✒ 迷子探し 4
◎ 読者の皆さん、御早う御座います。
覗きに来てくださり、有り難う御座います。
今作で投稿が終了する予定でしたが、キリを良くする為に「 迷子探し 5 」を予約投稿させていただきます。
予約投稿は3月26日を最後にさせていただきます。
──*──*──*── 夜蝶街
──*──*──*── 男娼館の前
アイベルファイラ
「 此処が《 男娼館 》ですか。
子供の取り引きに利用するなんて嫌な場所ですねぇ 」
マルチェントティスナ
「 ゲスいブダヌキは何処にでも居やがるからなぁ。
レミィが被害を被る前に始末しないとな 」
アイベルファイラ
「 始末って物騒な事を言わないでくださいよ。
って言うか──、何でワタシが執事みたいな格好をしないといけないんですか! 」
マルチェントティスナ
「 そんなの決まってるだろ。
オレが貴族令息の格好をしてるからだ!
お前はきらびやかな貴族令息って言うより使用人の方が似合ってるだろ 」
アイベルファイラ
「 ひっどぉ~~ 」
マルチェントティスナ
「 そうだなぁ……。
どっちかと言えば──、レムダンの方が貴族令息っぽいかもな!
アイツの所作は妙に礼儀正しいからなぁ。
それに華も有る!
お前には華を感じないからなぁ。
着飾っても高が知れてるだろう 」
アイベルファイラ
「 ひっどぉ!!
まぁ、確かにレムダンの所作は怪しいぐらいに平民と掛け離れてますよ。
食事の時なんて上品に食べますからねぇ 」
マルチェントティスナ
「 レムダンは身分を平民と偽っている貴族令息なんじゃないのか?
貴族の暮らしを息苦しいと感じる奴も居るからな。
貴族社会に嫌気が差して平民のフリをして冒険者として生きてるのかもな? 」
アイベルファイラ
「 えぇ~~それは流石に!
確かに “ 自由な平民として生きたい ” って言う変わり者も稀には居ますけど、レムダンは違うと思いますよ。
罰ゲームで “ 元貴族だった冒険者に貴族のテーブルマナーを叩き込まれた ” らしいですよ。
随分と拘りの強い相手だったらしいですから、徹底的に仕込まれたんじゃないですか? 」
マルチェントティスナ
「 それにしてはボロを出さないじゃないか。
誰しもボロは出すものだが、レムダンは常に自然体でアレだぞ 」
アイベルファイラ
「 う~~ん……レムダンにも来てもらった方が良かったですかねぇ 」
マルチェントティスナ
「 今更だな。
第一、レムダンにはオレの衣装を着こなせないだろう 」
アイベルファイラ
「 確かに!
サイズが違いますもんねぇ。
ワタシのサイズに合った執事の衣装が有った事には驚きを隠せませんけどね! 」
マルチェントティスナ
「 そんな些細な事は気にするな。
心の準備は出来たか?
行くぞ 」
アイベルファイラ
「 《 男娼館 》に入るなら貴族令息より貴族夫人の方が良かったんじゃないですか? 」
マルチェントティスナ
「 オレはレミィの前でしか女装はしないんだ 」
アイベルファイラ
「 女装って──。
貴女、女じゃないですか 」
マルチェントティスナ
「 別に貴族令息が子供を買ったっておかしくはないだろ 」
アイベルファイラ
「 まぁ…確かに。
抵抗の出来ない子供は玩具に持って来いですからねぇ。
調教の練習にもなりますし…… 」
マルチェントティスナ
「 此処に居る子供のリストはシス様が用意してくれた。
この金貨袋を見せれば、喜んで子供達を連れて来るだろう 」
アイベルファイラ
「 落ちてる小石を金貨に変えて使うなんて、とんでもない詐欺師ですねぇ 」
マルチェントティスナ
「 黙れ!
1年は金貨として使えるんだ。
詐欺師じゃない 」
アイベルファイラ
「 立派な詐欺師でしょう!
1年後には小石に戻っちゃうんでしょう? 」
マルチェントティスナ
「 それがどうした。
大金を叩いて子供を買った貴族令息なんて存在しないんだ。
問題は無い!
入るぞ 」
アイベルファイラ
「 質の悪い錬金術師ですね。
──そんな事より、マルチナは声色も変えれるんですかぁ!? 」
貴族令息の男装をしたマルチェントティスナと執事の変装をしたアイベルファイラは《 男娼館 》へ入館した。
──*──*──*── 男娼館
スタッフ
「 ようこそ御越しくださいました。
本日はどの様な御利用でしょうか 」
貴族令息
「 このリストに載っている子供を購入したい。
1人、金貨50枚だ。
リスト以外にも居るなら連れて来い 」
スタッフ
「 子供1人に金貨50枚──ですか!?
それより、このリストを何処から!? 」
貴族令息
「 おぃおぃ、惚けてくれるなよ。
此処に居る事は分かってるんだ。
嘘を吐くのも誤魔化すのも無しだ。
オレの情報網を甘くみるな 」
執事
「 あのぉ~~。
早く連れて来てくれませんかねぇ?
ワタシの腕、かなり限界なんですよぉ~~ 」
金貨袋を抱えている執事の両腕はプルプルと小刻みに震えている。
貴族令息
「 連れて来る気がないなら、この《 男娼館 》を潰すが良いよなぁ 」
執事
「 一寸ぉ、何でそんなに喧嘩越しなんですかぁ!
穏便に済ませてくださいよ 」
貴族令息
「 ダボォが!
黙ってろ 」
執事
「 優しさの足りない御主人様ですねぇ 」
貴族令息
「 大金が欲しければ、さっさと連れて来い! 」
貴族令息は持っている高級品のステッキをスタッフの喉元に突き付ける。
執事
「 やり過ぎですってぇ!
御主人様ぁ!! 」
遠慮の知らない貴族令息の横暴な態度を目にして、執事はハラハラしっぱなしだ。
スタッフ
「 す…直ぐにっ──お連れ致します!!
此方に御掛けして御待ちくださいませっ!! 」
貴族令息
「 《 男娼館 》ってのは、客に茶も出さないのか? 」
スタッフ
「 直ぐに御運び致します! 」
貴族令息
「 安物を出したら潰すぞ! 」
スタッフ
「 当店1番の高級茶葉で淹れさせて頂きます!! 」
スタッフは慌てるようにBRへ向かって走り出した。
貴族令息
「 走ったら埃が舞うだろうが!
あのスタッフは毅然とした態度も取れないのか。
プロ失格だな! 」
執事
「 良くもまぁ~~。
どの口が言うんですかね。
あんな態度を取られたらプロだって慌てますよ。
余計なスタッフいびりは止めてくださいよ 」
貴族令息
「 大袈裟だぞ 」
執事
「 それより、ワタシの渾身の演技は見てくれましたか?
腕をプルプル震わせる演技、上手かったでしょう! 」
貴族令息
「 あ?
そんなの見てなかったが 」
執事
「 ひっどぉ~~。
頑張って演じたのにぃ!! 」
暫くすると顔の良い男娼が紅茶を運んで来た。
明らかに成人している男娼だ。
貴族令息
「 お前も連れ去られて来たのか? 」
男娼
「 え?
あ…いぇ……私は…………両親に連れて来られて……売られた身です 」
貴族令息
「 ほぅ~~。
お前のように親に売られた子供は多いのか? 」
男娼
「 そう……ですね。
平民もピンキリですから……生活の為に子供を産んで売る親は普通に居ます。
1歳になる度に子供を売りに来る親も居るくらいです 」
貴族令息
「 成る程な。
商品となる人材には困ってないか──。
誘拐された子供達が連れて来られる事は良く有るのか? 」
男娼
「 ……そんなに頻繁ではない筈です。
大抵は此処で試してから購入される事が多いですから……。
稀に変わった性癖の御客様が依頼をされに来たりはします。
欲しい子供の情報が書かれたリストを渡されるので、それを見て調達しに行くみたいです。
成功すると依頼主の貴族様から臨時収入が貰えるとか── 」
貴族令息
「 ほほぅ~~。
詳しいな 」
男娼
「 御客が取れない男娼は裏方で動く事が多いので。
雑用の一種とされています。
私の友人が参加して、内容を教えてくれたんです。
貰えた臨時収入を自慢されました 」
執事
「 《 男娼館 》や《 娼館 》に売るのを目的に子供を産むんですか?
1歳まで育てて《 男娼館 》や《 娼館 》に売りに出すと?
自分達の子供を? 」
男娼
「 はい。
跡取りの長子と保険の次男は残して──、生活費を得る為に残りの子供は売られます。
《 孤児施設 》から来た子も居ますけど、どの子も『 此処の暮らしの方が良い 』とは聞きます。
《 孤児施設 》には当たり外れが有るらしいので── 」
執事
「 ま…まぁ、経営者が違いますからねぇ。
当たり外れが有るのは否めませんよねぇ 」
男娼
「 《 孤児施設 》から来た子からは『 気に入られた子供は他の子よりも待遇を良くしてもらえる変わりに御奉仕させられる 』って話は良く聞きます。
それが嫌で《 孤児施設 》から抜け出して《 夜蝶街 》へ逃げ込む子供も居ます。
指名されると顧客が付いて稼げるようになりますから、『 大人の玩具にされるなら、金銭を稼げる此方の方がマシだよな 』って考えが多いです。
現役を引退しても職員として働けますし、安定した給料が貰えますから 」
貴族令息
「 成る程な。
現役を引退した後も働き口には困らないようにアフターケアも万全って事か 」
男娼
「 万全かどうかは分かりませんけど……、個人名義で財産を持てる事は有り難いです。
稼ぎは自分名義で貯金する事が出来ますから。
ある程度財産が貯まったら此処を出て、新たに店舗を構える者も居ますし、家庭を持って普通に暮らす者も居ます。
自分を売った両親の元へ帰る者も居ますよ。
此処を卒業する理由は色々です。
出戻りして職員として働く者も居ますね 」
執事
「 出戻りするんですねぇ 」
男娼
「 稀にですけど。
スカウトした子供を連れて出戻りする者も居ますね 」
貴族令息
「 そうか。
お前は現役を引退したら出て行くのか?
両親へ会いに実家へ戻るのか? 」
男娼
「 私は……生活の為とはいえ、子供を売って稼ぐ両親に会いたいとは思いません。
初めから売る目的で産まれされた立場でしたから……。
引退後は此処の職員として働く予定です。
私が経験して学び培った知識や技術を後輩達の育成と教育に役立てたいと思っているんです 」
執事
「 まぁ~~立派な志を持っていますねぇ!
聞きましたか、御主人様?
爪の垢でも煎じて飲ませたい話じゃないですかぁ! 」
貴族令息
「 お前……事が済んだら覚えとけよ! 」
貴族令息は眉毛をピクピクと動かし、ムカつく気持ちを懸命に堪えている。
今直ぐにでも執事に回し蹴りと踵落としを食らわせたい心境だ。
貴族令息
「 お前の話は役に立った。
此処を潰すのは勘弁してやろう。
お前の働き口を奪うのは流石に気が引けるからな 」
男娼
「 それは助かります。
有り難う御座います 」
貴族令息
「 お前の細やかな夢が叶うよう応援してやる。
パトロンになってやるから、存分に励め 」
男娼
「 ぱとろん……ですか?? 」
貴族令息
「 支援者って奴だ。
お前は運が良い!
運も実力の内とは言ったもんだな! 」
男娼
「 褒めていただき……有り難う御座います(////)」
貴族令息
「 名前は? 」
男娼
「 ソルクナタ…です 」
貴族令息
「 ソルクナタか。
覚えておこう 」
男娼はペコリと会釈をするとBRへ下がって行った。
執事
「 一寸ぉ!
何で勝手に支援者になるなんて言っちゃったんですかぁ!? 」
貴族令息
「 良いだろ、別に。
貴族の戯れさ★ 」
執事
「 糠喜びさせるなんて、性悪ですねぇ 」
貴族令息
「 ちゃんと支援はするさ。
オレも鬼じゃないからな★ 」
執事
「 そうですか?
途中で投げ出すのは止めてくださいよ…… 」
貴族令息
「 善処はしよう 」
執事
「 はぁ……。
不安しか有りませんねぇ…… 」
執事は首を左右に振りながら、お手上げだと思った。




