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俺が皇帝になって

15歳の夏。私の結婚相手はまだ知らぬ誰か。しかし恐らく嫡男であるルシアン様だと言われている。

「ねぇ、ソフィア、エマ。もし私が嫁いでも、私たちはずっと一緒よ」

「勿論です、お嬢様」

「なんとしてでもついていきますよ!」

 2人はそう言って、私に抱きついてきた。昔から、両親の厳しい指導を受けた時も、結婚相手が決まってショックを受けた時も、この2人のおかげで乗り越えられてきた。

 だから、決められた結婚は仕方がないと割り切ることにした。悲しいけれど、きっと2人がいれば大丈夫。それに、結婚する方はとても優しい方かもしれない。そんな風に自分に言い聞かせていた。

しかし時が経ち、2年後のあの日。私の運命が変わった日。今思えば、レオン様との出会いは、運命だったのだろうと思う。昔夢見た本のような、運命の出会い。

 「私は、もうすでに結婚相手が決まっているんです。相手はおそらく嫡男であるお方。私は……私は夢見ていました。好きな方と出会って、結婚して幸せな家庭を築くと。しかしそれは叶わない。分かっています。高望みだと。この家で生まれ育った以上、言う通りにしなければいけない、と」

 「けれど、辛いんです。」

 彼は、私の話を黙って聞いてくれた。

 「そうか。……辛い気持ちは、無視しなくていい。」

 「ありがとうございます。」

 私は泣いてしまった。人前で泣くつもりなどなかったけれど、何故か溢れ出てくる。止まらないのだ。

 そんな私を、彼は抱きしめてくれた。

 この瞬間、言葉はなくとも、通じ合っていた。お互いが、お互いを思い合っているのだと、伝わる体温と鼓動が教えてくれた。

 「俺が、皇帝になって、お前を娶る。」

 私は息を呑んだ。

 そんな未来を夢見た事はある。でも、いけない事だと思っていた。身分も、立場も何もかも違う。世間はそれを許してはくれないだろう。

 それでも彼は、まるでそんなものなど最初から存在しないかのように言った。

 もし、本当に、そんな日が来るのなら。

 もし、この人の隣で生きていけるのなら。私はもう他に何も望みません。

 「……お待ちしております、レオン様。」

 いつか、そんな日が訪れますように。

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