思い出したので、まず一歩
私、アズサ・ヒミズリアルは前世では道宮 梓として齢18でこの世を去ったある意味、どの作品のヒロインでもありがちな経歴がある。
それを思い出したのは1週間前の事で、あの時は三途の川を渡りながらも、ふと忘却の川の前で呼ばれた気がして振り向いたら、よくお世話になってた前世の家の近所の文縁おばあちゃんがいて驚いた。
おばあちゃん曰く、私がまた早くに死んでしまうのは悲しいからと無理矢理、三途の川を渡るのを阻止してくれたそうで、文縁おばあちゃんは私の前世の事を思い出すきっかけをくれた。
そのおかげで私は道宮 梓としての記憶を思い出した…のだけど、思い出して困ったのはヒロインとして転生してきてしまった事に今更ながらに遅いけど気が付いた事だ。
「いや、どう見てもやばくね?フラグを折るなら最初からだけどさぁ…思い出すの遅くて、折るの難しくない!?」
そう叫びつつも起きたから結果オーライ、どうにかしなきゃならなくなった訳だけど、このままだとあと1年で魔法科に入学して恋愛フラグを叩き折らない様な状況になるのだけは困るんだよぉぉぉぉ!!
ということで、目が覚めて一言…貴族の令嬢らしからぬ一言を兄と父上に浴びせることとした。
だって、推しである幼馴染であるシーナと結婚して老後まで幸せに暮らすという壮大な夢を持ってしまったのだ!!これを成さねば私は何の為に記憶を思い出して、転生した事に喜んだのかが消えてしまうのだから!!やるしか、ない!!
「父上、兄上、私は騎士科に入学します!!」
その時の周りの顔は驚きと何言ってんだコイツと言いたげな色が渦巻いていて、ちょっと笑ってしまいそうになったのは内緒だが、とりあえずは推しと結婚する為に魔法科には進まないというフラグを折る第一歩を踏み出した。