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元プロゲーマー、VRで銃が当たらないので投げナイフだけで無双します。  作者: 那須 儒一
二章 フルパ編

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24/79

24話 ランクマッチ②

——ランクマッチは6ラウンド先取。


一進一退の攻防が続き、5ー5までもつれ込んだ。


このゲームにデュースは存在しない。


泣いても笑っても次のラウンドが最後だ。


最後のラウンドは防衛だ。


全滅させるか、タイムアップまで凌いだら勝ちだ。


一番厄介なのは相手のスナイパー使い——。


俺が——仕留める!


§


開幕、中央のロングに二体の分身を走らせる。


相手もバカじゃない。

分身だろうが、本体だろうが、

確実に、この“フロッグ”たちを撃ち抜くだろう。


射線を切り、物陰に隠れる。

スナイパーの音が戦場に鳴り響き、分身が撃たれた。


ウルト︰グランドエスケープ


俺は空高く飛び上がった。


このウルトのいいところは、毎ラウンド使用できるところだ。


戦場に弾丸が走り、もう1体の分身も倒された。


よし、相手のスナイパーの位置は分かった。


俺は投げナイフを構え、スナイパーに狙いを定める。


今なら分身に目が向いているはず。


——直後、スナイパーのレンズが光る。


まずいっ——そう思った時には、視界が暗転した。


戦場に赤と青の柱が立ち上る。


4VS4


ふぅ、なんとか間に合った。

死に際に投げたナイフがスナイパーに届いていた。


——相打ちか。


「みんな、後は頼んだ……」


「レイちゃん……

ガサツだったけど、いい子だったのにぃ〜」

ムラサキが突然泣き出した——てか、ウソ泣きだろ。


「ムラサキちゃん、ホントに死んだわけじゃないんだから……」

アカリちゃんが苦笑いしている。


「先輩方、泣き言は後っすよ!

レイさんの骨は拾います!」

キララの声が震えていた。


「だから、死んでないって……」

こいつら、ギャグかホントか分かりづらいんだよ。


コメントに視線を落とす。


遠距離で、スナイパーと投げナイフの相打ちなんて初めて見た

相手のスナイパーもうますぎだろ!

レイちゃんすごかった!

南無ーw


感嘆の声と悪ふざけが混ざってるな。


§


アカリちゃんとキララはAサイト、

ムラサキと野良はBサイトを防衛している。


俺は、キララの観戦画面を確認して、指示を出す。


「キララ、もう少し左に……敵から見える射線を減らすんだ。来るなら正面か左の通路だ」


「うぎゃー、まぶしー!」

突如、キララの視界が真っ白になる。

そして、体が赤く光る。


「フラッシュだ! それに、スキャンも入った!」

全体に状況を伝える。


「スモークも焚かれたよ!」

アカリちゃんが声を張る。


ってことは、少なくとも3人のヒーローがいる。


キララの視界が戻ると、

足元にグレネードが投げ込まれる。


「ムラサキっ、Aラッシュだ!

全員、Aにいる!」


「わかった、すぐに野良の子と向かう!」


ムラサキの声が真剣だ。

彼女が本気でゲームに向き合っているのが伝わってくる。


キララが飛び退くがグレネードが直撃する。

彼女が使用している“ブレイカー”の耐久値が、

120から20まで一気に減る。


「マジエグい、ブレイカーじゃなかったら死んでたわ」


「キララ、安心するのは早いぞ!」


無数の足音が響く。

敵がキララを包囲するように、迅速かつ、確実にキララに詰め寄っている。


アビリティ︰ニューイヤーギフト


緑の光とともに、

キララの耐久値が70まで回復する。


「アカリ先輩、マジ天使!」


アカリちゃんの使用している“セラ”の回復か。


「ナイス!

キララ、できるだけ粘って死んでくれ!」


ムラサキたちが到着する時間を稼がないと。


「うぉりゃぁ! かかってこいや!」

キララがアサルトライフルを乱射する。


気合は充分なんだけど……エイムが終わってる。


敵は射線を切り、再びフラッシュが投げ込まれる。


「うわっ、またこれだ! まぶしー!」


キララの視界が再び奪われる。


これは積みだ。


ウルト︰アースクエイク


キララの使用ヒーロー“クラッシュ”のウルトが大地を揺らす。


敵の一人がウルトの衝撃波に巻き込まれ空に赤い光が上る。

しかし、敵の包囲射撃によりキララも落とされた。


3VS3


あれ……アカリちゃんは?

ミニマップを確認すると、ヒカリちゃんがAサイトから初期位置まで逃げていた。


ウルト︰リインカーネーション


次の瞬間、画面が暗転する。


俺は——再び、“フロッグ”として肉体を得る。


「“セラ”の蘇生か! アカリちゃんナイス!」


4VS3


形勢は一気に逆転した。


しかし、Aサイトは奪われ、ボムが仕掛けられる。


残り30秒——解除に5秒かかる。


実質、25秒で設置地点まで辿り着かないといけない。


ミニマップを確認すると、

中央のロングを横切り、最短でAサイトに駆けつけたムラサキと野良が交戦を開始した。


俺とアカリちゃんも、正面からAサイトに向かうべく、走り出す。


§


ムラサキの“シガー”が二つの煙幕を投げ入れる。

その煙に紛れ、Aサイトへ奇襲を仕掛けた。


敵もグレネードと弾幕で確実にムラサキと野良を削っていく。


ウルト︰スノーバイト


スモークの中から白銀の狼が飛び出す。


野良が使用する“グレイシャル”のウルト。

狼が敵一人の喉元に食らいつき爆ぜた。


敵の耐久値が50削られ、視界が奪われる。


すかさず、野良はレイピアを抜き、敵一人を貫いた。

レイピアの追撃が刺さり、赤い光とともに敵が散る。


4VS2

——ボム起動まで25秒。


アビリティ︰アイシクル


野良は氷柱を真横に出現させ壁を張る。


しかし、敵二人の挟撃により、野良が落とされた。


3VS2


すかさず、ムラサキが、挟撃していた敵一人の背後から、ハンドガンで頭を撃ち抜く。


3VS1


最後の一人が、スライディングして、ムラサキに詰め寄り、正面から蜂の巣にする。


2VS1

——残り15秒。


駆けつけたアカリがサブマシンを発砲しながら、敵に詰め寄る。


しかし、アカリと敵のランク差は圧倒的。

正確なエイムによりアカリは瞬殺された。


空に青い光が立ち上る。


——残り10秒。


青い光の中から二本の銀閃が閃く——。


敵は反応する間もなく、赤い光となる。


§


1VS0


あとはボムを解除するだけ——間に合うか!


俺は、設置箇所に飛び込み解除を開始する。


——1秒が永遠よりも長く感じられた。


——残り1秒。


ボムは鳴動を止め、

VICTORYの文字とともに、俺は拳を握りしめた。

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