⸻第十六章 獣人街の激戦
呪いの力というちょっと厨二っぽい要素をつけたしてみました
「くらえ! 『火焔弾』!」
純血同盟の魔導士が放った火球を、レオンは剣の一振りで斬り裂いた。
「レオン様、後ろにも敵が!」
「分かってる!」
アリシアの警告と同時に、レオンは背後から迫る敵の剣を、身を捻ってかわしながら反撃する。
「みんな、住民を先に避難させろ! 戦闘は俺たちに任せて!」
「わたしが誘導します!」
リルが素早く動き、逃げ惑う獣人の住民たちを安全な方向へと導いていく。彼女自身、同じ獣人として、この惨状に強い怒りを抱いていた。
「絶対に、こんなことさせない……!」
リルの爪が、住民に迫っていた純血同盟のメンバーを鋭く切り裂く。
「な、なんだこいつ、思った以上に……!」
「わたしを、甘く見ないでください!」
保護された当初は怯えていた少女が、今では仲間を守るために毅然と戦う姿に、レオンは頼もしさを感じていた。
「みんなに『祝福の光』を!」
ミアの支援魔法が戦場全体を包み込む。彼女は前線で戦うタイプではなかったが、その献身的な支援は、パーティー全体の生命線となっていた。
「――なかなかやるようだな、レイヴンフォードのパーティーは」
ガルシアが、余裕の表情を崩さずに戦況を見つめていた。
「だが、これは所詮小手先の戦力に過ぎん。本当の力を見せてやろう」
ガルシアが懐から取り出したのは、黒い水晶のようなものだった。
「これは……なんだ?」
「『呪われた血石』。祝福の血脈と正反対の、呪われた血を凝縮させた秘宝だ。これを使えば――」
ガルシアが血石を握りしめると、彼の体が急速に変貌を始めた。皮膚が黒ずみ、背中から異形の翼が生え、瞳が赤黒く濁っていく。
「これが、我らが研究の成果だ。呪いの力で人間を強化する――『呪血兵』の完成形よ」
「なんて力を……!」
変貌したガルシアの膂力は、先程までとは比較にならないほど増していた。周囲の空気さえ、彼の放つ瘴気で重くなっているように感じられる。
「さあ、レイヴンフォード。貴様の力とやらを、この身で確かめさせてもらおうか!」
ガルシアが地面を蹴り、猛然と突撃してくる。レオンは全神経を集中させ、その一撃を受け止めた。
「くっ……重い!」
(レオン、油断するな! この男の力は、明らかに人としての限界を超えている!)
「分かってる……!」
純血同盟の掲げる思想の裏で、こうして禁忌の力に手を染めている現実に、レオンは強い憤りを感じていた。
「人ならざる者を排除するとか言いながら、自分たちが呪いの力に頼るなんて、矛盾してるだろ!」
「ふん、目的のためには手段を選ばん。それが、真に純血を守る者の覚悟というものだ」
ガルシアの言葉に、レオンは眉をひそめた。歪んだ思想と、それに固執するあまり手段を選ばなくなった男の姿は、どこか痛ましくもあった。
「お前がどんな覚悟を持っていようと、無関係な人を傷つける権利なんてない」
「――生意気な口を叩くな、小僧が!」
ガルシアの猛攻が、更に激しさを増していく。
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