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ハズレスキル〈線〉が、引くほど強くなるんですが ~捨てられ転生令嬢の無自覚最強サバイバル~  作者: 円夢
第一章 カーマイン迷宮

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幕間 カーマイン伯爵邸

 王妃様主催のお茶会のため、明日は王都に向けて出立するという日の朝。


 カーマイン伯爵領の荘園屋敷(マナーハウス)では、誰もが早朝から浮足立っていた。

 常勤の使用人たちに加え、臨時雇いの荷運び(ポーター)やら、新顔のメイドやらがあちこちで右往左往している。


「おい、そこの」


 背後からかけられた声に、新顔のメイドがびくっと肩を跳ね上げた。

 白銀の鎧の胸に、カーマイン家の紅薔薇の紋章。昇り始めた朝の光が、金髪を眩く縁取っている。


「あっ! こ、これはペルゾイス殿下」

「ペルゾイス()だ」


 即座に訂正したものの、続く口調はだいぶ穏やかになっていた。


「このような場所に何の用かな」

「も、申し訳ございません! なにぶん初めてのお屋敷なもので、道に迷ってしまいました」

「この先は騎士団の宿舎と厩舎だけだ。第一、メイドの仕事場は屋敷の中だけだろう」

「はい。おっしゃる通りなのですが、実は……お嬢様を探しておりまして」


 そう言うと、メイドはもじもじとエプロンの裾をひねくり回し、上目遣いにペルゾイスを見た。


「今日からお嬢様のお召し替えを担当することになり、先ほどお部屋に伺ったのですが、なぜかどこにもお姿がなく……」


 ペルゾイスは「チッ」と舌打ちすると、小さく「またか」と呟いた。


「わかった。ジゼル嬢については心当たりがあるから、私のほうで探しておこう」

「えっ、よろしいのですか?」

「構わない。どうせ私もこの後巡回に出るところだった。もし上役に何か訊かれたら、そのように答えておくといい」

「ありがとうございます。殿(でん)……ペルゾイス卿!」


 軽く手を振って行きかけたペルゾイスは、だが、ふと足を止めて振り向いた。


「ジゼル嬢付きの新しいメイドか。名は?」


 メイド服姿の少女は、お仕着せのスカートを摘まんで深々とお辞儀する。


「はい。私はアリッサと申します。どうぞ、お見知りおきくださいますよう」

本日、ちょっと短めなので後でもう一話投稿します。

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