中級悪魔
時は戻り、
幸明がラモン商会を後にして市場を歩き回る
「スラ太郎、仲間にできそうなモノを売ってたら教えてくれよ?」
幸明はスラ太郎を頭に乗せて辺りを見回す
「ぴっきゅ!」
合点承知の介と言わんばかりに跳ねるスラ太郎
すると、多くの兵士があちこちを走り回っている
「いったいなんだ…?」
幸明は一瞬、自分を探してるのかと警戒したがもっと事態は逼迫しているようだった
「悪魔憑きが街に入ってるらしいよ」
たまたま立ち止まっていた店の店主が言う
「悪魔憑き?」
「ああ、いわゆる邪神教と呼ばれる宗教の奴らが使う手さ
信者に悪魔を憑かせてこのロザリードの市街に向かわせて、ここで信者の魂を喰わせて悪魔を召喚させる
そうすりゃ、聖域と呼ばれる結界で悪魔を防いでても中に入れるって寸法さ」
店主がやれやれと言わんばかりに言う
「詳しいな…」
「たまーにあるのさ
ただ…こんなに兵士が動くのは滅多にないからやばいかもな」
「やばい?」
「悪魔ってのは下級、中級、上級、特級、神級ってのがいてな
悪魔憑きで召喚するのは大体が下級さ
俺たち市民からしたらそれでも脅威だが兵士が1時間もせずに倒してくれる
だが…ごく稀に中級を召喚できる悪魔憑きがいるのさ」
「へぇ…中級と下級はそんなに違うのか?」
「かなり違うらしいぜ?
下級悪魔はどんなに頑張っても中級に触れることができないくらいの力の差があるって話だ
ちなみに上級以上の悪魔は悪魔憑きでは召喚できないらしい
集団の生贄を使う召喚の儀式があるらしいが…召喚したところで制御できないんだってよ」
「へぇ…もしかして俺たちも…」
幸明が考え込む
「…ちぃときなくせぇな」
店主が言う
「え?」
「兵士の数が多すぎる
こりゃ、間違いなく中級だろうよ
しかも近くだ、店を片付けて逃げた方がいい、あんたも避難しな!」
店主が店のモノをしまいはじめる
「俺も実際に中級を見たことはねぇが、見たら最後生き残れねぇらしいぞ!」
ドゴォォォォォンッ!
近くで轟音が鳴り響いた
「…マジか…良かったな店主
中級と初対面だ…」
「そりゃすげぇな…できりゃ、一生会いたくなかった」
店主は呆然としてなのか諦めたのかテン弱々しい目つきで中級悪魔を見つめる
「あれが中級悪魔…
牛だかヤギだからわからん顔にムキムキの体、明らかに悪魔っぽい羽と…トカゲみたいなしっぽ?
尻尾はあのスペードみたいな形じゃないのか…」
幸明がいう
「ぴっきゅ…」
スナイプが注意を促す
悪魔とは目が合ってはいないが…こっち方面を吹き飛ばす気だ、そうわかるように悪魔がこちらに手のひらを向けた
「ガードスライム!」
「ぴっきゅ!」
ヴンッ、ヴンッ、ヴンッ!
ガードスライムは3枚の盾を直線上に並べて召喚する
その瞬間
ドゴォォォォォォォオンッッッッ!!!
さっきよりも直接的な轟音と振動
パキィンッ!!
2枚の盾が粉々に砕けて消失し、最後の一枚もボロボロだった
「ぴっきゅ〜〜〜…」
ガードスライムが疲れた、と言わんばかりの声を出す
「おっちゃん、大丈夫か?」
「あ、ああ。
あんたが助けてくれたのか?」
「俺じゃなくてこのスライムがな」
幸明は店主にストレート宣言するかのようにガードスライムを掴んで見せる
中級悪魔はこちらには気にもせずに別の方向を向きまた力を溜める
「なんだ…?
俺たちのことは眼中にないってことか?」
幸明が言う
「いや、悪魔憑きが召喚した悪魔は召喚された時の命令を優先させる
あんたらが攻撃しない限り、あんたらを相手にすることはないはずだ…下級ならな」
店主が自分に対する皮肉のように言う
「詳しいんだな」
「そりゃ、俺はずっとロザリード生まれ、ロザリード育ち
大聖女ステラ様は俺たちの可愛い娘、を地で行くナイスミドル世代だからな
下級悪魔は義務教育のうちさ」
店主がドヤ顔で笑う
「良い教育方針だな
あの悪魔…商店街の方に行く気だ…
エリザベートの店もある…
なぁ…スライムたち…
あの悪魔に勝てるか?」
「「「ぴっきゅ!!!」」」
「きゅ…」
スナイプがフードを銃で示す
「きゅ、きゅ…」
兵士とスラ太郎を示しながら言う
「あ、そっか…目立つと俺が捕まるのか…フードの効果を発揮する時だな!…まぁ、買ってすぐだけど」
「ぴっきゅ!」
ソードスライムが幸明の右手に飛び乗る
「ピッキュ!」
シャキンッ!
ローブで手元が隠れるためソードスライムを握っている右手はまるで剣を握ってるように見える
「ぴっきゅ!」
ガードスライムは左手に乗る
「きゅ…」
ぽんぽんと可愛らしく跳ねながらスナイプはどこかに消えていく
「ぴっきゅ…」
リュックスライムはズボンのポケットに入り込む
「ぴっきゅ!」
スラ太郎は頭に乗るとフードと髪の毛をガッチリと掴む
「あの…やばいと思ったらハゲる前にフードは離してね…」
幸明は不安を感じながら言う




