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ハズレスキル〈線〉が、引くほど強くなるんですが ~捨てられ転生令嬢の無自覚最強サバイバル~  作者: 円夢
カーマイン迷宮

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19.ラリアット

累計アクセス3,000PV&累計ユニークアクセス900人突破!

感謝の気持ちを込めて、本日もお昼ごろにもう一話投稿します!

「キーッ! キキキキッ!」


 岩棚から空に飛び出した子ザルが、歯を剥き出してあからさまに馬鹿にした声を上げた。


 こいつ、ちゃんとサルっぽい声出せるんじゃん。


 私は子ザルを睨みつける。


 油断した。

 可愛いふりで近づいてきても、結局こいつはモンスターだ。


紅線(カーマインレイ)〉で撃ち落としてやろうか。

区切り(パーティション)〉で首を落とすか。

 

(駄目だ。それだと魔法袋(マジックバッグ)ごと下に落ちてしまう)


 飛竜(ワイバーン)の巣は、そそり立つ峻険な岩山の(いただき)近くに集中していた。ここから落ちた魔法袋を回収するのは不可能だ。


 何かないか。〈紅線〉〈区切り〉以外で使えるスキル。

――――――――――――――――――――

スキル:

(ライン)〉Lv.2 任意の場所に線を引く

境界線(バウンダリー)〉Lv.7 任意の場所に越えられない線を引く

紅線(カーマインレイ)〉Lv.7 任意のターゲットに対し複数の熱線を放つ

区切り(パーティション)〉Lv.2 任意の範囲を区切る


パッシブスキル:

防衛線(ディフェンスライン)〉【ON】Lv.12 敵意に対し自動で〈境界線〉を引く


後天スキル:

〈無詠唱〉 詠唱なしでスキルを発動する

〈虫の知らせ〉 危険や異変を事前に察知する。

――――――――――――――――――――


 知らないうちに〈区切り〉がLv.1から2に上がってたけど、それは今はおいておく。


 相手を殺さず捕縛する線。

〈女王相〉のウォーアントが私を捕らえた(ネット)のような……。


(それだ!)


 網だって、元をたどれば線の集合体だ。

 ウォーアント戦では、〈防衛線〉や〈境界線〉で網目状の防壁ができたじゃないか。


(〈境界線〉をこう……いい感じに複数出して……)


 駄目だった。


『現在のレベルでは、〈境界線〉は一度に二本までしか出せません』


「チッ!」


 でも、発想は間違ってないはずだ。

 他にないか。遠くの物を捕らえるロープ的な……。


 ――投げ縄。


 相変わらず空中を飛び回りながら、勝ち誇った様子で歯を剥きだす子ザルに向かい、私は自分の手許から伸びた線が、その身体にぐるぐるに巻きつく様子をイメージした。

 

(間違っても魔法袋を傷つけないように、線の強さをイメージして)


 ――〈境界線〉。


「ホアッ!?」


 忽然と現れた紅いロープでぐるぐる巻きになった子ザルが空中で失速した。

 きりもみしながら落ちてくる身体を、ロープを引いて岩棚の上に放り出す。

 すかさずその上にのしかかると、細い首を片手で押さえつけ、もう片方の手で魔法袋を取り上げた。


 子ザルは黒い目を大きく見開き、怯えきった顔で私を見上げている。


 殺すか。今度こそ。


 首を押さえた指先から、早鐘のような子ザルの鼓動が伝わってくる。

 見開かれた黒い瞳に、見たこともないほど冷たい目をした私の顔が映っていた。


 ――まるで「託宣の儀」の後で、私を見据えた父様のような。


「…………っ」


 私は、子ザルを押さえつけた手をゆっくりと離した。

 小さな身体に巻きついてた紅いロープが消えていく。


「次、同じことしたら殺すから」


 子ザルの目をまっすぐ覗き込んでそう言うと、子ザルはだらりと垂れた飛膜をひきずりながら、岩棚の隅に逃げていった。


『〈防衛線〉からスキル〈投げ縄(ラリアット)〉が派生しました』


 その時だった。

 耳を聾するばかりの音を立てて、飛竜たちが一斉に嘴を打ち鳴らし、上空へ飛び去っていったのは。

次回は本日お昼ごろに投稿します。

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