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ハズレスキル〈線〉が、引くほど強くなるんですが ~捨てられ転生令嬢の無自覚最強サバイバル~  作者: 円夢
カーマイン迷宮

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9.相変異

1,000PV達成記念! 

本日2話目の投稿です。

 昔、出張先のホテルで、うっかりカメムシに触ってしまったことがあった。

 あの時ついた臭いは石鹸で洗っても全然落ちず、往生したことを覚えている。


 ――って、なぜ今そんなことを思い出したかというと。


(くさ)っ! くっさ――っ!!」


 真っ二つになったウォーアントから、ものすごい臭いがしてきたからだ。

 え、何これ。毒ガスか何か? 鼻だけじゃなく目まで来るんですけど。


 私は逃げるようにその場を離れ、元の道を先へと小走りに進み出した。

 幸い、ゆるやかな風が前方から吹いており、道に出てからはあまり気にならなくなったけど……。


 恐るべし、ウォーアント。

 次に見かけたら、絶対戦わずに逃げよう。そうしよう。


 その時だった。

 背後からザリザリと何かが近づいてくる音がしたのは。


『〈防衛線(ディフェンスライン)〉が発動します』


 慌てて振り向くが、道が蛇行しているせいで敵の姿はまだ見えない。


『〈防衛線〉が発動します』

『〈防衛線〉が発動します』


 私の前に三本、紅色の横線が現れた。


『〈防衛線〉が発動します』

『〈防衛線〉が発動します』

『〈防衛線〉が発動します』

『〈防衛線〉が発動します』


 え。え、何これ。どゆこと!?

 

 動揺する私をよそに、〈防衛線〉はどんどんその数を増していく。


『〈防衛線〉が発動します』

『〈防衛線〉が発動します』

『〈防衛線〉が発動します』


 鳴りやまない警報のようなその声と、網目状に張り巡らされた〈防衛線〉の向こうから、猛り狂う波のように押し寄せてきたのは――……。


 先ほどのウォーアントの群れだった。


◆◆◆


 先頭集団のアリたちが、一斉に〈防衛線〉の網に突っ込んできた。

 百もの生卵がいちどきに割れるような音と共に、その身体がミンチになる。


『ウォーアント(運搬相)を倒しました。〈防衛線〉がLv.7に上がりました』

『ウォーアント(運搬相)を倒しました』

『ウォーアント(運搬相)を倒しました』

『ウォーアント』ウォーアント』ウォーアント』ウォーアント』倒しました』倒しました』倒しました』倒しました』〈防衛線〉』〈防衛線〉』〈防衛線〉』Lv.8に』Lv』Lv』Lv』Lv12に』上がり』上が』上がり』上がりました』


 鳴りやまないメッセージを、どのくらい聞いていただろう。

 不意にアリたちの特攻が止んだ。


 敵の数が減ったせいで、だいぶ疎らになった〈防衛線〉の隙間から、恐る恐る顔を出す。

 生き残ったアリたちは、少し離れたところに固まって、先ほど運んでいたデスホッパーの死骸を食べていた。


 なるほど。

 腹が減っては戦ができないわけですね。

 こっちはあたり一面に漂う悪臭で、とてもご飯なんて気分じゃないですけどね!


 などと悪態をついていると。


 デスホッパーの死骸に(たか)るアリ達の中から、一際大きな個体が伸び上がるように現れた。


 青黒く光る虫体に、見るからに筋肉の発達した太い脚。

 扁平な頭部には、クワガタの大顎を思わせる黒い牙が生えている。


「嘘。あんなやつ、さっきの群れの中にいた?」


 ひょっとしてあの群れのボス的な?


 ――と思った途端、別の場所から似たような大型個体が現れた。

 もう一体。

 さらに一体。


 三番目の個体の下半身は、運搬相のアリのぱっくり割れた背中から出てくるところだった。

 新しい身体が出てくるにつれ、収縮していた脚や体節が膨張し、空気に触れた体表が鋼のような光沢を帯びていく。


「嘘でしょ………」


 あいつら、脱皮で変身するの!?

今後とも、ご愛読よろしくお願いしますm(__)m

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