⸻第三章 実技の授業と剣の才
このエピソードは本当に俺の人生かよが言いたかっただけです。個人的な感情ですいません。
学院生活が始まって数日。レオンは実技棟での初めての魔法実践授業に臨んでいた。
「では各自、得意な属性で標的を攻撃してみせなさい」
担当教官のグリフィス先生の号令で、生徒たちが次々と魔法を放っていく。火球、水弾、風の刃――それぞれの適性に応じた魔法が的を射抜いていく中、レオンの番が回ってきた。
「レイヴンフォード、お前は好きな属性でいい。無理に全部使おうとするな」
「はい」
レオンは掌を的に向けた。脳裏に浮かぶのは、幼い頃から独学で研究してきた魔法理論。全属性を持つからこそできる、複合魔法の理論だ。
「――複合魔法、『黄金烈火』」
掌から放たれたのは、火と光属性を掛け合わせた、黄金色に輝く炎の奔流だった。的は跡形もなく消し飛び、後ろの防護結界にまで衝撃が達する。
「なっ……!?」
グリフィス先生が目を見開いた。
「複合魔法だと……!? それも学院生が独学で編み出しただと……!」
複合魔法は本来、高度な魔力操作と理論知識を要する上級魔導士向けの技術だ。入学したての生徒が扱えるようなものではない。
「レオン様、すごいですわ……」
見学していたミアが目を輝かせる一方、アリシアは腕を組んで感心したように呟いた。
「はぁ……本当に規格外ですわね、あなたという人は」
授業後、剣術の授業でもレオンは異彩を放った。前世の記憶にあった剣道の心得と、この世界で幼い頃から積んできた鍛錬が組み合わさり、同年代の生徒はおろか、上級生相手にも引けを取らない太刀筋を見せたのだ。
「レオン・レイヴンフォード、か。噂以上だな」
剣術指南役のバロン先生――元王国騎士団の教官――は、稽古の後、レオンに一本の古びた鞘を手渡した。
「これは?」
「学院の宝物庫に眠っていた、由来不明の魔剣だ。誰が触れても反応しなかったが……お前なら、あるいはな」
半信半疑で鞘を握ったレオンの手に、剣が微かに振動を伝えた。鞘から抜くと、刀身に七色の紋様が浮かび上がる。
「これは、まさか……」バロン先生が息を呑んだ。「全属性の魔剣、『レインボウフェイト』……! 伝説にしか出てこない代物だぞ!」
剣を握るレオンの脳裏に、直接語りかけてくるような声にならない声が響いた気がした。まるで剣自体が、自分の主を待ちわびていたかのように。
(――やっと会えたね、僕の使い手)
「……喋った、のか?」
「どうした、レイヴンフォード?」
「い、いえ、何でもありません」
レオンは動揺を隠しながら、剣を鞘に収めた。神から授かった力、伝説の首飾り、そして今、意思を持つ魔剣まで。前世でよく読んでいたラノベさながらの展開に、レオン自身、内心では笑いを堪えきれずにいた。
(これ、本当に俺の人生かよ……)
けれど同時に、確かな高揚感もあった。冒険者として、いつかこの世界を巡ってみたい――そんな夢が、レオンの中で静かに芽生え始めていた。
よろしくお願いします




