第3話「新武器。六人と一人の魔法使い」
リゼだかリザだかこんがらがったのでリザじゃない所がありましたらお知らせください。
あれから1年間ずっと魔法について教えられ、毎日魔法を撃ち続けた。
お陰で、マインドダウンを起こす事は減っていった。
マインドダウンを起こす時は、リザの変な実験に付き合わされ、マインドを吸われる時や、半日以上水を出し続ける時もあった。
あの気持ち悪くなる感じは嫌いだ。酷いと倒れるし。
4歳になると、森へ行き、兎や鳥など小動物を狩り始めた。
たまに魔物が現れ、教わった身体強化の魔法を掛けて全力で逃げた時もあった。身体強化の魔法は全身へ魔力を流し、筋肉や関節に魔力を固めるのでマインドの消費が凄い。逃げ切った時は倒れた。
鳥は風魔法で石を使い、撃ち落としたり、兎を土魔法で作った落とし穴に落としたりと、中々楽しい。
その生活を二年続けていたら、風を高速で撃ち出し、身をあまり傷つけないで狩れるようになった。
6歳になってから、近接戦を教え込まれているのだが…
「て〜い!」
ドォォオン…
力の抜けるような声とは裏腹に、庭に数多くのクレーターを作り上げているのは、大剣を軽々と振り回すマーリンだ。
「も〜逃げてばかりじゃ、訓練にならないじゃないですか〜!」
冗談じゃない!あんなの掠っただけでも致命傷だわ!
「ちょっと!まって!」
「むむ〜?どうしまし、たっ!(ドォォオン)…あ」
俺は、衝撃で吹き飛び木にぶつかる。
「手加減してあるので大丈夫ですよ〜危なくなったら寸止めしますから〜」
これで手加減かよ!あの森の熊と同じ威力だぞ!
「そもそも!大剣相手に素手で戦えっておかしい!」
「あ〜…それもそうですね。確か小屋にいい剣があったような〜、とりあえず見に行きますか〜」
いきなりお姫様抱っこをされ連れて行かれる。恥ずかしい。
「と〜ちゃ〜く!」
「ここが小屋?」
「そうですよ〜入っちゃいましょ。」
マーリンが扉を開けると、
「チュウ、チュウ」「チュウー!」
中からすごい数のネズミが出てくる。
「ねぇ…ココどれ位使ってないの?」
「さぁ…?」
中に入ると何やら高級そうな箱とかが置いてある。
「武器は地下にあるんですよ〜。」
マーリンが壁にあるレバーを下に引くと、音を立てて地下への階段が現れる。
「レバーでの開閉式なのでネズミ一匹も入り込めないのですよ!」
地下への階段は暗いので俺は、小さな火を出し、辺りを灯す。
ポチッ。
階段が突然明るくなる。
「灯のスイッチあるの忘れてました。てへっ」
可愛らしく拳を頭に乗せる。
火をぶつけてもええだろうか。
「さぁ!さぁ!トーチ君にピッタリの武器を作りましょ〜!」
「え?作る?」
「ええ。作りますよ?何かおかしな事言いました?」
「どうやって作る…の?」
「ふっふ〜ん…私の力があれば!簡単なのです!とりあえず適当に短剣でも持ってきてください!」
そうして俺は適当に短剣を選ぶ。
「それじゃあトーチ君!どんな剣をお望みかな?」
いやまぁ短剣でも良いんだけどさ。
「 うーん…魔法を打ち出せる剣とか作れるの?」
「ええっ!そんなの私には無理ですよ!そんな強力な剣を作れるほど力ないですし〜」
「じゃあサイズを自由に変えられる剣は?」
「お安い御用です!任せてください!」
これから成長するのでありがたい。
「精霊マーリンちゃんの力をとくと、ご覧れ〜!」
すると、光が集まり、剣を紅く輝かせる。
「うーん…少し軽くしておきますか…」
そうマーリンが呟くと、光が剣に文字を刻んでいく。
「トーチ君、トーチ君。少し私に魔力を流してくださいな。」
そう言われたので、マーリンの肩に触れ魔力を流し込む。
「うそ…ハッ。ありがと〜これで君の魔力を感知して、君だけしか使えない剣の完成!」
光が消え、剣が出来上がる。
「これはどう使うの?」
「長さを変えたい時は、魔力を流し込めば流し込むほど伸びますよ〜」
試しに少し魔力を流し込むと、刀身が5センチほど伸びた。
「引っ込める時は、魔力を引き抜くイメージで短くなります!あ、最初のサイズからは小さくならないのですよ〜」
「こ、こうかな?」
すると、最初のサイズへ戻った。
魔力を引き抜くのは初めてやったが意外と簡単だな。
まてよ…もしかしたら。
そう思い短剣へ火を撃ち込むと。
よし!狙い通り剣が魔力を吸い取ったぞ!
「トーチ君?その剣はトーチ君の魔力しか吸い取らないから他の人の魔力は吸収できないよ〜?」
「うそ〜ん!」
地下室で俺の声が響く。
早速作ってもらった剣の性能を確認する。まずはそこら辺の枝を切ってみるか。
身体強化魔法を掛け、木に登る。転生前はよく木に登って「変身!」と叫び、木から飛び降りるという遊びを繰り返していた。着地に失敗して足を骨折して親に怒られたなぁ・・
とりあえず小枝から切るが、引いても押しても切れない。なぜだ?
「お~い!マーリンさ~ん!」
「は~い…ってどこ登ってるんですか!危ないから降りなさい!」
怒られた。とりあえず降りるか‥あ、一つ実験してみるか。
魔力を足腰の関節へ少し送り、足裏にすべての魔力を集める。そうしたら風を起こし、木から飛び降りた。
すると、地面に付くところで衝撃が無くなった
「ふぅ…とりあえず実験は成功か。」
「こら~!何て危ない事してるんですかぁ!!」
両手を上にあげ、ぷりぷりと怒っている。
「でも大丈夫だったでしょ?」
「大丈夫だったって…まぁそうですけど。心配する人も居るんですよ…」
最後の言葉は小さく呟くように言っていたが、俺は聞かないふりをする。
少し涙目になっていたので素直にごめんなさい、と謝る。
「もうっ、次からは危険な事はしないでくださいよ!」
「はいは~い」
「返事は一回!」
「は~い」
そういうやり取りをしながら家へ帰っていく。
家に着いた時突然、
「遂に出来上がったぞおおおくぁwせdrftgyふじこlp!!」
と発狂気味な叫びが聞こえた、マーリンはまたか〜、と呆れ気味に項垂れ、俺は何が出来上がったのか気になり走ってリゼの元へ向かう。
「トーチ!やっと出来たぞ!魔力タンクの完成だ!」
おー!何に使えるのかいまいちピンとこないが。
「マーリンが創り出せる『拡張』の能力を応用した魔力タンクだ!だが…入れられる量が少ないのが欠点だな。」
「と、なると?」
「ボツだな。まぁ魔力タンクを作れる事が分かったからいいか。さて、マーリン。また拡張を付与してくれないか?」
「え〜、トーチ君の武器に力を使っちゃったので三日は回復させないと消滅しちゃいますよ〜!」
そんなに力を使うのか。
あ、剣の切れ味について聞くの忘れてた。
「そうそうマーリンさん?剣が何も切れないんだけど、どうしてなの?」
「あ〜…それはですね、ぶっちゃけるとトーチ君の力が凄すぎて切れるものを持たせるのが危なっかしいな〜って。」
そうなのかな…まぁぶっちゃけると今の力ならシャドウウルフレベルならどうにかなりそうな気がするが。
「なんだ、居ないと思ったらトーチの武器を作りに行ってたのか。」
「はい!行ったのはいいんですが聞いてくださいリゼさん!トーチ君ったらいきなり木に登って枝を切ろうとしたんですよ!」
「ほう、だかもう六歳なんだし、少し過保護過ぎやしないか?」
「だって〜。」
「まぁあと六年だしな。」
「そうですよ!だから今の内にかわい「ちょちょちょ!え?あと六年ってどういう事?」
「え?何も知らないんですか?リ〜ザ〜さ〜ん?」
ジト目でリザを見る。
「あ、いや…魔法を教えれば教えるほどすぐ覚えるので楽しくてな…そこら辺のことは教えてなかった。」
「はぁ…これだからリゼさんは…」
うぐっ…とリザは崩れ落ちる。
「いいですか?子供達は皆んな10歳になったら精霊との適性があるかどうかを確かめる為に王都に出向き、適性があるなら微精霊や精霊と仮契約をするんですよ?適性がないなら商人とか戦わない仕事とかやるんですよねー。」
「微精霊と、精霊の違いって?」
「微精霊は、私みたいに肉体の構築が出来ない子です。会話は普通にできますよ?精霊は肉体を持ち、精霊の中でも上位になってくると私みたいに能力を使えるようになるんですよ〜!私すごいでしょう?」
「はいはいすごいですね〜。契約とか気になるだけど契約したら何か得られるの?」
「そうですね〜微精霊や精霊達の力を借りれるのが大きいですね。私は生成系が得意なのでリザさんは物へ送る魔力が少なくても大丈夫だったり、手から魔力の剣を作る事が出来ますよ〜。」
「まぁややっこしい話は飯の後にしないか?マーリン。飯を頼む。」
「がってんです!」
もっと話を聞きたいが、飯の後だな。
ふぅ…食べた食べた。お腹いっぱい食べた所で俺は魔法の鍛錬を積もうと外へ出ようとすると。
「それは本当かい?マーリン。」
「はい…魔力を直接貰った時に分かりました。」
リザとマーリンが話をしている。
「はぁ…まぁ普通の子じゃないとは思っていたがそこまでとはね…」
「このまま行くと…」
「魔精霊クラスか…フフッ!面白いじゃないか!」
「全くおかしくありません!この事が世間に伝わると大問題ですよ!」
「まぁまぁ良いではないか。さて…そろそろあの子が魔法を練習する時間だよ。」
「はぁ…心配で仕方がありません。」
話が終わったみたいだ。魔精霊って何だろう。魔法の鍛錬が終わったら調べてみるか。
俺は森へ行きより正確な射撃を出来るようになるべく遠くから風の魔法を撃ち出す。
暗くなってきたので俺は家に帰り、狩った獲物をマーリンは渡す。
獲物を渡した後俺は書庫へ行き魔精霊について調べた。
魔精霊…それは人々を脅かす災いを創り出すほどの力を持つ精霊。数十年前、一匹の魔精霊に取り込まれた人間が暴走し、王都を半壊させる。しかし六人の大罪の名を冠した魔法使いが討伐。その後魔精霊を封印しようとしたが、失敗。魔精霊は世界の果てへ逃げてしまった。
その時討伐した魔法使い名は…
「面白いか?」
ハッとし、後ろを振り返るとリザが書庫の扉へ寄りかかっていた。
「私達の話を聞いていたんだろう?マーリンは言っていたよ…トーチ。君が魔精霊と契約できる程の力を持っている事を。」
「ねぇ、魔精霊ってどんな感じだったの?」
トーチがそう聞く理由は本の続きにあった。
魔精霊を討伐した六人の魔法使い。強欲の大罪の名を冠した魔女。「強欲の魔女リザ=ヴァフガーラ」
「はぁ…恥ずかしいから知られたくなかったんだが…強かったぞ。六人の力を合わせてやっとやっとだった。その時の戦いでマーリンは力をかなり消費し、今は拡張の能力位しか使えなくなってる。」
そうだったのか。
「だがな、魔精霊は全員悪い奴ではないんだよ。あの事件があってから魔精霊に悪い印象が付いてしまったからな。」
「他の魔精霊を知っているの?」
「あぁ…一人な。そいつは憤怒の大罪。「ダン」って名前だった。平民出身だから家名はなく、誰にでも分け隔てなく接し、優しかった。」
「憤怒?もしかして…」
「あぁ…魔精霊に取り込まれたのはダンだよ。あいつは最愛の人を目の前で殺されたのさ。忌々しい貴族によってね。」
最愛の人を殺されたショックがトリガーになり、魔精霊の力が暴走。理性を失った魔精霊に取り込まれたダンは、そのまま王都を半壊させたらしい。
「いいかい?魔精霊が持つ力はとても強大なんだ。ダンは優しい奴だったからな。力に溺れず、その力を使ってみんなの役に立つ事をしていたよ。」
「そうなんだ…」
「まぁ魔精霊に遭うことなんて稀だからね。今後の勉学に活用したまえ。」
「うん!わかった!ありがとう。」
そう言い残し書庫を出て行く。
はぁ意外と暗い話になったな。お腹空いた…ご飯まだかな〜。
ふふふ…これからトーチ君はチート君になるんですよ!明って名前つけたのもチート君と言いたいから付けただけです!
今回は4500字位です。このくらいの量の方がいいですかね?
ぜひ感想をください…