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魔法は嘘をつく ―賢者が残した遺産―  作者: 虚空小白
第二章:悪魔を統べる王
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第49話 誤った選択

 翌朝。

 ロゼンは大時計の鐘の音で目を覚ました。


 洋服タンスを開け、風袋からハンカチを取り出し、ポケットに突っ込んだ。


 トイレへ行き、用を済ませる。


 洗面所で手を洗い、ハンカチで拭いた後、無造作に置かれたハーブスティックを一本手に取った。

 殺菌作用があり、いい香りがする。


 枝の端を噛み潰し、ブラシ状にしてから歯を磨いた。

 ゴミ箱に捨て、口を濯ぎ、ハンカチで口元を拭く。


 部屋に戻ると、制服を纏ったカルロスが屈んで壁際にハーブスティックを立て掛けていた。


「何をしているんだ?」


「見ての通りだが」


「わからないから聞いている」


「風流占いだ」


 カルロスはハーブスティックを並べながら続けた。


「陽が昇っている間、陽の気を吸い、夜になると、陰の気から俺たちを守ってくれる」


 立ち上がり、笑顔で頷いた。


「これでよし」


 カルロスは洋服タンスを開け、腰に剣を下げた。

 外套を翻すと、剣が隠れた。


 ロゼンはドアを閉めた。

 風圧でハーブスティックが倒れたが、そのまま無視した。


 制服に着替え、腰の左右に剣を一本ずつ下げ、外套を纏った。


「よし、いくか」


「おう」


 二人は部屋を出た。


 カルロスは紅玉寮の外で足を止め、左を見据えた。


「昨日、説明を省いたが、革新工房は寮の奥にある」


 剣の柄尻に触れた。


「装備に不調があった場合、技師に見てもらえ」


 カルロスが食堂へ向かい、ロゼンも並んで歩いた。


「ロゼンは二本の剣を同時に使いこなせるのか?」


「いや、一本しか使っていない。初めて二本使った時、片方の剣の長さが邪魔だと思った」


 ロゼンは形見の剣を撫でた。


「俺はあいつをそんな風に思いたくなくて、今は自分の剣しか使っていない」


 カルロスは足を止め、横目でロゼンを見た。


「一つ聞かせろ。お前は自分の剣が折れた時、妹の剣を抜けるのか」


「抜くが問題があるのか」


「その結果、折れることになってもか?」


 ロゼンは黙り込んだ。


「どうした。答えられないのか」


「抜かないでいい方法を考える」


 拳を握り締めた。


「それに、魔法があるからな」


「それがお前の答えか。よくわかった」


 カルロスが剣を抜いた。曲刀だった。

 ロゼンは慌てて後ろへ下がった。


「剣を向けるな、危ないだろう!」


「ロゼン、お前の答えが間違っているからだ」


 カルロスが目を細めた。


「相手が人だった場合でも、お前は魔法を使うんだな?」


 一拍置いて続けた。


「たとえそれが自分の身を守るためだったとしても、許されない行為だと知っているな」


 ロゼンは歯を食いしばり、首を縦に振った。


 カルロスは息を吐き、剣を鞘に収めた。


「剣を向けて悪かった」


 それだけ言うと、食堂へ向かった。

 ロゼンは顔を伏せたまま、その後に続いた。

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