19.ラリアット
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感謝の気持ちを込めて、本日もお昼ごろにもう一話投稿します!
「キーッ! キキキキッ!」
岩棚から空に飛び出した子ザルが、歯を剥き出してあからさまに馬鹿にした声を上げた。
こいつ、ちゃんとサルっぽい声出せるんじゃん。
私は子ザルを睨みつける。
油断した。
可愛いふりで近づいてきても、結局こいつはモンスターだ。
〈紅線〉で撃ち落としてやろうか。
〈区切り〉で首を落とすか。
(駄目だ。それだと魔法袋ごと下に落ちてしまう)
飛竜の巣は、そそり立つ峻険な岩山の頂近くに集中していた。ここから落ちた魔法袋を回収するのは不可能だ。
何かないか。〈紅線〉〈区切り〉以外で使えるスキル。
――――――――――――――――――――
スキル:
〈線〉Lv.2 任意の場所に線を引く
〈境界線〉Lv.7 任意の場所に越えられない線を引く
〈紅線〉Lv.7 任意のターゲットに対し複数の熱線を放つ
〈区切り〉Lv.2 任意の範囲を区切る
パッシブスキル:
〈防衛線〉【ON】Lv.12 敵意に対し自動で〈境界線〉を引く
後天スキル:
〈無詠唱〉 詠唱なしでスキルを発動する
〈虫の知らせ〉 危険や異変を事前に察知する。
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知らないうちに〈区切り〉がLv.1から2に上がってたけど、それは今はおいておく。
相手を殺さず捕縛する線。
〈女王相〉のウォーアントが私を捕らえた網のような……。
(それだ!)
網だって、元をたどれば線の集合体だ。
ウォーアント戦では、〈防衛線〉や〈境界線〉で網目状の防壁ができたじゃないか。
(〈境界線〉をこう……いい感じに複数出して……)
駄目だった。
『現在のレベルでは、〈境界線〉は一度に二本までしか出せません』
「チッ!」
でも、発想は間違ってないはずだ。
他にないか。遠くの物を捕らえるロープ的な……。
――投げ縄。
相変わらず空中を飛び回りながら、勝ち誇った様子で歯を剥きだす子ザルに向かい、私は自分の手許から伸びた線が、その身体にぐるぐるに巻きつく様子をイメージした。
(間違っても魔法袋を傷つけないように、線の強さをイメージして)
――〈境界線〉。
「ホアッ!?」
忽然と現れた紅いロープでぐるぐる巻きになった子ザルが空中で失速した。
きりもみしながら落ちてくる身体を、ロープを引いて岩棚の上に放り出す。
すかさずその上にのしかかると、細い首を片手で押さえつけ、もう片方の手で魔法袋を取り上げた。
子ザルは黒い目を大きく見開き、怯えきった顔で私を見上げている。
殺すか。今度こそ。
首を押さえた指先から、早鐘のような子ザルの鼓動が伝わってくる。
見開かれた黒い瞳に、見たこともないほど冷たい目をした私の顔が映っていた。
――まるで「託宣の儀」の後で、私を見据えた父様のような。
「…………っ」
私は、子ザルを押さえつけた手をゆっくりと離した。
小さな身体に巻きついてた紅いロープが消えていく。
「次、同じことしたら殺すから」
子ザルの目をまっすぐ覗き込んでそう言うと、子ザルはだらりと垂れた飛膜をひきずりながら、岩棚の隅に逃げていった。
『〈防衛線〉からスキル〈投げ縄〉が派生しました』
その時だった。
耳を聾するばかりの音を立てて、飛竜たちが一斉に嘴を打ち鳴らし、上空へ飛び去っていったのは。
次回は本日お昼ごろに投稿します。




