裏切り者
一年が経ち、夏のある日の事だった。私がレオン暗殺を企てたとして、告発された。有り得ない。私がレオンを暗殺?
どうやら、私の寝室から黒魔術の本やレオンの髪の毛が着いた藁人形が見つかったようだ。明らかに誰かに陥れられた。誰だろう。なんの恨みがあってこんな事を?それに、レオンは私を信じてくれているだろうか。きっと、大丈夫。レオンなら私を信じてくれる。
そう思い、寝室へ向かう。すると、レオンがエマに剣を向けていた。何故エマが!?疑われるような事があったのか?レオンが剣を向けるなど相当の事だ。
「分かっているな」
首元に剣が近づく。
「待ってください、陛下!」
「何故止める?」
「エマがやった確証がありません。本人の口からそうだと聞かないと…「はい。私です。私がやった事です。」」
「……え?」
私は呆然としてしまった。エマが何故そんなことを?
「私がやったんです……」
「私は元々貧しい生まれです。けれど努力して皇后様の侍女という高貴な身分に着くことができました。しかし現実は厳しかった。あくまでも私は侍女。私は皇后様が羨ましかったんです。生まれた時から高い身分に属し、国の皇帝との結婚が決まっている。生まれてから死ぬまで高貴な処遇を受け続ける。」
「そんな皇后様が、羨ましかったのです。」
「それじゃあ、私の部屋に黒魔術の本や、藁人形を置いたのも……」
「そうです。それに規則を破り、陛下が来る時甘い香水をつけ、誘惑しました。」
「そんな。エマ......私は」
「もういいだろう。こいつは処刑する。」
私は庇うようにエマを突き飛ばした。何故そうしたのかは分からない。ただ、理解が追いつかなかった。
「全て聞いただろう。何故止める?」
「一緒に過ごした日々を思うと、どうしても、恨むことができないです。」
9年。9年も一緒にいたのだ。突然エマが私を陥れる行為をしただなんて事実を突きつけられても恨めるわけがない。
それに……
「それにエマは……貴方に似ている。身分ではどうしようも無いものを、努力で掴んだ。」
そう、エマは昔のレオンによく似ている。実力で結果を勝ち取る心の強さが。
その場が静寂に包まれた。
「宮殿からは、追放します。しかし、殺さないでください。」
その瞬間、エマの心臓に浮かんでいた黒い霧が枯れた花へと変化した。良かった。これでいいのだ。これで。
「せめて、一思いに殺してください」
無理に決まってる。エマは、私の大事な家族だから。
「嫌よ。貴方は生きて。努力できるのだから、それを何か違う事に活かしなさい。」
エマは外へと追い出されていった。
わたしはソフィアと抱き合う。
エマ。貴方の気持ちに気付けなくてごめんなさい。でも、これからはどうか、貴方の良さを活かして、どうか幸せでいて。




