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ニーナ、城塞都市を発つ

予告なく修正することがあります。

Sep-20-2020、一部変更。

 昼頃、大襲撃から増えた訪問者に混じってゼルスが一人でやって来た。


「よく来るのじゃ。」

「ギルドマスターが有能な冒険者を訪ねて何が悪い。」

「大公閣下でもあるのじゃ。簡単にうろつくのはどうかと思うのじゃ。」

「こう見えても、昔はミスリルの冒険者で、剣の腕は最上級騎士だったのだ。凄いだろ。」


 ゼルスの訪問にニーナが珍しく注意する。少し、跋が悪そうにゼルスは笑ってニーナを見た。


「そんな事より、今日の昼飯はなんだ。」

「蟹焼き飯じゃ。やはり、目的は妾達のお昼ご飯か。少し大公としての自覚が足りんのじゃ。」

「お嬢!」

「やっぱり、大物ね。」


 何食わぬ顔でゼルスはニーナと一緒にテーブルにつき、蟹焼き飯を楽しんだ。

 食事を終えると、ゼルスは紙を取り出して、キキに渡した。キキは一読してゼンに無言で渡した。


「国王から君達に爵位を授与すると連絡が有った。そんなことをすれば、国外に行くと言って考え直させたぞ。城塞都市を拠点にすれば、儂が色々と力になってやれる。どうだ、ここを拠点にせんか。」

「まだ、旅を続けるのじゃ。」

「そうか。近々、出発するのかね。しかし、すんなりとはいかんと思うがな。ミストリアもバルドスもまだ、何やら聴きたそうだぞ。ロビヌも何やら考えていたようだ。商人ギルドもポンチョの独占を追及しておる。他にもレシピを渡さなければ、揉めたままになるぞ。」

「それはあまり、妾達に関係がないのじゃ。ゼンが何とかするのじゃ。」


 ニーナの言葉にゼルスはにこやかに頷いた。

 紙を受け取ったギルスは眼を剥いて紙を見詰めていた。横から除いたエレンは口を開けて、ゼンとキキに向き直った。


「色々、大変なのだ。そこに書かれているだけでは無い。国政に携わる貴族の中には、君達を危険視する者も少なくない。実際、他国の間者も動き始めている。ティム達だけでは捌き切れなくなる。」

「そういえば、ゼンが消えることが多くなってきたのじゃ。」

「聞いても「用を足しに。」しか言わないな。」


 ギルスは自分の言葉に驚いた様に、キキを見た。


「一応、話は聞いているみたいよ。無理矢理、連れて行こうとするから、処分されるのよ。お行儀良く来れば、話しぐらいは聞いてあげるのにね。」

「末路を聞くのが怖いな。」

「他国の間者が接触を計ったことは掴んでおる。しかし、ティム達ですら見た事がないのだ。気配を察知したことはあるが、死体すら見つけることが出来ておらん。」


 ゼルスもギルスも微笑むキキを見て、引き攣った笑顔になった。

 ニーナ達は食事を終え、市場に買い出しに行った。偶然、傭兵ギルドの副マスターのハウリアに出会った。


「ここを出るの。ギルスさんやエレンさんともう少し、模擬戦をしたかったのに。団員達もニーナ嬢達の模擬戦にやる気を出していたのに。」

「うにゅにゅにゅ、あの人数とやると疲れるのじゃ。」

「そう言わずに、もう一度ぐらい来てよね。待っているから。」


 そう言って、ハウリアは手を振りながら、ギルドに戻って行った。暫く、歩くとポンチョがニーナ達を見つけ、走り寄って来た。


「探しましたよ。ゼンさん、もういくつかレシピをお願いします。商人仲間からの突き上げが厳しくて。」

「ギルドを通さなかった貴方の責任でしょ。」

「どうしてそれを。」

「商人ギルドから聞いたわ。それに貴方、シルバーからブロンズに落ちているわよ。」

「うお、何時の間に。ゼンさん、お願いします。」


 ポンチョは市場の真ん中で、土下座をして頼み込んだ。ゼンはいつの間にかいなくなっていた。


「ニーナ嬢、いや、ニーナ様。どうか、お助けを。」

「妾は関係の無いことじゃ。」


 なおも追いすがるポンチョに、レシピはゼンしか知らないと、振り切って屋敷に戻った。


「うにゅにゅにゅ、これは早く出発する方がいいのじゃ。」


 翌日から必要なものをリストにして、買い出しはニーナとエレン、ギルスとララの二組で行き、キキは図書館へ、ミリアンとロロはゼンと一緒に狩に出掛けるようになった。三日程で充分な量が確保でき、ニーナはゼンと冒険者ギルドを訪れた。


「二日後の夜明けに出発するのじゃ。ゼルス殿、世話になったのじゃ。」

「やはり、行くか。予想通りだがな。今夜は食事会に招待しよう。材料は儂が手配するが、料理はゼンにお願いする。それとも、指名クエストにするか。」

「それはゼンのレシピが欲しいのじゃな。妾でも判るのじゃ。ギルドマスターだけではなく、大公閣下としての自覚が全く足りんのじゃ。」


 肩を落とすゼルスをロイスとレインは口を開けたまま見ていた。ゼンは材料をメモしてゼルスに渡すと、ゼルスは笑顔を作って二階へ上がって行った。

 その夜、大公の屋敷でゼンは料理を大量に作り、お抱え料理人達を驚かせた。大公を始め、招待された各ギルドマスター達や騎士達も初めての味を楽しんだ。ポンチョは指を折り何かを数えていたが、同席した商人ギルドのマスターに睨まれ大人しくなった。

 翌日、ゼンは平民地区に向かい、数人にかまぼこやさつま揚げなど、数種類のレシピを教えて回った。レシピだけでなくすり鉢や麺棒等の道具も教えた。


「一人に一つのレシピとわな。これで職を得るものが増えるか、大したものだ。」

「ゼルス殿、商人ギルドが全面的に協力させて頂きます。」


 様子を見ていたゼルスとポンチョは、大公と商人で思惑があるように笑った。


 そして、夜が明けた。


「いつか、戻ってくるのじゃ。」

キ♀:少し短めだったわね。

空♂:出発前だから、次回から旅を再開します。

キ♀:次は療養都市ね。

空♂:同行者を増やすか、悩み中です。

キ♀:そう、期待しているわ。ブックマークも4人になっているのよ。

空♂:頑張ります。

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