⸻第十一章 深淵に潜むもの
黄金の絆のパーティ、魔物との戦いは白熱。
「嫌な感じがする、って……レオン様、具体的にはどんな?」
ミアが不安げにレオンの顔を覗き込む。
「上手く言えないけど……前世で言う『格上』の気配、とでも言うのかな」
パーティー全員が緊張した面持ちで顔を見合わせた。
「一旦、引き返した方がよろしいのでは?」
アリシアの提案はもっともだった。だが、レオンは首を横に振った。
「いや……ここで見過ごしたら、また誰かが被害に遭うかもしれない。せめて偵察だけでもさせてくれ」
「レオン様がそう仰るなら……分かりましたわ。ただし、無茶だけはなさらないで」
「わたしも、行きます。役に立ちたいので」
リルの決意の籠った眼差しに、レオンは頷いた。
迷宮の最深部へと続く階段を下りていくと、そこには今までの通路とは明らかに異なる、禍々しい紫色の光を放つ空間が広がっていた。中央には、巨大な魔法陣のようなものが刻まれ、そこから瘴気のようなものが立ち上っている。
「これは……人工の魔法陣? 天然のダンジョンにこんなものが……」
「誰かが意図的に作ったということですわね」
その時、魔法陣の中心から、黒い靄のような塊が形を成し始めた。それは徐々に人型を象っていき、最終的には全身を漆黒の鎧で覆った、禍々しい騎士の姿となった。
「な、なんですかあれ……!」
「魔獣じゃない……。あれは、アンデッド系の上位種、『デュラハンロード』だ」
レオンの脳裏に、前世で読んだファンタジー知識が蘇る。本来、こんな低層のダンジョンに出現するはずのない、災害級の魔物だった。
「――誰の差し金かは知らないが、こんな怪物をダンジョンに解き放つとはな」
デュラハンロードが纏う漆黒の大剣が、不気味な唸り声を上げる。
「みんな、下がってろ。これは俺が」
「一人でなんて無理ですわ! 危険すぎます!」
「アリシアの言う通りです、レオン様! 皆で戦いましょう!」
仲間たちの必死の声に、レオンは一瞬躊躇したが、すぐに頷いた。
「分かった。みんなで力を合わせよう」
こうして、パーティー「黄金の絆」と、災害級の魔物との死闘が幕を開けた。
よろしくお願いします。楽しんでくださいませ。




