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元プロゲーマー、VRで銃が当たらないので投げナイフだけで無双します。  作者: 那須 儒一
二章 フルパ編

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29話 フルパ

今日は茜ちゃんも誘って、

NF(ネオンフラグ)でフルパを組んだ。


VTuberに転生して……初のフルパ。

茜ちゃんに気遣い――念のため、配信外で遊ぶことになった。


VRでNF(ネオンフラグ)を起動する。


視界に――まいちゃん、かえでみさき、それぞれのVモデルが写し出される


そして、本日のゲスト、あかねちゃん……って、えっ!?


「この子……」

楓も気づいたようだ。


白いドレスに、細かく編み込まれた白銀の髪。

先日、ランクマ配信で野良で共闘した

“グレイシャル”使い――。


「茜ちゃんって……まさか……」


「この前のランク戦……皆さんだったとは……」

茜ちゃんも、この状況に驚いている。


――試合開始ジャックイン


驚きを抑える間もなく、試合が始まる。


モード︰ランクマッチ/オーバーライド

マップ︰ホワイトベイ

サイド︰攻撃


――積雪に覆われた港。

一度、舞ちゃんと楓で遊んだマップだ。


海側のAサイトとコンテナが乱立したBサイトに分かれている。


海の中を泳げたり、気候変動や地形効果があるのが特徴的だ。


「俺が、中央から抜けるから、それぞれ2−2に別れて……」


「私は海人くんと行きます!私が守るんだから」

舞ちゃんが俺の腕に絡みつく。


「私も……」


「楓もぉ〜、行きますぅ」


続けて茜ちゃんと楓も俺にひっつく。


「まてまて、俺は撃ち合うヒーローじゃないんだよ。敵に見つかったら、不利なんだって!

四人固まったら目立つだろ!」


「岬……行ってる……」

茜ちゃんが指さす先で、岬がBサイト側に既に突撃している。


――弾幕が鳴り響くとともに、岬が青い光に包まれてデスする。


4VS5


「お前、なにしてんだよ!」


「ちっ、あいつら、中々やるっすね!」


「やるっすねじゃないだろ。

無警戒で突っ込むとか、やられて当然なんだよ!

これ、そういうゲームじゃないから」


改めて思う。

このパーティー、タクティカルシューターが向いてないんだ。


「海人くんって……ゲームでは、女の子に強く当たるんだぁ……」


楓がまたまた爆弾を落とす。


「DV彼氏的な?

でも、私、強引な男に弱いから、

今の泉先輩……メロいかも……」

岬も変な方向に話が飛ぶ。


「岬ちゃん……海人くんに近づいたら……撃つよ?」


舞ちゃんの静かな怒声がボイチャに流れる。


このゲームに、

フレンドリーファイア(同士討ち)が無くて良かった。


舞ちゃんの逆鱗に触れ、味方が殺される心配はない。


「舞ちゃん、茜ちゃんの“グレイシャル”の氷柱を盾に、“セラ”のウルトで岬を蘇生できるか?」


「このヒーローのウルト、1ゲームに一度しか使えないから嫌です。

私の蘇生は海人くんにしか使わないって決めてるから」


「舞先輩、ひどいっす……うちを助けてほしいっす……」


「海人くん以外、どうなってもいいですから」


最近、舞ちゃんがいろいろ拗らせている気がする。


「海とくんはぁ、モテモテだねぇ」

楓が茶化す。


「泉……モテモテ……たらし……」


「茜ちゃん、もうそのネタはいいって」

だんだんと、自分が本当にたらしじゃないのかと、思い始めてきた。


AサイトとBサイト、両方から足音が聞こえてきた。


「俺らがモタモタしているから、敵が痺れを切らしてこちらの初期位置に攻めてきたんだ。

全員で中央を抜けるぞ!」


「「了解!」」


ようやく意見がまとまった。


アビリティ︰ドッペルゲンガー


俺は二体の分身を左右の両サイドに走らせる。


分身は攻撃できないが、警戒した敵の足を止めることぐらいはできる。


その間に――中央を抜ける!


§


「海人くんの機転でぇ、なんとかなったねぇ」


ちょうど相手とは入れ違いになり、

中央から港側のAサイトに抜ける。


ボムを持っていた楓が設置に取りかかる。

ミニマップに表示されているAサイトの薄緑色に変わっている指定範囲内であれば、ボムはどこでも設置できる。


楓は港の端――波打ち際、ギリギリにボムを設置した。


――作動まで30秒。


カウントダウンが視界端で波打つ。


敵のルートは三つ。

海中と俺たちの初期位置である正面――最後に中央から抜けてくるルート。


敵の初期位置から来るルートもゼロではないが、 残り時間を考えると薄い。


また、海中も銃の制御と見つかった場合に、銃弾を避けづらいため、基本的にはない。


敵は今、俺たちの初期位置に集まっている。

可能性として一番高いのは、正面と中央から抜けてくるルートだろう。


仲間に指示を出し、中央に楓。

正面に俺と茜ちゃん。

どちらにも“セラ”の回復で援護できるように舞ちゃんが俺たちの間の物陰に隠れる。


「来た……!」

茜ちゃんの報告とともに、正面に複数の足音が響く。


正面からフラッシュやスモークが投げ込まれる。


アビリティ︰アイシクル


“グレイシャル”――茜ちゃんのアビリティにより、目の前に氷柱が落ちる。


アビリティ︰ドッペルゲンガー


俺は、分身を正面から敵に突っ込ませた。


射撃音が正面から聞こえ、分身が撃ち抜かれる。


すかさず、氷柱を足場に飛び上がる。

――正面にいた二人の敵影めがけて、ナイフを二本投げる。


一人は転がり回避して、もう一人の脳天にナイフが刺さった。


赤い光が立ち上る。


4VS4

――作動まで25秒。


続いて、中央ルートで発砲音が一発。

楓による、ハンドガンのヘッドショットログが流れる。


4VS3


「さすが!」


「もう一人、中央にいる!

モクを張ったから、迂闊には攻めてこないと思う、もしかしたら、正面に回ったかも!」


「……了解!」

楓の報告に、茜ちゃんが短く返事をする。


「……やばっ!」

直後、ボイチャから楓の悲鳴が聞こえる。


「こっちに二人来てた……くそっ!」

楓が悲鳴とともに落ちる。


3VS3

――残り20秒。


「中央2に正面1ね」

楓が観戦から報告を出す。



「茜ちゃんは、中央の二人を抑えてて!

舞ちゃん、俺が気を引くから正面のやつを頼む!」


ウルト︰グランドエスケープ


俺はハンドガンを構え、大ジャンプとともに、正面の敵、その上空を舞う。


俺はハンドガンを乱射した。

相変わらず酷いエイムだ――当たる気配すらしない。


それでも、敵は俺の圧にビビったのか、上空にアサルトライフルを乱射する。


くっ……いくつか弾が当たったか。


耐久値100→23。

あと、一発でも貰えば終わりだ。


飛び上がった勢いのまま敵の背後を取る。

投げナイフを回収したところで、敵は振り向き、

引き金に手をかけた。


――直後、敵の頭が撃ち抜かれる。


「ナイス、舞ちゃん!」


3VS2

――残り15秒。


アビリティ︰ニューイヤーギフト

舞ちゃんが緑色の玉を俺にぶつける。

俺の耐久値が23→73まで回復した。


「ありがとう!」


――茜ちゃんのデスログが流れる。


2VS2


「……ごめん……負けた……」


「茜ちゃん、充分だよ!」


敵二人が、中央からAサイトに侵入する。

敵はスモークを焚き、こちらの射線を遮る。


「俺は海から行く、舞ちゃんは正面から攻めて!」


「了解です!」


――舞ちゃんが一人と接敵する。


海面に俺が水しぶきを上げ浮かび上がる。



敵は慌てて、俺を射撃した。

銃弾は俺をすり抜けた――そいつは分身だぜ。


舞ちゃんがその隙を突き、正面の敵をサブマシンで倒す。


2VS1


――残り10秒。


もう一人の敵が舞ちゃんを撃ち抜いた。


1VS1


――本体の俺は海の中で息を潜める。


敵は警戒しているのか、ボム解除に来ない。


――残り5秒。


解除時間ギリギリのところで、敵は港の端でボム解除を始めた。


もう、解除を止めた時点で相手の負けだ。


俺は笑みを称え海面からぬっと顔を出す。


敵は慌てて解除を止めた。


こちらに銃口を構えるが、撃ち出すよりも早く、俺の投げナイフが敵の喉元を捉えた。


青い光とともに1ラウンドを先取する。


その後もラウンドは続き、4ー0までストレートで取ったところ、敵側が降参した。


まったく、このパーティは不思議だよ。

必要に迫られたら――連携が噛み合うんだから。


こうして、茜ちゃんを加えた、

初のフルパ戦も余裕の勝利で幕を閉じた。

設定資料

ランクマッチ︰オーバーライド(ボム設置/解除)

6ラウンド先取――デュースなし。

攻撃側と防衛側を二ラウンド毎に回す。


§ヒーロー§

基本耐久値100

アバター作成できるため、

外見からヒーローの判別はできない。

近接攻撃不可。特定のヒーローのみ例外あり。


【フロッグ】 泉海人

ラーク特化のキャラ。

機動力と隠密で敵の懐に入るのが基本的な立ち回り。撃ち合いには不向き。

ランク使用率最下位で1%未満。


パッシブ︰サイレントステップ

移動時の足音を大幅に軽減。機動力も上がる。

常時発動。


アビリティ︰ドッペルゲンガー

分身を二体までだす。簡単な行動パターンなら動かすことができる。

リキャスト20秒。


ウルト︰グランドエスケープ

マップの選択した地点まで大ジャンプをする。

壁の高さによっては乗り越えられる。

飛べる距離に制限あり。

毎ラウンド1回使用可能。


メイン︰ハンドガン

小回りが利き、機動力にボーナスがつく。


サブ︰投げナイフ✕二本

ヒットすれば、一撃必殺。

ただし、再使用には投げナイフを回収する必要あり。


【セラ】 加藤舞

回復を得意としたヒーラー。

チームのバイタルを支える衛生兵。


パッシブ︰セルアクセラレート

時間経過とともに微量に自身の耐久値を回復していく。1/S(秒)回復。


アビリティ︰ニューイヤーギフト

ボールを投げ、当たったヒーローの耐久値を50回復させる。

ただし、敵に当たった場合、敵を回復する。

リキャスト30秒。


ウルト︰リインカーネーション

仲間のヒーローを蘇生させる。

ただし、死亡した場所に手を置く必要がある。

1ゲームで一度のみ使用可能。


メイン︰サブマシンガン

小回りの利く銃。近〜中距離での戦闘向き。


サブ︰ハンドガン


【シガー】 伊藤楓

煙幕を使い、場を撹乱する。

射線を潰したり、地点を確保する際の足掛けとなる。


パッシブ︰ヘビースモーカー

サイドストリーム内に入ると、5秒間、

機動力が1.2倍になる。


アビリティ︰サイドストリーム

タバコを投げ、煙幕を貼る。

リキャスト20秒。


ウルト︰スモーキングハイ

機動力1.2倍、パッシブと併用可。

耐久力100→120。

2ラウンド毎に使用可能。

使用した次のラウンドは使用不可となる。


メイン︰アサルトライフル

安定した撃ち合いができる小銃。

これ一本あれば、どんな状況にも対応できる万能武器。


サブ︰ハンドガン


【ブレイカー】 宇郷岬

エントリーヒーロー。

継続戦闘に優れており、前線維持や前線突破の役割りを担うことが多い。


パッシブ︰マッスルボディ

耐久値が常時100→120になる。


アビリティ︰ショルダータックル

肩を突き出し突進する。突進中は無敵になるが、一直線にしか、進めない。

ダメージ20

使用後に一秒硬直がある。

毎ラウンド1回使用可能


ウルト︰アースクエイク

地面にトールハンマーを打ち付け、半径10メートルに衝撃波を放つ。

ダメージ100

壁貫通する。1ゲームに一度のみ使用可能。


メイン︰アサルトライフル


サブ︰サブマシンガン


【グレイシャル】 柴田茜


パッシブ︰スノウカーテン

粉雪をまとい、自身の位置を誤認させる。

射撃時ミニマップに映らない。

敵視点で狙った位置と実際の位置にズレが生じる。体感的にはラグのように感じる。


アビリティ︰アイシクル

半径2メートルの巨大な氷柱を落とす。

ダメージ20、直接ヒットすることはまずない。

氷柱は壊されるまで存在し続ける。

耐久値300

足場や壁として活用できる。

毎ラウンド1回使用可能。


ウルト︰スノーバイト

氷の狼を走らせる。噛まれると爆ぜる。

ダメージ50

ヒット時は5秒間敵の視覚が遮断される。

素早いが、射撃で簡単に壊れる。

2ラウンドに一度使用可能。

使用後は次のラウンドは使用不可になる。


メイン︰サブマシンガン


サブ︰レイピア(近接武器)

射程距離1m

ダメージ50

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