アタシがクロス・ステッチで天道虫を繍っている間にニィニは手巾の刺繍を完成させていた。
出来上がりを喜んだお父さんに「 予備に10枚お願いしますね♥️ 」なんて言われちゃったから、またチクチクと刺繍を始めている。
お父さんってば、ついさっき出来上がったばかりの手巾に頬擦りなんかしちゃって喜んでいる。
よっぽど、ぎっちぃが好きらしい。
ぎっちぃを触れなくて撫で撫でが出来ないからって、刺繍された “ ぎっちぃ ” で満足しようと頑張ってるのかな?
罪深いな、ぎっちぃってば!
無理矢理に抱っこして頬擦りしないお父さんは偉いと思う。
ぎっちぃのヌイグルミでも作ってプレゼントしたら喜んでくれるかも知れない。
裁縫は得意じゃないから、上手には作れないし、ぎっちぃの可愛さを再現するのは難しいと思うけど──、ぎっちぃファンのお父さんには喜んでほしいもんね。
挑戦してみようと思う。
先ずは “ ぎっちぃ ” の型紙を作らないとだね。
ヌイグルミなんて作った事が無いから、想像を頼りに作る事になっちゃうけど……。
作業台の無い馬車の中じゃあ、型紙は作れないから、馬車が止まった時に型紙を作る事にしよっと。
そうそう──因みにだけど、アタシが刺繍をしてる間、セフィはお父さんアイベルファイラの膝の上うえに座すわっている。
「 セフィ白狼神皇様を膝の上うえに乗せるなんて、畏おそれ多いです! 」って拒否っていたけど、可愛いセフィ白狼神フェンリルが潤うるんだ瞳でお父さんアイベルファイラを見詰め続けた結果──、お父さんアイベルファイラはセフィ白狼神フェンリルに屈くっした。
レミィンダティナ
「 ねぇ、セフィ。
魔物生成して生うまれた “ ぎっちぃ ” に性別って有るの? 」
小型犬:セフィ
「 魔物生成で誕生した魔物マタムトに性別は無いですよ。
一代限りとなりますから、子こ作づくりも出来ません。
一般的な魔物マタムトと違うのは寿命を主人あるじと共有している事です。
主人あるじが生いきている限り元気です。
主人あるじが亡くなれば、存在が出来ずに自然消滅してしまいます 」
レミィンダティナ
「 そうなんだ?
アタシが生いきてる限り、ぎっちぃは生いき続けるんだね。
体調を崩したり病気をしたりは? 」
小型犬:セフィ
「 しませんよ。
安心してください 」
アイベルファイラ
「 レンダレミィンダティナ、私に懐なつく “ ぎっちぃ ” を魔物生成する事は出来ませんか? 」
レミィンダティナ
「 えぇっ?
もう1体、ぎっちぃを生成するの?
セフィ、出来るもんなの? 」
小型犬:セフィ
「 ぎっちぃと同じ魔物マタムトを魔物生成する事は出来ません。
別の魔物マタムトの生成も出来ませんよ 」
レミィンダティナ
「 ぎっちぃを生成した1回こっきりって事なの? 」
小型犬:セフィ
「 そうですね。
魔物生成を繰り返すと熟練度が上あがります。
熟練度が上あがれば魔物生成のLVレベルが上あがります。
LVレベルを上あげた魔物生成を “ ぎっちぃ ” に使う事で強化させる事が出来ます 」
レミィンダティナ
「 ぎっちぃを強く出来るんだ!?
ん~~でもさ、今でも十じゅう分ぶん活躍してくれてるよ。
強くする必要、有るのかな? 」
小型犬:セフィ
「 好このみの問題です。
時間は幾いくらでも有ります。
暇を持て余した時ときに挑戦チャレンジしても良いいですよ。
熟練度を上あげるなら、あのクッションを使えば良いいです 」
レミィンダティナ
「 そういう事か──。
暇潰しが出来るように何なんにでも熟練度が有る訳だね 」
アタシは刺繍が得意な訳でもないし、大好きな訳でもないから、刺繍に熱中したり集中力が続いたりしないんだ。
だから、一ひと息いき吐ついて、休憩を挟む必要が有る。
気分転換も兼かねて、手を止とめてはセフィ白狼神フェンリルと話をする。
聞きたい事が無くなれば、口くちをチャックして、再び手を動かしては刺繍クロス・ステッチを続ける事を繰り返した。
因ちなみにだけど、馬車は凄い速さで走ってはいるけど、揺れたりはしていない。
精霊魔法で揺れないようにしているからみたい。
今更だけど、揺れないから馬車酔いをしなくて済むから有あり難がたいよぉ~~。
──*──*──*── 夕方
小型犬:セフィ
「 馬車が停まりました。
キャンプをしましょう 」
何い時つの間まにかセフィ白狼神フェンリルはハインツハイベルツィウンツの膝の上うえで寛くつろいでいた。
セフィ白狼神フェンリルってば、すっかり犬いぬ化かしてないかな?!
ハインツハイベルツィウンツは嬉しそうだけど──、獣じゅう神しんの直系子孫の末裔の威い厳げんは何ど処こに落っことしちゃったの!?
セフィ白狼神フェンリルが良いいなら良いいんだけど──、お腹を撫で撫でされてる状態で言われると一寸ちょっとだけ悲しい気持ちになっちゃうカナーーーー。
馬車ドアの鍵が解除されると自動で馬車ドアが開ひらく。
これも精霊魔法の能力ちからなんだよね。
先まずは外の安全を確認する為に家か長ちょう役のお父さんアイベルファイラが馬車から降りる。
次にお姉ちゃんマルチェントティスナが降りて、次にニィニレンディムダンテルが降りた。
アタシの前まえにセフィ白狼神フェンリルを抱だっこしてくれているハインツハイベルツィウンツが降りたら、アタシの降りる番ばん。
最後に馬車から降りるのはお兄ちゃんディリアディアズだ。
アタシが馬車を降りた時ときには、既すでに《 キャンプ地安全地帯 》が完成していて、お姉ちゃんマルチェントティスナが暮らしていた《 魔術具店 》が建っている。
これも精霊魔法なんだよね。
夕食ディナーは外そとで食べる事になっているんだけど、精霊魔法の結界のお・蔭・で・快適な温度の中なか、害がい虫ちゅうも気にしないで夕食ディナーを楽しむ事が出来るのは、毎まい度どの事ながら有あり難がたいよ♥️
皆みんなが揃そろった楽しい夕食ディナーが終わったら、各おの々おのが就寝するまで自由時間の始まり。
お父さんアイベルファイラ,お姉ちゃんマルチェントティスナ,ニィニレンディムダンテル,お兄ちゃんディリアディアズの4人は、LVレベル上あげをする為に《 キャンプ地安全地帯 》から出でて、怪物モンスター,魔物マタムトを倒しに出掛けてしまった。
運動不ぶ足そくで鈍なまった肉体からだを思いっきり動かしたいのかも知れない。
アタシは “ ぎっちぃ ” のヌイグルミを作る為に必要な型かた紙がみを作る事にした。
ぎっちぃには綺麗に拭いた食卓テーブルの上うえに乗ってもらう。
見えない精霊さんが用意してくれた裁縫道具の中なかに入はいっているメジャーを使って、ぎっちぃの採さい寸すんをする。
見えない精霊さんが用意してくれた白はく紙しに測はかった採さい寸すんをメモる。
本物の “ ぎっちぃ ” よりも若じゃっ干かん大きくなっちゃうかも知れないけど、其そ処こに関してはお父さんアイベルファイラに御免なさいしたい。
見えない精霊さんが用意してくれた白はく紙しにパーツ毎ごとに “ ぎっちぃ ” の絵えを描かく。
見えない精霊さんが用意してくれた鋏はさみを使って、パーツ毎ごとに切り分けを終えたら、真まっ黒くろな生き地じの裏に型かた紙がみを当てて線を引く。
縫ぬい代しろ1cm分ぶんを確保しながら裁縫鋏ばさみを使って生き地じを切った。
黒糸を通とおした針で最初に縫ぬう事にしたのは、ぎっちぃの羽根にした。
ミシンなんて使えないから、地じ道みちにチクチクと手て縫ぬいをする。
羽根を縫ぬい終えたら、生き地じに曲まがる針はり金がねも縫ぬい付けておく。
引っくり返した生き地じの中なかに、精霊さんが用意してくれた綿を入いれる。
綿を入いれ終えたら、綿が出でてしまわないように入いり口ぐちを軽く縫っとく。
背中になる部分の生き地じには、羽根を取り付ける為に必要な穴を2つ、予あらかじめ開あけている。
表おもて側がわに出来上がった羽根を左さ右ゆうの穴に差し込んで、縫ぬい代しろ同士をチクチクと縫ぬい付けた。
胴体の縫ぬい代しろを縫ぬい合わせる為に表おもて側がわを背中合わせにしてから縫ぬい代しろをチクチクと縫ぬい合わせた。
縫ぬい合わせを終えたら、綿を入いれる為に裏うら返がえす。
綿を入いれる前まえに顔になる表おもて側がわに口くちを縫ぬい付ける事にした。
口くちには真まっ白しろな生き地じを使い、三み日か月づき型がたに切っている。
三み日か月づき型がたの口くちには黒糸で縦線を5本チクチクと縫ぬう。
白糸を使って口くちを縫ぬい付ける事にする。
口くちを縫ぬい付けた後あとは綿を入いれるんだけど──、セフィ白狼神フェンリルからそ・ろ・そ・ろ・就寝するように言われたから、ヌイグルミ作づくりは一旦お開ひらきにした。
因ちなみにハインツハイベルツィウンツは既すでに《 魔術具店 》の中なかに入はいっていて、用意された[ 個別寝室 ]で寝ね入いってるみたい。
アタシはセフィ白狼神フェンリルを抱だっこして《 魔術具店 》に入はいる事にした。
ぎっちぃにも声こえを掛けるけど、ぎっちぃは食卓テーブルの上うえで、お姉ちゃんマルチェントティスナが戻って来くるのを待っていたいみたい。
食卓テーブルの上うえで、ゴロゴロと転がって遊んでいる。
楽しんでる “ ぎっちぃ ” の邪魔をするのは可哀想だからね、好きにさせる事にした。
ぎっちぃには “ 結界から出でないように ” って事を言い聞かせとく。
アタシは “ ぎっちぃ ” を残して《 魔術具店 》の中なかへ入はいった。
──*──*──*── 魔術具店
外観は《 魔術具店 》だけど、中なかは違っていた。
店内だった広い場所は誰もが寛くつろげる空間に改装されているし、壁にはドアが付いている。
左さ右ゆうの壁にドアが3つずつ付いている。
ドアにはネームプレートが付いているから、どの個室を使えば良いいのか分かるようになっている。
出で入いり口ぐちから左側に在るドアには、お父さんアイベルファイラ,ニィニレンディムダンテル,お兄ちゃんディリアディアズのネームプレートが付いていて、右側に在るドアには、お姉ちゃんマルチェントティスナ,ハインツハイベルツィウンツ,レミィンダティナのネームプレートが付いている。
奥の壁にはドアは無いけど、リボンカーテンが掛かっていて、先へ入はいれるようになっているみたい。
寛つくろげる空間の石いし床どこの上うえには高そうな絨毯カーペットが敷かれている。
テーブルとソファーも置かれていて、本棚も置かれている。
個室に入はいるのは後あとにして、奥の部屋に入はいってみる事にした。
一寸ちょっとだけドキドキしちゃうな!
リボンカーテンの先へ進むと普通に《 魔術具店 》の店内に出でた。
レミィンダティナ
「 どゆことぉ?? 」
小型犬:セフィ
「 精霊魔法を使い《 魔術具店 》の出で入いり口ぐちと繋げたのです 」
レミィンダティナ
「 そうなんだ?
あれ?
《 魔術具店 》から外そとに出でれる──って言ってたよね?
出で入いり口ぐちが使えないなら、何ど処こから外そとに出でるの? 」
小型犬:セフィ
「 [ 台所キッチン ]に勝かっ手て口ぐちが在ります。
其そ処こから出で入いり出来ます。
精霊魔法を掛けていますから、決まった人物しか出で入いり出来ないようにしています。
安全地帯として《 魔術具店 》でも過ごせます 」
レミィンダティナ
「 そうなんだね。
じゃあ、何い時つでもヒヒン馬車馬に会いに行けるって事?? 」
小型犬:セフィ
「 そうですね 」
レミィンダティナ
「 良よかったぁ~~。
元気なヒヒン馬車馬に会えるんだ♪ 」
小型犬:セフィ
「 ≪ フィッツ村 ≫に到着したら暫しばらく滞在しましょう。
その間あいだ、ヒヒン馬車馬に会いに行けます 」
レミィンダティナ
「 うん!
ふふふ(////)
安心したら眠くなって来きちゃった 」
アタシは用意された[ 個室 ]に移動する事にした。
──*──*──*── 個室
中なかはガランとしていて質素だ。
自分好ごのみの部屋に模様替がえが出来るのは嬉しいな♪
取り敢えず、履き物を脱いでからベッドの上うえに座すわる。
レミィンダティナ
「 ふぅ~~~~。
フカフカした寝ね心ごこ地ちの良いいベッドは落ち着くね~~(////)」
小型犬:セフィ
「 睡眠は大事ですからね。
今はハインツハイベルツィウンツも就寝していますけど、成人を迎えた後あとは4人と共ともにLVレベル上あげに励はげむようになるでしょうね 」
レミィンダティナ
「 あははは……なりそうだね~~。
ハインツハイベルツィウンツには是ぜが非ひでも強くなってもらわないといけないけど、無理はしないでほしいかな 」
小型犬:セフィ
「 あの4人を見れば難むずかしいですよ。
眷属は主人あるじを護る為、何なによりも強さが求められます 」
レミィンダティナ
「 ねぇ、セフィ。
何い時つかはクレイスさん以外にもアタシが “ 異世界から召喚された救世主の1人 ” って事を教えるの? 」
小型犬:セフィ
「 態わざ々わざ教える必要はないでしょう。
救世主で有る事を隠していても問題は無いですよ。
エイミは “ 救世主 ” ではなく、“ 冒険者 ” として人生を謳歌すれば良いいです。
クレイスにも口くち止どめはしています 」
レミィンダティナ
「 うん……。
このままで良いいんだよね? 」
小型犬:セフィ
「 寝ね間ま着きに着き替がえて寝ましょう 」
レミィンダティナ
「 うん…… 」
睡魔が襲って来くるから急いで寝間着ネグリジェに着き替がえた。
ベッドの中なかに入はいったら、重たくなった瞼まぶたが下さがって両目を閉とじた。