表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレスキル〈線〉が、引くほど強くなるんですが ~捨てられ転生令嬢の無自覚最強サバイバル~  作者: 円夢
カーマイン迷宮

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/29

幕間 カーマイン騎士団

本日、2話投稿しています。この話は2話目です。ご確認の上お読みください。

「存外粘りますね、あのポーター」


 カーマイン迷宮(ダンジョン)第五層。

 階層主(フロアボス)の部屋の前で騎士団が見張りを始めてから、すでに二日が経とうとしていた。


「体格からして盾役(タンク)っぽかったからな。シャドウパンサーは魔法を打ってこないから、防御に徹すればそこそこもつんだろ」

「そうは言っても、飲まず食わず眠らずだ。いい加減、体力も気力も限界じゃないか?」


 一人の騎士がそう言った折も折。


 かちゃり。


 鉄扉の向こうでロックが外れる音がした。


「お。開いた開いた」

「ポーターの頑張りもここまでか」

「案外、シャドウパンサーを倒してたりしてな」

「ははっ。まさか」


 騎士団を率いてきた金髪の男がおもむろに立ち上がる。


「突入! 中にいるものの生死を確認、証拠を回収して撤収する!」


 重たい鉄扉を開け放ち、中へ入った騎士たちはザッと散開した。シャドウパンサーの攻撃に備え、油断なく身構える。


 ――が。


「こ、これは……」

「なんと」


 入ってすぐのところに、食い散らかされたポーターの死体があった。

 それはいい。彼らの予想どおりだ。

 しかし――。


「シャドウパンサーがやられている……だと!?」

「相討ちか」

「いや。だとしたらポーターが食われているのはおかしい」


 ざわめく騎士たちを尻目に、金髪の騎士がシャドウパンサーの死体に歩み寄る。

 魔物の頭部は、とてつもなく鋭利な刃物のようなものできれいに両断されていた。


「一体、誰がこんなことを」


 ポーターではない。だが、ポーター以外で部屋にいたのは。


「馬鹿な。Dランクの魔物だぞ!」


 それを、わずか十歳の少女が倒すことなど――……。

 金髪の騎士は、はっとしたように顔を上げた。


「令嬢は? ジゼル嬢はどこにいる」

「探せ!」


 だが、部屋のどこにも少女はいなかった。

 

「……逃げたか」


 金髪の騎士は舌打ちして、部屋の両端に出現した()()()転移門(ポータル)を睨みつける。


 青く輝く転移門は迷宮の入口へのショートカット。

 白い方は次の階層へのワープゲートである。


 ――このまま帰るわけにはいかない。


 ジゼルがこの世から消え去った確たる証拠を持ち帰ること。

 それが彼の受けた指令だ。


「令嬢は迷宮を脱出したものと思われる。まだそう遠くへは行っていないはずだ。追うぞ!」


 言うが早いか、金髪の騎士は青い転移門に飛び込んだ。

 部下の騎士たちも、すぐさま後に続く。

 

 またたく間に無人となった部屋の中で、二つの転移門はしばらく静かに輝いていたが、やがて揺らめいて消失した。


 再び闇に沈んだ部屋に、ぽうっと青白い燐光が灯る。

 ずるる、と重たい何かを引きずるような音。

 縦に裂けた瞳孔がきろん、と動き、炎を思わせる真っ赤な舌がちろちろ躍る。

 やがてゆっくりと身を起こした()()は、ずる、ずる、と重たげな音を立てながら奥のくらがりに姿を消した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ