──*──*──*── 数日後
──*──*──*── フィールド
≪ 都 ≫を旅立って3週間が経った。
退場したヒヒンの代わりにベンカルマザダイカーのルマダとグレックガホースのレックが馬車を引いてくれている。
怪物だからか走る馬車の速度が異常に速い。
ヒヒンが走るよりも速いから、セフィ曰いわく、予定よりも早い11月下げ旬じゅんには≪ フィッツ村 ≫の道どう中ちゅうに在る橋に到着するかも知れないみたい。
橋を渡る為には橋の下したに巣食っているワイバーンを倒さないといけないみたいだけど、ワイバーンはドラゴンの一種らしい。
実じつはドラゴンってのは、獣じゅう神しんの加護を受けているんだって。
ドラゴンを襲う行為は獣じゅう神しんを敵に回す行為になる。
だから、ワイバーンを退治すると獣じゅう神しんを敵に回す事になるんだって。
ワイバーンを退治しないで橋を渡れたら、≪ フィッツ村 ≫には2日で到着する事が出来るみたい。
橋を渡らず、森を通とおるなら≪ フィッツ村 ≫へは2ヵ月は掛かるらしい。
2日と2ヵ月…………どえらい差が有り過ぎて吃驚だよぉ!!
──*──*──*── 馬車の中
アタシの膝の上うえには小型犬ワンコのセフィ白狼神フェンリルが座すわっている。
アタシの左窓側側に座すわっているのはニィニレンディムダンテルで、右側ドア側に座すわっているのはお姉ちゃんマルチェントティスナだ。
お姉ちゃんマルチェントティスナの膝の上うえには、ぎっちぃが寝転んでいて、ゴロゴロと寛くつろいでいる。
ぎっちぃはお姉ちゃんマルチェントティスナの膝が好きみたい。
お姉ちゃんマルチェントティスナの膝枕を堪能するなんて、羨うらやましいよっ、ぎっちぃ!!
アタシと向き合うように正面に座すわっているのはハインツハイベルツィウンツで、お昼寝中ちゅう──。
ハインツハイベルツィウンツの右窓側側に座すわっているのはお兄ちゃんディリアディアズで、左側ドア側に座すわっているのはお父さんアイベルファイラだ。
お姉ちゃんマルチェントティスナと向き合うように対峙して座すわっているのがお父さんアイベルファイラになる訳だけど──、お父さんアイベルファイラの視線はお姉ちゃんマルチェントティスナの膝枕を堪能している “ ぎっちぃ ” に向けられている。
どうやらお父さんアイベルファイラは “ ぎっちぃ ” に触さわって撫で撫でしたいみたい。
ぎっちぃは断固拒否してるみたいだけどねぇ~~。
お姉ちゃんマルチェントティスナの膝枕が好きなんて、ぎっちぃは雄オスかも知れないね?
ニィニレンディムダンテルと向き合うように対峙して座すわっているのがお兄ちゃんディリアディアズで──、お兄ちゃんディリアディアズはず・っ・と・読書に耽ふけっている。
眼鏡を掛けてるお兄ちゃんディリアディアズも素敵ぃ~~(////)
眼鏡が似に合あうお兄ちゃんディリアディアズ、御馳走様でっす♥️
スマホスマートフォンが有ればぁ~~~~。
ニィニレンディムダンテルはというと、何な故ぜか刺繍をしている。
貴族令息って刺繍すんのけ??
清潔感の有る真まっ白しろい手しゅ巾きん──ハンカチに刺繍をしている。
ニィニレンディムダンテルぃ~~~~刺繍なんてしてたら、貴族令息だって事、バレちゃうんじゃないのぉ!?
因ちなみにお姉ちゃんマルチェントティスナは、アタシを見詰めながら嬉しそうにニマニマしている。
良よく分からないけど、お姉ちゃんマルチェントティスナは幸せそうだ。
まぁ…各おの々おの時間の潰し方かたが有るって事は良いい事だけどね??
レミィンダティナ
「 ニィニレンディムダンテル、手巾ハンカチに何なにを刺繍してるの? 」
レンディムダンテル
「 ぎっちぃを繍ぬっているんだ。
父さんアイベルファイラは “ ぎっちぃ ” にゾッコンみたいだからな 」
レミィンダティナ
「 ぎっちぃも可愛いもんね。
気持ちは分かるよ。
完成しても勿体無くて使えないね 」
レンディムダンテル
「 そうかも知れないな 」
レミィンダティナ
「 ニィニレンディムダンテルは刺繍が出来るんだね。
吃驚だよぉ~~ 」
レンディムダンテル
「 裁縫が出来るからな。
裁縫と同様に刺繍も覚えたんだ 」
レミィンダティナ
「 そうなんだね~~ 」
貴族令息の時ときにって事かな!?
騎士団って自分で衣服の繕つくろいとかしないといけないのかな?
それなら裁縫も必要な技術かも知れないよね。
洗濯も調理も出来るみたいだし──。
レミィンダティナ
「 どんな感じに仕上げるの? 」
レンディムダンテル
「 四隅に “ ぎっちぃ ” の刺繍をする予定だ。
後あとは黒薔薇だな 」
レミィンダティナ
「 黒薔薇…………お洒しゃ落れな手巾ハンカチになりそうだね。
本格的な刺繍って難むずかしそうだよね。
アタシはクロス・ステッチしかした事が無いから尊敬しちゃうな~~ 」
レンディムダンテル
「 くろすすてっち?
聞いた事ないな 」
レミィンダティナ
「 初心者にも手軽に出来る刺繍だよ。
刺繍の入いり口ぐちみたいな感じかな?
クロス・ステッチで物もの足たりない人が本格的な刺繍を始めるんだよ。
アタシはクロス・ステッチでも苦労しちゃった 」
家庭科の授業で覚えたくらいだから、詳しくは知らないんだよね。
結局、自己流になっちゃったから、裏側なんてグチャグチャになってたしぃ~~。
小型犬:セフィ
「 エイミは今でも “ くろすすてっち ” なる物が出来るのですか? 」
レミィンダティナ
「 繍ぬえない事はないよ。
正しい繍ぬい方かたが有るんだけど、繍ぬってる間あいだに自己流になっちゃって(////)
アタシの場合は図案が無いと出来ないから、図案から作らないといけないんだよね。
物によっては刺繍糸の色を変えるだけじゃなくて、針に通とおす刺繍糸の本ほん数すうを変えたりもするよ 」
小型犬:セフィ
「 エイミの繍ぬう “ くろすすてっち ” なるものを見てみたいです 」
レンディムダンテル
「 刺繍糸も刺繍針ばりも手しゅ巾きんも余よ分ぶんに有るから繍ぬってみたらどうだ? 」
レミィンダティナ
「 う~~ん。
じゃあ、久し振ぶりに繍ぬってみようかな?
正しい繍ぬい方かたじゃないから、裏はグチャグチャになっちゃうけど、大目に見てよね 」
そんな訳で、アタシも刺繍──クロス・ステッチをする事になった。
とはいえ、先まずは図案を考えないといけない。
真まっ白しろい紙に線を引いて、沢山の正方形を作った。
久し振ぶりのクロス・ステッチだからね、簡単な絵え柄がらにしようと思う。
天てん道とう虫むしにしようかな?
大きな丸を描かいて、小さな丸を5つ描かいて──、顔を描かいて、短い触覚を2本描かいて──、良いい感じかな?
後あとは線に沿そって❌バッテンを描かいて──、分かり易く色いろ分けして❌バッテンを描かいて──。
レミィンダティナ
「 こんな感じかな? 」
マルチェントティスナ
「 レミィレミィンダティナ、それは何なんだ? 」
レミィンダティナ
「 幸せを運んでくれる天てん道とう虫むしだよ。
小さくて丸くて可愛いんだ。
色んな色いろの天てん道とう虫むしが居いるんだよ。
赤天てん道とう虫むしが多くて一般的だけど、黄天てん道とう虫むしや黒天てん道とう虫むし居いるんだよ 」
そう言えば、異世界で天てん道とう虫むしを見た事が無いよね。
異世界には天てん道とう虫むしは居いないのかな??
蛾がは飛んでるのにね!
マルチェントティスナ
「 今から “ くろすすてっち ” ってのを繍ぬうんだな。
レミィレミィンダティナまで刺繍が出来るなんてな。
実じつは何ど処こぞの貴族令嬢だったりするのか? 」
レミィンダティナ
「 えぇ?
それはないよ~~。
貴族令嬢って自分で着替えもま・と・も・に・出来ないんだよ?
お風呂だって侍女が付きっきりだし──。
至いたれり尽つくせりな生活は有あり難がたいけど、お風呂くらいは1人でゆ・っ・く・り・入はりたいよ。
礼儀作法とかダンスのレッスンとかアタシは遠慮したいかな~~。
政略結婚の道具として、歳としの離れた貴族に嫁とつがされるのも嫌いやだし──。
裕福な暮らしには相応の責任と義務と犠牲が伴ともなうから、暮らしは貧しくても、ある程度の自由な平民で良いいかな 」
マルチェントティスナ
「 レミィレミィンダティナは貴族令息にプロポーズされたらOKするのか? 」
レミィンダティナ
「 断然、断るよ~~。
貴族の付き合いは面倒だもん。
心が病やんで人間不振になっちゃうよ。
心しん労ろうが祟たたって病気になるのは嫌いやかな 」
アタシがお姉ちゃんマルチェントティスナと話していると左ひだり隣どなりで刺繍をしているニィニレンディムダンテルが急に咳き込んだ。
レミィンダティナ
「 ニィニレンディムダンテル、大丈夫? 」
レンディムダンテル
「 あ…あぁ……大丈夫だ 」
レミィンダティナ
「 針を使ってるんだから気を付けてね? 」
アタシは刺繍針ばりに3本の刺繍糸を通とおす。
アタシは図案を見ながらクロス・ステッチを始めた。