⸻第二十七章 失われた文明の遺跡
遺跡奥での戦いは白熱の予感です。
島の中央にそびえる山、その麓に古代遺跡の入り口はあった。苔むした石造りの門には、見たこともない古代文字が刻まれている。
「これは……相当古いものですわね」
ヴィクトリアが門の紋様を興味深そうに観察する。
「わたくしたち吸血鬼の伝承にも、この文字によく似たものが記されておりますわ。確か、『始まりの文明』と呼ばれる、太古の超文明の遺物だと」
「始まりの文明?」
「人間、エルフ、吸血鬼、獣人……この世界の全ての種族が、まだ分かれていなかった時代に存在したとされる、伝説の文明ですわ」
「そんな時代があったのか……」
遺跡の内部に足を踏み入れると、壁面には古代の壁画が広がっていた。そこに描かれていたのは、様々な種族が共に暮らし、争うことなく助け合う光景だった。
「これは……」
「みんな、仲良く暮らしてたんですね」
ミアが壁画を見上げながら、感慨深げに呟いた。
「かつては、こうした時代があったということですわね。それが、いつしか分裂し、争いが生まれてしまった」
「原因は何だったんだろう」
更に奥へと進むと、壁画の続きに、不穏な描写が現れ始めた。巨大な黒い影のようなものが世界を覆い、それを機に種族間の争いが始まっていく様子が描かれている。
「この黒い影……。まさか」
「わたしも似たようなものを、感じたことがあります。純血同盟が使っていた呪いの力と、同じ気配がします」
ケインが緊張した面持ちで壁画を指差す。
「ということは、純血同盟が今、利用している呪いの力の源流が、この遺跡に眠っている可能性がある、ということか」
「その通りかもしれませんわね」
更に奥へと進んだ一行は、遺跡の最奥、巨大な祭壇のような空間へと辿り着いた。祭壇の中央には、黒く濁った巨大な水晶が安置されている。
「これが……。純血同盟が使っていた『呪われた血石』の、大本ということでしょうか」
「気をつけろ、何か反応してる……!」
レオンの警告と同時に、水晶から禍々しい瘴気が噴き出し、祭壇の周囲に、黒い靄で構成された無数の魔物が出現し始めた。
「みんな、構えろ!」
こうして、遺跡最奥での、新たな戦いの幕が上がった。
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