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転生貴族と黄金の宿命  作者: KiedeJWL


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⸻第六章 剣術大会への招集

ついにレオンの剣を扱うところの描写です。楽しんでくださいませ

 ノクターナ家の夜会から半月が経った頃、学院内は一つの話題で持ちきりだった。


「王立クロノス学院、剣術大会だって!」


「毎年恒例の、あの?」


「今年は特別だよ。王家主催で、優勝者には『冒険者ランクS特別推薦』の権利が与えられるらしい」


 掲示板の前でざわめく生徒たちの輪の中、レオンもまた張り出された告知を眺めていた。


「レオン様、出場なさいますの?」


 いつの間にか隣に来ていたアリシアが、腕を組んで告知を見上げている。


「当然だろ。剣も磨いてきたんだし」


「あら、余裕そうですこと。わたくしも実は、水属性魔法を使った戦闘には自信がございますのよ」


「お前も出るのか?」


「ええ。今年は男女混合、身分不問の実力制ですもの。負ける気はございませんわ」


 そこへミアが息を切らせながら駆け寄ってきた。


「レオン様! 大変です、大変です!」


「どうした」


「剣術大会の参加者名簿、見てきました! ヴィクトリア様も出場するそうですよ!」


「ヴィクトリアが?」


「吸血鬼の身体能力は人間を遥かに凌駕しますもの。当然の選択でしょうね」


 アリシアが冷静に補足する横で、ミアはむっとした顔をしていた。


「私だって出ます! レオン様の隣に並べるくらい、強くならないと……!」


「ミア、お前魔法苦手じゃなかったか?」


「うぐ……そ、それは、これから頑張りますから!」


 健気なミアの様子に、レオンは思わず頭を撫でた。


「無理すんなよ。危ないことはしなくていい」


「レオン様……」


 ミアが頬を赤らめる一方、アリシアがわざとらしく咳払いをする。


「見せつけるのはそこまでになさって。それより、大会は一月後ですわ。今から鍛錬しても遅くはございませんことよ」


 こうして三人は、それぞれの目標を胸に、大会に向けた準備を始めることになった。

⸻

 放課後、レオンは学院の訓練場で剣を振るっていた。手にするのは、あの伝説の魔剣「レインボウフェイト」だ。


(――レオン、もう少し力を抜いて。剣に振り回されるな)


 剣から響く声にならない声が、レオンの動きを導く。この剣は意思を持ち、使い手と対話することができる特殊な魔剣だった。


「分かってる。けど、まだこいつの本来の力を引き出せてる気がしないんだよな」


(焦る必要はない。僕と君の絆は、まだ始まったばかりだ。少しずつでいい)


「そうだな……」


 汗を拭いながら剣を鞘に収めたところで、訓練場の入り口に人影が現れた。


「精が出ますこと、レオン様」


「ヴィクトリア……。お前も鍛錬か?」


「ええ、少々。……ですが、本音を申し上げれば、あなたの様子を見に来ましたの」


 紅い瞳が、月明かりに濡れたように輝く。


「大会、本気で優勝を狙っていらっしゃるのね」


「ああ。強くなりたいんだ。この世界のことも、まだ全然知らない。冒険者になって、色んな場所を見て回りたい」


「……面白い方ですわね、あなたは」


 ヴィクトリアは訓練場のベンチに腰掛けると、扇子を弄びながら続けた。


「実は、大会にはわたくしの一族にとっても、少々思惑がございますの」


「思惑?」


「王国内には、吸血鬼を快く思わない一派が存在しますわ。表向きは協定に従っていますけれど、裏では『人ならざる者の排斥』を掲げる過激な貴族連合が動いていると噂されておりますの」


 レオンの表情が引き締まる。


「その連中が、大会に何か仕掛けてくるってことか?」


「断定はできませんけれど、警戒はしておくべきかと。特にあなたは、『黄金の使徒』の可能性がある特別な存在。目をつけられていてもおかしくございませんわ」


「……教えてくれてありがとな」


「あら、素直にお礼を言われると調子が狂いますわね」


 ヴィクトリアはくすりと笑うと、立ち上がって踵を返した。


「大会、期待しておりますわ。わたくしを楽しませてくださいまし、レオン様」


 その背中を見送りながら、レオンは剣を握る手に力を込めた。


(面白くなってきたな、本当に)


 前世では味わえなかった、この世界特有の緊張感と高揚感。神が言っていた「異能を持って異世界へ」という言葉の意味を、レオンは改めて噛み締めていた。


よろしくお願いします

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