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ニーナ、会議に出席する

予告なく修正することがあります。

Sep-20-2020、一部変更。

 屋台に並ぶ行列が短くなった頃、ティム達が合流し始めた。最後の客がニーナとゼルスに頭を下げ、子どもと手を繋いで帰った。入れ替わりに最後になったティアが合流した。


「む、遅刻。」

「ティア、ちゃんととってある。ぜひ、閣下にも聞いて頂きたい。」


 ティムの表情にいつもの笑顔が無かった。ニーナ達も今までのお祭り気分から、高位の冒険者の顔つきに変わった。


「二百年前の事件を知るエルフの冒険者から、話を聞くことが出来ました。」

「二百年前の事件と言うと、海からの襲撃者か。」


 ゼルスの顔が温和なギルドマスターから大貴族の顔に変わった。二人の騎士王が大公に頷き、屋台から離れて行った。


「エルフの冒険者は襲撃前から調査依頼を受けていたそうです。襲撃の十日程前から、百年種と呼ばれる巨大種の上陸が確認されました。多数の巨大種がいたそうです。ゼンさんが烏賊や蛸と呼ぶものも。」

「あれの巨大種はちょっと嫌なのじゃ。」

「烏賊と蛸の被害者も多かったそうです。しかし、冒険者達で討伐は出来たそうです。傭兵団と騎士団が到着して、巨大種を順調に討伐していった時に、海から現れたそうです。」

「悪魔達だな。」


 大公の顔に浮かんだのは恐怖か。ララとロロは青くなった。


「二十体以上の悪魔族が現れたそうです。当時、城塞都市には四人の騎士王がいたそうです。ミスリルの魔法師が八人、傭兵ギルド、太陽の旗。現在は再結成されゴールドですが、当時はオリハルコンだったそうです。しかも、騎士王クラスの五人の隊長達、オリハルコンの魔法師が八人。恐らく、王国最強の傭兵ギルドだったそうです。悪魔族は魔法を使えなかったようですが、高い魔法耐性と桁外れの戦闘能力で、騎士王が三人、魔法師の半分、傭兵ギルドの全滅と最上級騎士の捨て身の犠牲で、やっと討伐したそうです。」


 悪魔族を前にした時に、恐怖した過去が甦ったか、ティムの報告にギルスもエレンも俯いていた。


「悪魔族が二十体なんて有り得ないけど。多くても五体よ。」


 キキが疑問を口に出した。悪魔族は上下関係も友好関係も希薄なため、群れをつくることがなかった。


「魔法を使わないが、魔法耐性は高い。騎士王を凌駕する戦闘能力。そして、二十体以上のレギオン。多分、間違っていないと思うわ。」


 顎に手を当てるゼンと、答えが判ったかのように話すキキ。


「冒険者に大公名義でクエストを発注しよう。巨大種の調査と蟹の巨大種の討伐。そして、騎士団の編成と傭兵ギルドへの警戒も発注しよう。」

「うにゅ、食欲が入っておるのじゃ。」


 大公は改めて、焼きそばを作るゼンの前に立った。


「悪魔族が現れたら討伐を頼めるか。金貨三千枚だ。」


 大公の言葉にゼンがニヤリと笑った。


「ひっ。」

「うにゃ。エルノワールが引き受けるのじゃ。まだ、慣れんのじゃ。」


 ゼンの笑顔を不運にも見てしまった子ども達が悲鳴を上げた。中には、泣き出す子どもいた。大人達も悲鳴を上げ数歩、下がった。


「う、うむ。頼んだぞ。」


 その日、屋台で千食以上の焼きそばを売り、多くの子ども達が笑顔で帰って行った。ゼルスは冒険者ギルドに向かい、ニーナ達は拠点に戻り打ち合わせを始めた。


「これからどうするのじゃ。」

「おいおい、お嬢。リーダーだぞ。方針を出すのはリーダーの仕事だぞ。」

「うにゅにゅにゅ、そういうのは苦手なのじゃ。」


 ニーナは頼るようにキキを見た。キキは笑顔でニーナに頷いた。


「暫くは、都市周辺の調査ね。巨大種を追い立てるものがいるはずよ。」

「明日、ギルドに行って大公閣下と話そう。冒険者ギルドでも色々、対策を立てるだろう。それに、傭兵ギルドとも連携が必要になるだろう。騎士団ともな。こうなると、大公閣下がギルマスって便利だな。」


 翌日、ニーナ達は冒険者ギルドに向かった。クエスト・ボードには巨大種の調査が張り出されていた。冒険者達は周辺の情報を持ち寄り、数体の巨大種も討伐して納品していた。


「どうやら、昨日の内に行動したようだな。討伐されたのは蟹が多いな。うお、なんだこの買い取り価格は、特大が金貨五枚、小さいものでも金貨二枚だぞ。」

「おっ、来たな。上へ来てくれ。」


 ゼルスが顔を出し、ニーナ達を部屋に招き入れた。


「傭兵団には依頼を出した。太陽の旗も情報を集め始めておる。ティム達も情報収集を続けている。騎士団の編成も昼には終わるだろう。其処で、君達には午後の合同会議に出席して欲しい。唯一のアダマンタイトだからな。会議には魔法師ギルドも盗賊ギルドもギルドマスターが参加する。」

「うむ、判ったのじゃ。」

「こういう時は、お嬢なのか。」


 エレンが平民地区の寂れた食堂から、中年夫婦を連れて来て、ゼンが焼きそばの調理法を教えていた。ポンチョに管理と監視を頼み、マジックバックに入れた食材を渡した。


「レシピを大銅貨一枚で売るなんて、このレシピなら金貨百枚でも売れるのに、広めるのですな。」

「麺の製法、出汁のレシピ、それぞれの食材の下拵えも別々の人間に教えた。麺の製法とレシピはお前に売る。一人に一つのレシピのみを売る。そして、売値は大銅貨一枚が条件だ。ゼンさんがやっていた料理を細分化することで、価格と品質の安定と職を増やすのか。ものは考え方と言う事か。」

「なるほど、平民地区の特に貧しい者に優先ですな。職を持つ者が増えるというわけですな。他の町へ行く者達もいるでしょう。一つのレシピを細かく分けることで、集中をさせず価格も下げることが出来る。私は長い間、利益を得ることが出来ますな。これからのやり方を考えねばなりませんね。」


 エレンとポンチョが話していると、ニーナ達が戻ってギルドでのことをゼンに伝えた。

 午後になりニーナ達は合同会議に向かった。会議は傭兵ギルド、太陽の旗の拠点で行われた。ニーナ達は大きな部屋に案内され、用意された席に座った。ゼンはキキの後ろで壁際に立ち、ミリアンはニーナの後ろに立った。


「俺は傭兵ギルド、太陽の旗のマスター、バルドスだ。こっちの二人が副マスターのハウリアとランドスだ。」


 立派な顎鬚のがっしりとした男が、自己紹介をして、隣の赤毛の女性と二メートルを優に超えるお男を紹介した。


「盗賊ギルドのマスター、ロビヌフーターです。彼はキッド、副マスターです。」


 細身の長身の男が、黒いキャスケットを被り赤いマフラーの男を紹介した。


「魔法師ギルドのマスター、カイトスです。エルノワールの皆さん、その節は有り難うございました。」


 灰色のローブを着たモノクルを付けたエルフが名乗った。


「儂はいらんか。今は冒険者ギルドのマスターのゼルスだ。大公としては皆も話難かろうが、騎士団も同席する。始めよう、ティム。」


 ゼルスが最後に名乗り、会議が始まった。


「妾はまだ名乗っていないのじゃ。」

キ♀:台風が来ているわね。

空♂:風が吹き出した。多分、これが投稿されるころが厳しいかも。

キ♀:気を付けてね。

空♂:気を付けるぐらいしか出来ないな。

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