16.岩山の巣
本日二話目の投稿です。この前に「幕間 ペルゾイス」があります。ご注意ください。
ダダダダダダダ……
ガンガン、ガンガンガンガン!
……ズン!
カンカンカンカン! カカカカカカカ……
(うるさい……)
周り中から聞こえてくる騒音に、半分眠ったまま寝返りを打つ。
……ズン!
地響きに続いて、床全体が沈みこむほど大きな振動が来た。
近所で下水道の工事でもしてるんだろか。
カカカッ! カカカカカカッ!
掛け布団を引っ張り上げようと寝返りを打った途端、前腕に刺すような痛みが走った。
「っ! 痛……っ!」
目を開けると、真っ先に飛び込んできたのは青い空。
そして――。
その空を背景に、群れをなして飛び回る飛竜だった。
◆◆◆
――飛竜。
前世の博物館や図鑑で見たことのあるプテラノドンやケツァルコアトルスを彷彿とさせる巨大な翼竜だ。
そいつらが集団で飛びながら嘴を叩き合わせると、先ほど聞いた工事現場さながらのどえらい騒音になるのだった。
(カーマイン領にはいないけど、ティールやセラドンみたいな辺境寄りの領地だと、繁殖期の飛竜に家畜を攫われて大変だって聞いたなあ……)
私がいるのは、険しい岩壁にいくつも張り出した岩棚の一つだった。
岩棚の縁には泥と草でできた低い壁があり、床にはみっしりと枯草が敷きつめてある。
その上に、脚をもがれて芋虫のようになった運搬相のウォーアントや、妙な具合に身体が捩じれたオウルディラが、息も絶え絶えの状態で雑に積み上げられていた。
そして――。
それらの横に、仲良く並ぶ三つの卵。
(こっ、これは)
もしかしなくても飛竜の卵ですね?
でもって、半殺しにされた生き物たちは、ベビー達のごはんですね?
ごくりと生唾を飲んだ私の前で、三つの卵のうちのひとつに、ぴしりと鋭いヒビが入った。
◆◆◆
(やばいやばいやばい)
こんな状況だというのに、今の私は、両腕を身体の脇にくっつけた「気をつけ」の姿勢で、乾いて固まった接着剤のような白い糸で、胸から腹までぐるぐる巻きにされている。
一刻も早く、この糸を何とかしなきゃ。
昨日、上限いっぱいまで使ってしまったスキルだけど、一晩寝たら全回復は数多のゲームのお約束。
お願い。頼むから回復してて……!
(〈境界線〉)
祈るようにイメージすれば、硬化した糸は割れるように切れて、破片があたりに散らばった。
パリパリパリッ…………。
卵のヒビがみるみる広がり、中から濡れた飛膜の先端が突き出した。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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