⸻第十四章 ヴィクトリアの決意
ちょっとラブコメ展開してみました。
石板の件はノクターナ家にも報告され、アルベルトとヴィクトリアもレイヴンフォード邸を訪れることとなった。
「なるほど……。祝福の血脈、ですか」
アルベルトは石板を検分しながら、深く考え込んでいた。
「実は我々の一族にも、この件に関する古い記録が残っている。『黄金の使徒』は、祝福の血脈を持つ者から生まれるとされ、その者が現れることで、人ならざる者と人間の関係に大きな変化がもたらされる、と」
「変化、というのは?」
「ある伝承では『融和』、別の伝承では『破滅』とも記されている。つまり、お前がどう生きるかによって、その結末は大きく変わる、ということだろう」
レオンは自分の肩にのしかかる責任の重さを、改めて感じずにはいられなかった。
「重い話ですわね……」
部屋の隅で聞いていたヴィクトリアが、静かに口を開いた。
「レオン様。わたくし、最初はあなたに興味本位で近づいたのは事実ですわ。伝承の品を持つ人間が、一体どんな者なのか、確かめたくて」
「ヴィクトリア……」
「でも、この半年、あなたと過ごすうちに、気づいたことがございますの」
紅い瞳が、真っ直ぐにレオンを見つめる。
「わたくし、あなた自身に惹かれておりますわ。伝承の使徒だから、ではなく。あなたの、まっすぐで、誰かのために迷わず動ける、その在り方に」
突然の告白に、レオンの心臓が跳ねた。
「わ、悪い、突然すぎて……」
「今すぐ答えを求めているわけではございませんわ。ただ、伝えておきたかっただけですの。……純血同盟がどう動こうと、わたくしはあなたの味方であり続けますわ。それだけは、覚えておいてくださいまし」
ヴィクトリアはそう言うと、優雅に一礼して部屋を後にした。残されたレオンは、しばらく呆然と立ち尽くすしかなかった。
「な、なななな……」
その一部始終を扉の陰から見ていたミアが、顔を真っ赤にして震えていた。
「わ、私も! 私だって、レオン様のこと……!」
「ミア、聞いてたのか」
「た、たまたま通りかかっただけです!」
真っ赤な顔で言い訳するミアの様子に、レオンは思わず苦笑した。
「わたくしも、負けるつもりはございませんわよ」
いつの間にか現れたアリシアが、腕を組んで不敵に微笑んでいる。
「お、お前もかよ」
三者三様の想いを向けられ、レオンは嬉しさと戸惑いの入り混じった、複雑な気持ちを抱えながら、その日の夜を過ごすのだった。
よろしくお願いします




