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ニーナ、ジョブクラスを得る

予告なく修正することがあります。

Sep-12-2020、一部変更。

Sep-20-2020、一部変更。

 魔物の大襲撃から数日が経った。幸い城塞都市に被害が全くなかったが、海岸までの数百メートルの道に大きなクレーターが出来ていた。そして、海岸はキキの魔法で岩場の一部がガラス状になっていた。


「姉ちゃん、このクエストって。」

「しいっ、言わないの。」

「なんじゃ、このクエストは。あの穴の修復か、一か所に付き銀貨十枚なのじゃ。全部で五十七ケ所か。うにゅ、全部で銀貨五百七十枚、肉串が、うにゅにゅにゅ。」

「お嬢様、肉串十一万四千本です。上肉串ですと七万千二百五十本、特上ですと五万七千本です。」


 ニーナとミリアンの会話にロロが涎を流して、ララに言われて慌てて拭った。

 年少組の会話を背に、ゼンが無言で剥して持って行って。ニーナが慌てて後ろを付いて行った。


「これはアダマンタイトクラスのクエストではありません。」

「問題ない。」

「問題ないのじゃ。元はと言えば、これはゼンが、うにゅっ。」


 クエストの説明をするロイスに、ニーナは何かを話そうとしてゼンに口を塞がれた。


「ララ、ロロ。平民地区に行って孤児達を集めて、穴の修復を手伝ってもらうわ。報酬は銅貨十枚、昼と晩ご飯付よ。」


 キキの言葉にララとロロが走って出て行くと、ニーナも慌てて駆け出してミリアンが後を追った。

 平民街に着くとニーナはレイピアを抜いて、上へ向けて魔法を放った。小さな火の玉が飛んで、上空で小さな爆発音を響かせて花を咲かせた。

 爆音を響かせた主を探して、人々の視線がニーナに集まった。


「子ども達よ。仕事が欲しいか!」


 奇異なものを見る眼で人々はニーナを見ていた。


「うにゅにゅにゅ、何をしておるのじゃ。ここは「おおっ!」と言うところじゃ。」

「お嬢様、説明不足です。少しお時間を頂きます。」


 ミリアンはララとロロに耳打ちすると、手分けして周りの子ども達に簡単に説明した。銅貨十枚とご飯付と知って子ども達は、別の子ども達に話し出した。そして、徐々にニーナの周りに集まって来た。満足そうに頷いてニーナは、いつの間にか用意した樽の上に立った。


「子ども達よ。仕事が欲しいか!」

「おおっ。」


 少し元気のない声が上がった。蛸口になったニーナにミリアンが耳打ちすると、悪戯猫の様な笑顔を浮かべた。


「一日銅貨十枚なのじゃ。お昼ご飯は蟹と海老や勿論、肉もあるのじゃ。仕事が欲しいか!」

「おおっ!」


 今度は大きな声が上がり、ニーナに釣られたのか全員が手を挙げて答えた。三十人程集まった子ども達に仕事の説明をして、ニーナを先頭に東門に向かった。

 まるで行進するかの様に進むニーナ達を、町の人々は微笑みながら見ていた。


「お皿にお椀、フォークにスプーンを忘れていないかーっ!」

「おおっ!」

「美味しいご飯を食べたいかーっ!」

「おおっ!」

「妾に続くのじゃ!そして、美味しいご飯のために、仕事をするのじゃ!」

「おおっ!」


 冒険者ギルドの前を通り過ぎ、東門へと進むニーナ達を見るカルロスとバルドスがいた。


「なんの祭りだ?」

「エルノワールが穴埋めのクエストを受けた。」

「あれはみんなでやる事になっていただろ。」

「平民街と言うより、スラムの子ども達に仕事を与えるつもりか。バルドス、ドワーフ達を止めてくれ。」

「判った。カルロスは冒険者を頼むぞ。」


 東門を出るとニーナはギルス達に合流した。ギルスとエレンは子ども達の人数に驚いたのか、ニーナとゼンを交互に見てキョロキョロとした。

 面白かったのか子ども達から笑い声が聞こえた。

 ゼンはスコップやシャベル、バケツを出して、子ども達に配って回った。年長者にはグランドレーキを出して渡した。


「何じゃ。これは?」

「トンボだ。」

「トンボ?」


 年少組も子ども達もギルスさえ首を傾げて、渡されていく道具を見た。


「ふふ、地面を平らに均す道具よ。トンボは俗称なの。何処なく虫のトンボに似ているでしょ。」

「トンボとはどんな虫なのじゃ?」

「もう少しすると飛ぶ、四枚の羽を持った十文字の様な虫の事よ。」

「おおっ、牛喰いの事なのじゃ。こっちの方が小さいが言われると良く似ているのじゃ。」


 説明したキキはニーナの言葉に大きな溜息を吐いた。そして、ニーナが子ども達に仕事の説明を始めた。


「大きな穴はゼンが直すのじゃ。お前達はゼンが直した所を出来るだけ平らにするのじゃ。そして、今日のお昼ご飯は蟹焼き飯と野菜スープ、アングリーブルの焼肉定食なのじゃ!」

「おおっ!」


 ニーナの号令で子ども達が雄叫びを上げた。

 ゼンが錬成術でクレーターを直し、ニーナ達が集めた三十人程の子ども達が均していく。何度か繰り返して昼になり、ゼンが昼食を大量に用意した。そして、ニーナ達も手伝って子ども達に料理を配って、ニーナ達は食事休憩を摂った。


「このご飯、美味しい。」

「うまうま~。」


 蟹焼き飯と焼き肉を平らげて、仕事を再開した。

 二日目は子ども達の数が倍になった。朝早くから東門に集まって、ニーナ達が来るのを今か今かと待っていた。ゼンは溜息を吐いて、朝食の準備を始めた。


「先ずは朝ごはんなのじゃ。食べなくては力が出ないのじゃ。並ぶのじゃ!愚民ども!」

「お嬢様!」


 エレンの拳骨がニーナの頭上に落ちた。蹲るニーナを横目にララとロロが蟹雑炊を子ども達が持参したお椀に入れると、ギルスもエレンも手伝って朝食の配給が始まった。


「うにゅ、どうしてゼルス殿が並んでおるのじゃ。」

「う、うむ、ギルドマスターとしての視察だ。今日は二人がいるから大丈夫だろ?」

「吾輩も頂くである。」

「私まで申し訳ない。」

「うにゅにゅにゅ、ブルーノス殿にマクシミリアン殿は護衛か。もしや、ご飯が目当てではなかろうな。」

「ニーナ、すまんな。お館様もブルーノスも聞いてはいないようだ。」


 雑炊を掻き込む二人に、ニーナから石が飛んだ。ブルーノスが二つを叩き落として、ゼルスはニーナにウィンクして雑炊をお代わりし、キキに睨まれ静かに東門へと戻って行った。

 順調に道の修復が進み、昼食になると再び、ゼルスと二人の騎士王が姿を現した。


「うにゅにゅにゅ、やはり視察とは名ばかりで、ゼンの料理が目当てなのじゃ。」

「う、視察だと言っただろう。」

「ゼン殿の料理は最高である。」

「馬鹿者、ブルーノス!」

「うにゅにゅにゅ。やはり、料理が目当てなのじゃ。大公閣下、働かざる者、食うべからずなのじゃ。ほれ、トンボじゃ。手伝ってもらうのじゃ。」

「大公に手伝わせるなんて。のじゃ姫は大物ね。」


 ゼルスと二人の騎士王も手伝い始め、夜になると四天王も食事に参加していた。

 三日目になると子ども達は百人を超え、四天王と太陽の旗が牛や豚の魔物を狩って来て、冒険者達が解体を手伝っていた。

 ゼンは広範囲の穴を修復すると、昼食の準備を始めた。昼になると子ども達が並び、大人しく順番を待って、ニーナ達からご飯と焼き肉を皿に盛ってもらい食べ始めた。


「凄いことになった来たのじゃ。よし、大公閣下。騎士達に命じて食材を狩って来るのじゃ。バルドス殿達だけでは、足りなくなってきたのじゃ。」

「任せておけ。ブルーノス、マクシミリアン、驚かせてやれ。」

「御意!」


 騎士王と四天王が太陽の旗と一緒に狩に出掛け、ゼンも数個の穴を埋めるといなくなった。

 夕方、その日の作業が終わる頃、騎士達と太陽の旗が戻り、冒険者達は急いで大量の獲物の解体を始めた。

 二日目から常設された、バーベキューコンロで傭兵や冒険者が手分けして、子ども達を見守りながら焼き肉を焼いて食べ始めた。

 四日目になると子ども達に混じって、大人も参加し始め魔法師ギルドや盗賊ギルドのメンバーさえ見ることが出来た。

 五日目の夕暮れ前に作業は終わった。


「全ての作業が終わったのじゃ。レイン、完了報告じゃ。」

「はい、確かに確認しました。銀貨五十七枚です。でも、足りませんよね。」

「問題ないのじゃ。ゼンは抜かりの無い男なのじゃ。」


 ゼンが出したジャイアントバトルオックスとお化け蟹が並び、子ども達もゼルスも飛び上がって喜んだ。そして、お祭りのような夕食が始まった。


「赤字だ。」

「主様、どうして受けたのですか。」

「責任だな。」

「ふふ、慈善事業って言えば聞こえがいいかもね。」


 襲撃以来、ミストリアが来るようになり、キキと魔法談義をしてニーナ達の訓練を見て帰った。

 ニーナはギルス、エレン、ララと一緒に太陽の旗や騎士団の修練場に行って、模擬戦をするようになった。

 ミリアンとロロはゼンと一緒に、近くの森に行って狩をして過ごした。

 ある日、ニーナ達の屋敷にヴァルボルト騎士団総団長がやって来た。


「ギルフォード卿なのじゃ。」


 ミリアンの入れたお茶を飲みながら、二つのメダルを取り出した。


「騎士は王国に剣を捧げなければ、騎士王になる資格がない。貴族家に剣を捧げる騎士は、多くは無いがある程度の人数がいる。しかし、貴族でもない平民にしかも、家ではなく個人に剣を捧げた騎士は皆無だ。しかし、今回の防衛戦での二人の働きと、冒険者達の武に優れた者の働きで、騎士同様に戦える者達に別の職業を作ることになった。様々な武器を扱い戦う者を、勇者パーティーのジュウベイ殿のたっての希望で、武士と呼ぶことが提案された。しかし、すでに定着している戦士と呼ぶことに決まった。防衛戦での功績を称え、ギルス殿とエレン殿を初の戦士王とすることが決まった。これがメダルだ。」

「はは、戦士王エレンって書いてある。」

「俺のも、戦士王ギルスになっている。」


 ヴァルボルトは長々と説明した後、メダルを二人に渡した。二人は照れ臭そうに受け取った。


「ちなみに、王国の戦士王はジュウベイ殿を加え、三人だけだ。ジュウベイ殿は勝手に武士王を名乗っているがな。しかし、二人は騎士だ。戦士になっても二人はニーナの騎士だ。騎士王の称号を渡せなくて、申し訳ない。それとニーナ達にもこれを渡して置く。」

「うにゅ、妾も戦士のなっているのじゃ。」

「私もですね。」

「あたいも。」

「おいらもだ。です。」

「ニーナ達は未成年なので、クラスは付けられんが上級は私が保証する。」


 年少組はニヨニヨして身を捩って、ヴァルボルトは引き攣った笑いを浮かべた。そして、二人への侘びと茶の礼を述べ帰るヴァルボルトを、ニーナ達は見送るため外に出た。


「これだけの為に、何日もご苦労な事だ。」

「城塞都市までならそこまで時間はかからんよ。」


 そう言うと、ヴァルボルトは口笛を吹いた。すると、空から馬位の魔物が降りて来た。


「グリフィン。」

「騎獣だ。テイムが不可能な魔物を、テイムする方法があってな、騎獣とすることが出来る。グリフィンなら王都まで一時間ほどだ。」

「便利なのじゃ。」

「では、また会おう。」


 ヴァルボルトは空へと消えって行った。


「うにゅにゅにゅ、妾も欲しいのじゃ。」

「確かグリフィンは険しい岩山に生息しているはずだ。テイムに行くまでが大変だぞ。」


 ニーナをギルスが窘める。暫く、唸っていたが、夕食になる頃には収まっていた。


「ここも後、数日じゃな。」

「お嬢、ここからは暫く海沿いに南に行く。途中、いくつかの漁村と療養都市がある。後は、運が良ければ浮遊要塞を見ることが出来るかも知れない。」

「療養都市とは何じゃ。」

「ヴァルナ聖教が自治している町がある。布教の拠点として発展していった街だ。聖教国は変わって人族至上主義にかわって来たが、王国の教会都市もだが、各国にある教会都市は古い教えのままだ。全種族の平和を願っている。療養都市は温泉があって、布教活動の一環で長期治療もやっている。」

「そんなことより、何か美味しいものじゃ。」

「それは知らんぞ。」


 ニーナは蛸口になってギルスを見ていた。食べ物が出て来ないギルスの説明が気に入らなかったらしい。


「浮遊要塞の方は何じゃ。」

「昔の大戦の遺産だ。いくつかがこの世界を回っているらしい。何百年も経っているから無人らしいが、誰かが住んでいると言う者もいる。まあ、無人だろうな。行く方法も無いし。」

「詰まらんのじゃ。ところで、ゼン。準備にどれくらい必要じゃ。」

「蟹と海老、魚か。」

「あのすり身のやつも欲しいのじゃ。あれは美味しいのじゃ。」

「三日?五日?」


 ニーナ達は屋台攻略と道中の準備をして過ごした。


「ギルドには妾が行くのじゃ。」

キ♀:どうして昨日は投稿しなかったの?

空♂:2/3ぐらい書いたところで消してしまった。

キ♀:それで諦めたのね。知ってるかしら、ブックマークが4人になっているわ。

空♂:アクセスも3000を超えている。あ、有り難う御座います。

キ♀:がんばってね。

空♂:頑張ります。

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