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ハズレスキル〈線〉が、引くほど強くなるんですが ~捨てられ転生令嬢の無自覚最強サバイバル~  作者: 円夢
第二章〈夜の子ら〉

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35.罰

累計ページビュー10,000PV突破! ありがとうございます!

「はあ………」


 一部始終を聞き終えたニルドは、きつく目を閉じて眉根を揉んだ。


「つまり、ノド。お()ぇは勝手に飛空板(フリッター)さ乗り回し、〈瞬きノ窓〉さ飛っ込んでカーマイン迷宮(ダンジョン)へ行ぎ、挙句の果てに妹ともども石んなりかげた。そういうこどか?」


〈瞬きノ窓〉とは、おそらく、私達人間が言う〈転移門(ポータル)〉のことだろう。

 ハーキ族独特の言い回しだ。


(確かに、点いたり消えたりするもんね)


 密かに感心する私をよそに、ノドはがっくりとうなだれた。


「そん通りだ、父ちゃん。申し開きのしようもねえ」

「違うの、父ちゃん! ノラが迷宮に行きたいって(あん)ちゃんに頼んだの!」


 ノラが必死に兄を庇うが、


「そんでもだ。ノドが禁を破ったこどに変わりはねぇ」


 とニルドはにべもない。


「罰として飛空板は没収。〈瞬きノ窓〉には二度と近づくな。ノラ、お前ぇもだぞ」

「……はい」


 父の厳しい声に、ノラもしゅんとして頷いた。


「それと。二人とも、工房さ当分出入り禁止だ。良し悪しの区別もつかねぇ(もん)に、父ちゃんの道具は触らせらんねぇ」

「ええっ!?」


 それまで大人しく聞いていたノドが、ぎょっとしたように顔を上げた。


「と、当分ってどんくらいだっぺ? まさか一日……いや、一時間くらいなら何とか……」

「馬鹿たれ!」


 ゴン! と痛そうな音がして、頭に拳骨を喰らったノドが蹲る。


「そったら軽い罰があっか! 父ちゃんがいいっちゅうまでだ!」

「そんなぁ……」


 ニルドは一つ息を吐くと、ふいにその声を落とした。


「ノド。飛空板はまた作ればいい。工房にだって、いずれは入れてやる。……けんどな」


 その視線が、兄妹にじっと注がれる。


「二人が石んなっちまっだら、父ちゃんは死んだ母ちゃんに何て言えばいい?」


 ノドが、びくりと肩を震わせた。

 しんと静まった部屋に、遠く、谷川のせせらぎだけが響く。


 ――ああ。


 いいな、と思ってしまった。

 前世と今世の親たちが脳裏にちらつく。


 やがてニルドは、気を取り直すように咳払いした。


「ところで、二人が勝手に持ち出した父ちゃんの上級回復薬(ポーション)、金でも現物でもいいがら、使った分はちゃんと返せよ」

「あ、それは私がお支払いします!」


 さすがに黙っていられなくなって、私は思わず口を挟んだ。


「治していただいたのは私ですし! ただ今は手持ちがないので、一度に五万(グルト)はちょっと厳しいですが……」

「……五万G?」


 ニルドが首を傾げるのと。


「あっ! そ、それは……っ!」


 慌てたようにノドが声を上げたのが同時だった。


「ノ~~~ド~~~? お前ぇ、まさか命の恩人に向かって、そったらぼったくりみてぇな真似したんか?」

「あ、いやっ! そっ、そりゃ違くてっ!」

「……ったく」


 ニルドは呆れたようにため息をつくと、改めて私に頭を下げた。


「うちの馬鹿息子が、とんでもねぇ失礼しちまって。お代は三万Gでいいっぺよ」


 ――って。


 結局、あんたも金は取るんかーい!

感謝の気持ちをこめて、本日昼ごろもう一話更新します。お楽しみに!

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