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元プロゲーマー、VRで銃が当たらないので投げナイフだけで無双します。  作者: 那須 儒一
二章 フルパ編

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27話 罪と罰

んーん。

もう昼過ぎか……。

最近、生活リズムが終わってる。


「それで……なんで、お前いんの?」


「えぇ~、寝起きで美少女が部屋にいるなんて、嬉しくないですかぁ?」


「美少女ならな……」

楓がいてもギリ嬉しくない……。


「あらぁ〜、そんなこと言うならぁ〜、

もう、ご飯作ってあげませんよぉ」


「うっ……それは、困る……」


「ならぁ、“楓、愛してる”って叫んでくださぁい」


「それは……さすがに……」


「ふぅん。海人くんって、楓の料理目当てだったんだぁ。そんな人だとは思わなかったなぁ……

ひどいなぁ、家政婦扱いなんてぇ」


俺から頼んだことなんてないだろ……、

それでもここまで楓に餌付けされた状態で、

彼女の料理が食べられなくなるのは非常に辛い。


「楓……あいしてる」


「棒読みですねぇ、感情がこもってませんねぇ」


「楓、愛してる!」


「もっとぉ、大きな声で!」


「楓〜! 愛してる!」

俺は叫んだ、腹の底から。


ガチャ――

玄関の鍵が当たり前のように開けられる。

楓の奴、俺の部屋の合鍵を全員に配っているだろ。


そこに舞ちゃんが立っていた。


「おはよう……舞ちゃん……」


「なんですか、朝っぱらから……私へのあてつけですか?」


舞ちゃんの声が……静かで重い。


「舞ちゃん。これは誤解なんだ。

ちょっとした悪ふざけなんだ……」


「そうなんですか。海人くんは悪ふざけで、楓ちゃんの服をひん剥いて、泣かせたんですか?」


「えっ!?」


話が飲み込めず、楓の方を向くと――

服を乱し、泣き腫らした目で、自分の肩を抱いていた。


……こいつ、はめやがったな。


「舞ちゃん……これは誤解だ……」


「なにが誤解なんですか?

私の服はひん剥いたことないのに……

どうして楓ちゃんだけ……」


あれ……なんか、方向性がズレてないか?


「ひん剥いてほしいなら喜んで、ひん剥くけど……」


「私をそんな、楓ちゃんの代用品みたいに扱うんですね?」


「……うっ」

完全に言葉選びを間違えた。


「助けてくれー! みさきー!」


この状況を打破してくれるのは岬しかいない!


「また別の女性ですか……海人くんは、女の子に助けられて恥ずかしくないんですか?」


舞ちゃんがジリジリこちらに詰め寄ってくる。


楓は声を殺して、悶えている。

てか、笑い転げている。


この状況を楽しんでいるのはお前ぐらいだって。


「呼んだっすか? 先輩!」


岬がタイミングよく入ってきた。


「これ……どういう状況っすか?」


「てか、なんでお前……ブルマ姿なんだ?」


「えっ、楓先輩から、たぶん呼ばれるからこれで来いって渡されたっす」


まさか、ここまでが楓の計算!


「楓ちゃん……どういうことですか?」


舞ちゃんもようやく、楓の悪ふざけだと理解したのか楓を睨む。


「えぇ~ごめんねぇ〜。

舞ちゃんの可愛い姿……動画に収めたかったのぉ。

ネットで流したから、バズるかなってぇ」


楓がとんでもないことを言い出す。


「岬ちゃん。楓ちゃんを押さえて……」


「了解っす!」


岬が素早い動きで、楓を羽交い締めにする。


舞ちゃんが腕まくりをする。


「舞ちゃん、ほんの冗談じゃない!

ねっ、謝るから許して!」

楓が素に戻っている。

本当に危険を察知したのかもしれない。


「海人くん。少し、席を外しててくれるかな?

男の人には見せれないかも……」

舞ちゃんの顔が怖い……少し見たい気もするが、やめておこう。


「海人くん……行かないで……」

楓が縋るように俺を見ている。


「楓……すまん……」

こうなった舞ちゃんは、誰にも止められない。


アパートを出て、階段を降りていると、

楓の断末魔が、響き渡る。


俺は耳を塞ぐようにして、その場を後にした。


§


アパートを出ると、どこかで見たようなリムジンが止まっていた。


「あれ……茜?」


五十嵐いがらしがドアを開けると、後部座席から茜がぴょんと飛び出した。


「泉……来ちゃった!」


「申し訳ございません。

お嬢様が、どうしてもと聞かないものでして……」


「一緒に遊ぶか?」


「えっ……いいの?」


「おう、好きなところに連れてってやるよ!」


「ご無理を言って申し訳ございません」


五十嵐は深々と頭を下げる。


この二人の事情はよく知らないけど、

どうせ、俺もしばらくは帰れないし……。


俺は茜の手を引いて、紅葉の下を歩き出す。

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