幕間 最期のわがまま
ソルへ
これを読んでいる頃、私はもういない。
聖女様と出逢ったあの日、私は彼女から内緒で教えてもらった。
ソルは悪魔化現象に墜ちている。
私は命を落とす。
旅をやめれば、私は助かるけど、ソルが悪魔になってしまう。
ソルには運命を変える力がある。
でも、それは私がいなくなった後の話。
私には思い当たる節があった。
ヴァーゲに投げ飛ばされた時、ソルが動かなくなった。
ソルは悔しがっていたけど、もし打ち所が悪ければ死んでいても不思議じゃなかった。
だから、私は聖女様の言葉を信じることにした。
それが、いつ訪れるのかわからない。
不安だった。
ソルに話せば旅を中断する。
そうなれば、ソルが悪魔になってしまう。
それだけは許せなかった。
レイ・ドランの手記を届ける時、ソルは迷わなかった。
私もあれでよかったと思っている。
カルロスは、愛する女性のためならこの命すら惜しくないと言っていた。
私は彼の話を聞いて、未来を想像した。
死ぬのは怖いけど、ソルが悪魔になってしまうほうが、私は怖かった。
だから、死ぬのなんて怖くないと思えるようになった。
でも、私の存在を忘れられるのだけは怖かった。
私は後悔していない。
だから、私のせいで自分を責めないでほしい。
私の最期のわがまま。
夢を追いかけて。
マーニ・アルヘイナ




