ちゃんってば、男にデレるタイプ?」


「も、もう! 東雲さんまでやめてくださいよ!」


「あれ……オレっち……男なんだけど……あれ?」


「ワンカップさんは、男として、みなされてないので、安心してください☆」


「ミリアちゃ〜ん、それ、何のフォローにもなってないよ〜」


東雲ミリアさん……可愛い声して、なかなかに毒舌だな。


「レイ……今日のお昼、お蕎麦食べた!」

ユキノちゃんは相変わらずマイペースだな。


「そうなんだ。美味しかった?」


「うん……でも、わさびがツーンって……」


人見知りなせいか、基本的には俺に話しかけることが多い。


「ほらほら、スクリム初の第一戦が始まるよ!」


由里の掛け声とともに、試合開始(ジャックイン)となる。

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